今回は卓球に関する技術用語についてお話したいと思います。
既にご存知のものでも理解をより深めていただければ幸いです。
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チキータ
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「あっチキータでしょ。それなら知ってるわよ」
「バックにきたツッツキを払って返す打法じゃない」
そう語られる人に何人かお会いしたことがあります。
厳密に言うとそれは不正確な理解です。
チキータはバナナのブランドで、横回転をかけてバナナのように曲がるボールからその名前が付けられました。
従って単にバックハンドで払う打法はチキータではありません。
それはフリック(ペシッと払い気味に打つ)か、台上バックハンドドライブ (ブン!と前進回転をかける)になります。
さて、なぜこういった誤用が広まっているのか、もう少し深く考えてみることにします。
新しい言葉は私達の会話の中でスパイスのような働きをして、話を引き立てる効果があります。
従って実況のアナウンサーや解説者が、微妙なスイングでもチキータを濫用した可能性があります。
また一般論としても、言葉は生き物のように絶えず変化するので、意味の定義が変わるのはどの時代、どの言語でもあることです。
私はこの「誤ったチキータ」が、今後の主流になると思っています。
そして将来は「横回転のチキータ」といった使われ方もされてしまうはずです。
少々悲しいことですが、今でも「ヤバい」とか「なにげに」など、言葉の使われ方が変わっていくのを止めるのは難しいことです。
最近では恥ずかしいを「ハズい」と表現するのを耳にします。
ご年配の方なら思わず眉をひそめる短縮語で、私もそれなりの違和感があります。
でも客観的に考えてみると、短くて他の表現とも混同されることはななさそうなので定着しそうな予感がします。
私も2~3年後には平気で使っているかもしれません。
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ストップ
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試合を中断することではありません。
相手を前後に揺さぶる際、前に移動させるボールのことです。
カットマンを後ろに下がらせておいた状態でツッツキで返球したり、ロビングに追い込んだ状態で短くポトッと落とす戦術です。
カットマンだと台のそばに駆け寄ってツッツキで返してきたら、次にそのボールをミドルへ強打するのが理想的な攻略パターンです。
注意しないといけないのは、甘いストップボールだと相手の絶好球になってこちらが打ち込まれてしまいます。
このカットマンはバック側が粒高ラバーだから、バック側にストップをしておけば安心・・・いや油断するのは禁物です。
突っ込んでくるときにラケットを反転させ、裏ソフトでスマッシュの反撃を喰らう場合があります。
また粒高のままひっぱたかれることがあり、そういうボールは威力はまあまあでも変な回転でこちらが返球に窮することがあります。
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バタンサーブ
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比較的中高年の方の使用頻度が高い用語です。
バタンは足を鳴らす音の擬音です。
あまり大きな音だと、バッドマナーで警告が出されることもあり得ます。
サーブを出す時に、自然と足を踏み鳴らしてしまう人もいらっしゃるでしょう。
昔はこれを意図的にやっていた選手がいました。
ラバーの色が両面同色だった時代、打球した音でどちらのラバーで打ったか分からないよう、インパクトの瞬間に足を鳴らしていたとのことです。
裏ソフトと粒高の違いなら分かりそうですが、当時なら裏とアンチラバーの組み合わせが多かったはずです。
そして下回転のモーションで出していたはずなので、音の違いで判別できていたというのには驚きます。
何度も試合をしたことのある相手なら、微妙な音の差で分かったのかもしれませんね。
一つ疑問に感じたのは、足を鳴らすのが最善の方法だったかということです。
例えば、咳払いをするというのはどうでしょうか。
もしくは「ウリャー」と掛け声を出したほうがスポーツマンらしくて良かったかもしれません。
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レット
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「レット?ネットじゃないの?」
そう疑問を持たれた方もいらっしゃることと思います。
実際、試合でサーブがネットに当たって入った時、主審が片手を上げてコールしているため、「ネット」だと固く信じて疑わない人もいるでしょう。
レットとネットは発音が近いので誤解されやすいという理由もあります。
レットは中断してやり直しを命じる場合に使われます。
ラリー中に隣のコートからボールが飛び込んできたり、海外ではたまにあるそうですが停電になったりしてもレットでやり直しとなります。
「そうなのか。ネットじゃなくてレットなんだ。さっそく他の人にも教えてあげなくちゃ」と思ったあなた、少し落ち着いていただけるようお願いします。
以前、卓球は「セット」ではなく「ゲーム」と表現することを説明しました。
しかし現実には「セット」を使う人は多く、その全てに訂正を求めていくと確実に煙たがられてしまいます。
どうでもいい場面では「ネット」をさらっと聞き流し、教えてあげてもよさそうな雰囲気や状況になって初めて切り出すのが無難かと思います。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
