今回は今から3年前の出来事について書いてみたいと思います。
外国の方と卓球をする際のコミュニケーションについてです。
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中国式ペンホルダーの2人
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所属する組織はそれぞれ異なる人が集まった、あるプロジェクトチームがありました。
その中に私と中国人の王さん(仮名)がいました。
王さんは基本的な日本語での会話はできる方でした。
それなりの期間、卓球をやっていて日本にもラケットを持ってきていました。
ふとしたことで私が卓球愛好家であることを話すと、一緒に打ってみないか誘われました。
同じく日本に来ている知人の中国人とは、来日してから卓球をしたことがあったそうです。
そして初めて日本人の私と仕事を終えた後で打つこととなりました。
私はペンホルダーで、その日のフィーリングで日本式と中国式を使い分けています。
日本人らしさをアピールするなら日ペンのほうが良かったかもしれません。
でもその時は中ペンのほうがしっくりきていたのでそちらを持参しました。
一方の王さんも、恐らく中国においてもかなり少数派になってしまった中ペンでした。
ただし裏面打法を挫折して片面にだけになった私と違い、裏面ドライブをブンブン振ってくる人でした。
外国の方と卓球をする際のコミュニケーションについてです。
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中国式ペンホルダーの2人
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所属する組織はそれぞれ異なる人が集まった、あるプロジェクトチームがありました。
その中に私と中国人の王さん(仮名)がいました。
王さんは基本的な日本語での会話はできる方でした。
それなりの期間、卓球をやっていて日本にもラケットを持ってきていました。
ふとしたことで私が卓球愛好家であることを話すと、一緒に打ってみないか誘われました。
同じく日本に来ている知人の中国人とは、来日してから卓球をしたことがあったそうです。
そして初めて日本人の私と仕事を終えた後で打つこととなりました。
私はペンホルダーで、その日のフィーリングで日本式と中国式を使い分けています。
日本人らしさをアピールするなら日ペンのほうが良かったかもしれません。
でもその時は中ペンのほうがしっくりきていたのでそちらを持参しました。
一方の王さんも、恐らく中国においてもかなり少数派になってしまった中ペンでした。
ただし裏面打法を挫折して片面にだけになった私と違い、裏面ドライブをブンブン振ってくる人でした。
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第一関門の「ジャンケン」
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肩慣らしのラリーを3分ほどしたあと、試合をしましょうと言われました。
日本人ならもう少し、だらだらとラリーを続けていたと思います。
中国の方なので、コイントスをすべきなのか躊躇しました。
しかしまあここは日本のやり方でと思い「最初はグー」とジャンケンを始めてみました。
王さんは一瞬戸惑ったようでしたが応じてくれていました。
ジャンケンをしてしまったあとで尋ねるのは本末転倒ですが、これについて何か変に感じたのかを率直に問いかけてみました。
ジャンケンは知っていて、最近では「ジャンケンポン」より「最初はグー」の掛け声のほうが優勢であることも理解していたそうです。
しかし卓球でのジャンケンは初めての経験で、やや緊張したとのことでした。
少し前に視力検査があり、王さんは「C」の記号を初めて見たそうです。
中国では「E」で、これについては事前知識がなかったためパニックになりました。
日本人スタッフは「C」が万国共通だと信じていたので、反応が返ってこない王さんを叱責したそうです。
それに比べると卓球のジャンケンは、衝撃度:小のカルチャーショックにとどまりました。
王さんは裏面打法を諦めた私の過去をあざ笑うかのごとく、バック側に出したサーブを裏面ドライブで何度も払ってきました。
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通訳者の苦労
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3ゲーム目を終え、その中での展開についてやり取りがありました。
お互いが再認識したのが、卓球用語は専門用語だということでした。
サーブ、レシーブ、スマッシュあたりなら、王さんでなくても一般的な日本語での意思疎通が可能な方なら通じます。
