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2023 .08.05
今回は卓球台の上にあるボールを捌(さば)く台上技術についてお話しします。

前回、卓球でラリーを期待するのは幻想であるという考えの人を紹介しました。

同じ考えの人なら台上ボールの処理に対する重要度は高いのではないでしょうか。


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 想定外のツッツキ
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まずは私の体験談を書いてみます。

お名前はもう忘れてしまったAさんと試合をしたときのことです。

ラブオール直後の私のサーブで、Aさんのバック前に下回転を出しました。

Aさんは上体をすくめたような感じで控えめなラケットワークを取りました。

しょっぱななので安全なストップレシーブから入ろうとしたのでしょう。

返球が甘ければ飛び込んで3球目を決めてやろうと、私は前のめりの気持ちになりました。

ところがAさんは打球する際、ブンと鋭く腕を振りブチギレのツッツキを私のバックに深く送ってきました。

私はのけぞりながらループドライブで返球しようとしましたが、見事に差し込まれた形になりミスってしまいました。

「ドンマイ」と心のなかでつぶやき、2本目のサーブはミドルへ下回転を出しました。

1本目のように深くツツかれても今度は万全の体制で回り込み、ドライブを打ち込む予定でした。

Aさんは少しだけバック側に体を移動させ、フォアのツッツキで私のバック側に返そうとしました。

その直後2度めの意図しない返球を食らってしまいました。

Aさんの体の動き、および視線の双方は私のバックへのツッツキでした。

しかし打球直前に手首だけをグキッと曲げ、フォアサイドを切る鋭角のツッツキで返してきたのです。

以前ご紹介したワルドナー選手の小技、顔面フェイクモーションです。

スコアはまだ0-2でしたが、私には衝撃的な内容でした。

Aさんはツッツキを2本打っただけ、しかも2本目はノータッチのツッツキによる得点です。

これが格の違いなのかと愕然としてしまいました。


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 読みを外し読みを超える
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定番の返球パターンというものはそれなりにあります。

上手い人はその中に相手の読みを外す技を混ぜてきます。

レシーブミスは卓球をやっている上で気落ちしてしまう出来事です。

攻撃選手であってもミスを減らし確実性の高い卓球を心がけようとしている方がいます。

回転が分かりづらい場面や、返球率が高い返し方を試行錯誤した結果として、ツッツキレシーブ主体にしたBさんがいました。

私はバックハンドでBさんのフォア前に斜め上回転のサーブを出しました。

斜め上回転なので、通常は面を合わせた順回転で流してくるか、バシッと払ってくるかのどちらかです。

Bさんは包丁でたくあんを切るがごとく、ラケットの面を立てた状態で鋭く下にカッと振り下ろしバックスピンを掛けて返してきたので戸惑いました。

トップ選手の試合でも、大島選手が張本選手にロングサーブを出したのに、カットボールで返す場面があり、解説の宮崎さんが驚いていました。

もちろんそれらは特殊ケースで、Bさんが私のサーブを逆回転を掛けて抑えたのは読みを外す選択肢の1つです。

台上技術の話からは外れますが、Bさんに同じサーブを再び出すと次はクロスに払ってきました。

この場合は私の読み通りでそれをカウンタースマッシュしたのですが、それをさらにカウンター返しされてしまいました。

つまりBさんレベルになると、クロスに払うとカウンターされることは承知で、それを待つという高度な戦術を取っているようです。


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 ツッツキ+α
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片面だけにラバーを貼ったペンドラ(ペンホルダーのドライブマン)の私は、チキータはできません。

バック側に来た短いツッツキについてはバリエーションを増やすべく、ボールを乗っけて左右に擦って返すパターンも取り入れています。

相手のバック側に擦り上げた横回転は初級レベルの人には効きますが、それ以上の人には慣れさせないだけの効果しかありません。

フォア側は一種の逆チキータもどきになり、たまに混ぜると相手をくずことができます。

ただ私から見て左側に擦り上げるのは精度がやや低いという難点があります。

対戦相手は右利きが多いので、対右利きに有効な左擦り上げを密かに磨いています。

そして忘れてはいけないのはこれは補助的な技で、打っていけるなら回り込んでドライブ攻撃するものだとの考えは変わりません。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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