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先月開催された全日本選手権の録画を見返していました。

女子シングルスの決勝は伊藤美誠選手対平野美宇選手の対戦でした。

例年通りNHK Eテレがライブ中継していて、解説は福原選手と宮崎監督でした。

いきなり横道に外れますが、福原選手はスポーツキャスターのような装いではなくかわいらしい服装だったのが意外でした。

「サァ」の声は鋭いのに解説の語りは柔らかく、少し菊池桃子さんが入っているかのようでした。


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 最高の状態を表す言葉
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伊藤選手は心身ともに研ぎ澄まされていて、解説の2人はその様を「ゾーンに入っている」と形容していました。

たまに耳にすることがあり、私は漫画かアニメあたりから広まったのかと思っていました。

検索してみると、集中してうまくいっている状態を心理学でフローやゾーンと定義していて、それがスポーツ選手の調子を表す表現として取り入れられたようでした。

伊藤選手は過去のインタビューで、試合で緊張はしないと発言していたことがありました。

それだけ心臓が強いのならゾーンに入る場面も多そうです。

巷の卓球場でも試合中に「集中!」と声を出し自分にはっぱを掛けている人がいます。

具体的な選手名を挙げるのは避けますが、ちょっとやりすぎなんじゃないと思えるほど変わった形での声出しで己に気合を入れている人もいます。

あれはあれでセルフトーク(独り言)という気持ちを乗せる働きがあり、ちゃんとした心理的効果になっているそうです。


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 集中の意味するもの
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ひとえに集中力といってもいろんな集中の仕方があります。

卓球での集中力とは具体的に何を指すのでしょうか。

集中と聞くとすぐに思い浮かぶのは、意識を一点に集め注視・観察することです。

卓球で最もこのパターンの集中力が要求される場面はレシーブのときです。

変なフェイクモーションを入れて出されるサーブや、しゃがみ込みサーブに変えてきたときなどは、顔の周辺の筋肉を真ん中にきゅっと絞るような感じで相手のラケットワークを凝視します。

ぼーっとしていると回転がわかりませんし、フォアにロングサーブを出されても出だしが遅れたり、全く反応できずにノータッチで見送ってしまうこともあります。

同じく一点を凝視する集中としては、カットマンとのラリー中でもよくあります。

カットしたときのスイングやボールの伸び具合を見極め、どんな回転なのかそして自分はどう返してやろうかをコンマうん秒で判断します。

またこのときは視覚情報だけでなく、相手が打球したときの音も結構重要です。

何度かラリーをするうちに、この選手の「ペシッ」はナックル気味で「パキッ」は結構切れている、なんてことがわかってきます。


他の競技だと広い範囲に意識を配る集中のほうが多いケースがあります。

競技エリアが広く競技者も多いサッカーやラグビーなどでは、自分の周囲にいる敵味方の位置と動きを常時把握しなければなりません。


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 ゾーンに入っていたのは勘違い?
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私のようなどこにでもいる卓球愛好家の意見で恐縮ですが、試合中ゾーンに入っていたように感じたことはありました。

結果は負け試合だったものの、自分なりにキレキレで強い選手に喰らいつけていたからです。

レシーブは一点に神経を集中させ、相手の打球モーションがよく見えていました。

バック前のサーブを回り込んでノータッチで撃ち抜いたり、フォアに出されたロングサーブもしっかりドライブをかけて返球できました。

そういう集中だけでなく、なんだか卓球台全体を俯瞰(ふかん)しているような感じがしていました。

局所的にフォーカスした集中と、プレー領域全体を意識できている感覚が同居している状態だったのです。

この話を練習後の喫茶店でたまたま話していると、ニヤニヤしながら「まあ少しくらい自分語りしても聞いてあげるよ」と言われてしまいました。

別の人は「疲れてきて、ランナーズハイ状態だったかも」という意見でした。

ランナーズハイとは、走っていて疲れが蓄積してきたときに気持ちが良くなる物質が分泌され、自己陶酔状態になる現象です。

うーん、まあ確かに負けた試合でも充実した気分で高揚感はあったと思います。

そう口にした瞬間、みんなからどっと笑われました。

でもいつの日か、そういう状態に再びなって欲しいと思っています。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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