でも、ツッツキ、ドライブ、カットになってくると状況は一変します。
1)まず国籍など関係なく、卓球の中身がそれなりに分かっている必要があります。
2)そして各々の概念を日本語の卓球用語と結びつけることで理解に繋がります。
日本人でも卓球をしない人は「ツッツキ」と言われても何のことかわかりません。
私と王さんは、言葉、ジェスチャー、紙とペン、を総動員する流れとなりました。
その過程で私も中国語表記の、歩法(フットワーク)、抽球(ドライブ)、削球手(カットマン)などを理解しました。
ここから考えを広げてみると、通訳をしている人は基本の言語能力だけでなく、求められる分野の専門知識も事前学習していなければ務まらないということです。
また逆のパターンで、外国語で話されている内容がわからない場合でも、中身によってはそれは当然というケースもあるということです。
お互いの話者は話をする上で、なんらかの前提があったり、深い専門的な内容であるなどを相互に踏まえているからです。
意外だったのは、王さんが張継科選手の名前の由来を知らなかったことでした。
サッカーファンのお父さんがジーコ選手にちなんで、発音が似ている「継科」という名前にしました。
そんなことを知っている私を卓球オタクだと思ったかもしれませんね。
その通りですが。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
第一関門の「ジャンケン」
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肩慣らしのラリーを3分ほどしたあと、試合をしましょうと言われました。
日本人ならもう少し、だらだらとラリーを続けていたと思います。
中国の方なので、コイントスをすべきなのか躊躇しました。
しかしまあここは日本のやり方でと思い「最初はグー」とジャンケンを始めてみました。
王さんは一瞬戸惑ったようでしたが応じてくれていました。
ジャンケンをしてしまったあとで尋ねるのは本末転倒ですが、これについて何か変に感じたのかを率直に問いかけてみました。
ジャンケンは知っていて、最近では「ジャンケンポン」より「最初はグー」の掛け声のほうが優勢であることも理解していたそうです。
しかし卓球でのジャンケンは初めての経験で、やや緊張したとのことでした。
少し前に視力検査があり、王さんは「C」の記号を初めて見たそうです。
中国では「E」で、これについては事前知識がなかったためパニックになりました。
日本人スタッフは「C」が万国共通だと信じていたので、反応が返ってこない王さんを叱責したそうです。
それに比べると卓球のジャンケンは、衝撃度:小のカルチャーショックにとどまりました。
王さんは裏面打法を諦めた私の過去をあざ笑うかのごとく、バック側に出したサーブを裏面ドライブで何度も払ってきました。
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通訳者の苦労
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3ゲーム目を終え、その中での展開についてやり取りがありました。
お互いが再認識したのが、卓球用語は専門用語だということでした。
サーブ、レシーブ、スマッシュあたりなら、王さんでなくても一般的な日本語での意思疎通が可能な方なら通じます。
でも、ツッツキ、ドライブ、カットになってくると状況は一変します。
1)まず国籍など関係なく、卓球の中身がそれなりに分かっている必要があります。
2)そして各々の概念を日本語の卓球用語と結びつけることで理解に繋がります。
日本人でも卓球をしない人は「ツッツキ」と言われても何のことかわかりません。
私と王さんは、言葉、ジェスチャー、紙とペン、を総動員する流れとなりました。
その過程で私も中国語表記の、歩法(フットワーク)、抽球(ドライブ)、削球手(カットマン)などを理解しました。
ここから考えを広げてみると、通訳をしている人は基本の言語能力だけでなく、求められる分野の専門知識も事前学習していなければ務まらないということです。
また逆のパターンで、外国語で話されている内容がわからない場合でも、中身によってはそれは当然というケースもあるということです。
お互いの話者は話をする上で、なんらかの前提があったり、深い専門的な内容であるなどを相互に踏まえているからです。
意外だったのは、王さんが張継科選手の名前の由来を知らなかったことでした。
サッカーファンのお父さんがジーコ選手にちなんで、発音が似ている「継科」という名前にしました。
そんなことを知っている私を卓球オタクだと思ったかもしれませんね。
その通りですが。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
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