用具の種類がたくさんあって、どれを選べばいいのか迷うのは楽しくもあり煩わしくもあります。
今回はラバーのスポンジの厚さについて説明いたします。
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厚さの表現方法
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スポンジの厚さはミリ単位で数値表現しているメーカと、厚さを表す語句で表現しているメーカがあります。
後者の場合でもいくつかのメーカでは、それぞれの厚さを表す語句が具体的に何ミリぐらいかを説明しています。
例えばヤサカのカタログでは以下のようになっています。
特厚(MAX)、厚(2.0)、中厚(1.8)、中(1.5)、薄(1.3)、極薄(1.0)
最初の「特厚(MAX)」だけ、何ミリではなくMAXとなっています。
ルールでラバーの厚さは4mmまでと定められています。
そしてラバーのゴムシートの高さは製品によって違いがあります。
そのためぎりぎり4mmまで近づけるためには、製品の種類によってスポンジの最大厚をそれぞれ調整する必用があり、MAXとしているのではないかと考えています。
全てミリメートルで表示しているメーカでは2.2mmなどとなっているのが、このMAXに相当します。
厚さの表現に業界でこれといった決まりはありません。
ヤサカのような中厚というサイズを設けていないメーカーもあります。
薄よりもう一段階薄いものは、極薄と表現されていたり得薄と書かれていたりします。
昔バタフライでは中という表現を使っていなかったそうです。
現在の中は薄と表していて、現在の薄は極薄としていたそうです。
想像ですが、スポンジ厚のバリエーションが段階的に増えてきた過程でそうなったように思えます。
最初に2種類の厚さのバリエーションを作り、厚と薄にした。
その後、より薄いものを製品化することになり極薄とした。
ところが他社との釣り合いや、中間的な厚さなら中と表現すべきということで現在のように変更したのではと考えています。
ラバーの中にはゴムシートだけでスポンジのない製品があります。
これは1枚ラバーと呼ばれています。
では、ゴムシートとスポンジが接着されたラバーは2枚ラバーなのでしょうか。
そうかもしれませんが、私はそういう表現をこれまでに聞いたことはありません。
1枚ラバーはOXと表現されることが多く、これはオーソドックス(orthodox)の省略形だと思われます。
1枚ラバーなのでスポンジの厚さは0mmとしては、と考える人がいるかもしれません。
どこかのメーカが0mmという表現を使い、それが広まっていればあり得たかもしれませんね。
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種類が豊富な理由
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なぜこんなにスポンジの厚さの種類があるのでしょうか。
卓球はとても小さいボールを扱うスポーツです。
やりこめばやりこむほど微妙なタッチの差を追求することになり、今のような品揃えになったのだと思います。
あまり的確な例えではないかもしれませんが、鉛筆の芯の濃さにはたくさんの種類があります。
微妙な書き味を追求する人がいるからこそ、あれだけの種類が製品化されたはずです。
粒高ラバーで極薄よりもさらに薄い「超極薄」という厚さを出しているメーカがあります。
ものすごく繊細な違いを求めている度合いが感じられ、鉛筆だとFの硬さを定義したようなものでしょうか。
それぞれの厚さのスポンジが、均等に売られているわけではありません。
多くは厚めのものが好まれ、そういう実態を反映して最初から薄いタイプはラインアップに加えていない製品もあります。
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厚さの違いによる特性
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スポンジが厚いほうが、よく弾んで威力のあるボールが打てると言われます。
私はそれよりも、厚いスポンジはボールの食い込み感がいいため好まれていると考えています。
薄いスポンジでは打球した瞬間、すぐに球離れが起こります。
スポンジが厚いと、ボールがめり込んでいる状態が長いのでコントロールしやすく、ドライブも十分な回転を掛けることができます。
薄いスポンジはサーブやツッツキが切りやすく、ダウンスイングでボールを押さえるのに適しているため、カットマンには比較的使われています。
攻撃重視のカットマンでは厚くて弾むラバーを使っている選手がいて、あれでカットもしているのには驚かされます。
薄いスポンジでいいなと思うのは、スマッシュの打球感です。
スマッシュの威力ではありません。
スポンジが薄いと、ボールをひっぱたいた感触がダイレクトに手に伝わってきます。
1枚ラバーでも面白いでしょうが、極薄ぐらいの裏ソフトで思いっきり叩きつけると、厚よりも満足感が一割ほどアップするように思えます。
大昔はラバーに関する規則はゆるく、スポンジだけを貼ったラケットでもプレーできていたそうです。
スポンジだけなので正確にはラバーと言えないのでしょう。
でも、通称スポンジラバーと呼ばれていました。
厚さに関する制限はなかったのでしょうか、なんでも10mmのふかふかスポンジでプレーしてもOKだったそうで、びっくりです。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
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