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卓球は用具や戦型が多彩なスポーツです。

フォアはドライブでバックはカットというハイブリッドスタイルの人、ペンで片面だけに一枚ラバーを貼った人、たまにそんな人にも出会います。

しかしそういった相手でも審判をしていたり周囲で見ていると、どういう戦術で臨もうか、ある程度のイメージトレーニングはできます。

今回ご紹介するSさんは、一見するとありふれたタイプですが、対戦してみて意外性があった方です。


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 回転軽視?のスタイル
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Sさんは、日本式角形ペンホルダーの片面だけに裏ソフトラバーを貼っています。

伝統的な右利きペンドラ選手のように見えます。

試合前のウォーミングアップで少し「おやっ」と思うことがありました。

ミート打ちばかりで、ボールにほとんどドライブ回転がかかっていないのです。

ぎゅんぎゅんドライブをかけるのは重心移動が伴います。

その時は体力を温存させるためなのかなと、あまり気にかけませんでした。

試合が始まり、Sさんが攻撃を仕掛けてきました。

3球目攻撃をしてくるのですが、ドライブではなくほぼミート打ちです。

バックサイドに回りこんでクロスにミート打ちをし、それを私がショートでフォアに振りましたが、飛びついて返してきたボールもミート打ちです。

試合は0-3で私があっさり負けました。

試合後休憩場所でSさんとしばらく話をしていました。

ボールにあまり回転がかかっていないことを率直に尋ねてみました。

これまでいろんな人からも言われているとのことで、表ソフトにしたらという安直な提案もたくさんいただいたそうです。

確かに表ソフトにすれば、ナックルで相手を困らせる利点が生まれます。

でもSさんは、自分なりに裏ソフトの引っ掛かりの感覚が必要なんだそうです。

従ってドライブはかかっていなくても、裏ソフトを使い続けたいとのことでした。


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 かっ飛び用具で動きまくる
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角形ペンホルダーといえば、ヒノキの単板ラケットが定番です。

Sさんはそうではなく、カーボンラケットを使っています。

それにハードヒッター用のスポンジ硬めの分厚いテンションラバーを貼っています。

高反発のラケットにスピード系のラバーなので、回転をかける前にボールが飛んでいってしまっているのではないのでしょうか。

私はその点についてもズバリ聞いてみました。

「そうかもしれない」と肯定的な返事で、ただそうであっても、今の用具がSさんにはベストなのだそうです。

スピード系のテンションラバーだと、強打したときに「パキン」という甲高い音がします。

その音も気に入っているとのことでした。


Sさんは模範的なとても綺麗なフォームです。

フットワークがすごくて、バックに深く回り込んでスマッシュを打つときに、審判にぶつかったり、打った後勢い余って側面フェンスをなぎ倒したこともあったそうです。

ボールじゃなくて、自分が打球後にフェンスの外に飛び出してしまう「人間場外スマッシュ」ですね。

Sさんの戦型はどう表現したらいいのでしょうか。

ペンホルダーミート打ち攻撃型でしょうか。

Sさんは「ペンドラもどきでいいですよ」と言ってました。

ペンドラ選手に見えることは確かなので、それが一番しっくりきているようです。


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 練習での神対応
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あと、些細なことですが、Sさんの練習中の対応が参考になりました。

初心者レベルの方とツッツキの練習をしていたときのことです。

相手の方は、まだ下回転のボールを出すことができない人でした。

そのため普通のボールを短く出すだけにとどまっていました。

同じような経験は私にもあり、そういうときは「全て私の方からボールを出しますね」と断ったうえで、下回転のボールを出していました。

Sさんは、相手が最初のボールを出すことを受け入れてあげたいようで、普通のボールを出されても、それを器用にカットスイングして下回転の球を返していました。

そのとき、私は全く別のこととSさんの対応が重なるように感じました。

別のこととは、プロの歌手と素人さんがイベントで一緒に歌っていた場面です。

素人さんの声は高めのキーでした。

プロ歌手は素人さんに合わせて同じキーのまま、2割をファルセット(裏声)で自然に歌っていました。

とっさの場面でも何事もなかったように対応できるのは、まさにプロの技でした。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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