既にご存知のものでも理解をより深めていただければ幸いです。
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チキータ
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「あっチキータでしょ。それなら知ってるわよ」
「バックにきたツッツキを払って返す打法じゃない」
そう語られる人に何人かお会いしたことがあります。
厳密に言うとそれは不正確な理解です。
チキータはバナナのブランドで、横回転をかけてバナナのように曲がるボールからその名前が付けられました。
従って単にバックハンドで払う打法はチキータではありません。
それはフリック(ペシッと払い気味に打つ)か、台上バックハンドドライブ (ブン!と前進回転をかける)になります。
さて、なぜこういった誤用が広まっているのか、もう少し深く考えてみることにします。
新しい言葉は私達の会話の中でスパイスのような働きをして、話を引き立てる効果があります。
従って実況のアナウンサーや解説者が、微妙なスイングでもチキータを濫用した可能性があります。
また一般論としても、言葉は生き物のように絶えず変化するので、意味の定義が変わるのはどの時代、どの言語でもあることです。
私はこの「誤ったチキータ」が、今後の主流になると思っています。
そして将来は「横回転のチキータ」といった使われ方もされてしまうはずです。
少々悲しいことですが、今でも「ヤバい」とか「なにげに」など、言葉の使われ方が変わっていくのを止めるのは難しいことです。
最近では恥ずかしいを「ハズい」と表現するのを耳にします。
ご年配の方なら思わず眉をひそめる短縮語で、私もそれなりの違和感があります。
でも客観的に考えてみると、短くて他の表現とも混同されることはななさそうなので定着しそうな予感がします。
私も2~3年後には平気で使っているかもしれません。
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ストップ
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試合を中断することではありません。
相手を前後に揺さぶる際、前に移動させるボールのことです。
カットマンを後ろに下がらせておいた状態でツッツキで返球したり、ロビングに追い込んだ状態で短くポトッと落とす戦術です。
カットマンだと台のそばに駆け寄ってツッツキで返してきたら、次にそのボールをミドルへ強打するのが理想的な攻略パターンです。
注意しないといけないのは、甘いストップボールだと相手の絶好球になってこちらが打ち込まれてしまいます。
このカットマンはバック側が粒高ラバーだから、バック側にストップをしておけば安心・・・いや油断するのは禁物です。
突っ込んでくるときにラケットを反転させ、裏ソフトでスマッシュの反撃を喰らう場合があります。
また粒高のままひっぱたかれることがあり、そういうボールは威力はまあまあでも変な回転でこちらが返球に窮することがあります。
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バタンサーブ
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比較的中高年の方の使用頻度が高い用語です。
バタンは足を鳴らす音の擬音です。
あまり大きな音だと、バッドマナーで警告が出されることもあり得ます。
サーブを出す時に、自然と足を踏み鳴らしてしまう人もいらっしゃるでしょう。
昔はこれを意図的にやっていた選手がいました。
ラバーの色が両面同色だった時代、打球した音でどちらのラバーで打ったか分からないよう、インパクトの瞬間に足を鳴らしていたとのことです。
裏ソフトと粒高の違いなら分かりそうですが、当時なら裏とアンチラバーの組み合わせが多かったはずです。
そして下回転のモーションで出していたはずなので、音の違いで判別できていたというのには驚きます。
何度も試合をしたことのある相手なら、微妙な音の差で分かったのかもしれませんね。
一つ疑問に感じたのは、足を鳴らすのが最善の方法だったかということです。
例えば、咳払いをするというのはどうでしょうか。
もしくは「ウリャー」と掛け声を出したほうがスポーツマンらしくて良かったかもしれません。
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レット
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「レット?ネットじゃないの?」
そう疑問を持たれた方もいらっしゃることと思います。
実際、試合でサーブがネットに当たって入った時、主審が片手を上げてコールしているため、「ネット」だと固く信じて疑わない人もいるでしょう。
レットとネットは発音が近いので誤解されやすいという理由もあります。
レットは中断してやり直しを命じる場合に使われます。
ラリー中に隣のコートからボールが飛び込んできたり、海外ではたまにあるそうですが停電になったりしてもレットでやり直しとなります。
「そうなのか。ネットじゃなくてレットなんだ。さっそく他の人にも教えてあげなくちゃ」と思ったあなた、少し落ち着いていただけるようお願いします。
以前、卓球は「セット」ではなく「ゲーム」と表現することを説明しました。
しかし現実には「セット」を使う人は多く、その全てに訂正を求めていくと確実に煙たがられてしまいます。
どうでもいい場面では「ネット」をさらっと聞き流し、教えてあげてもよさそうな雰囲気や状況になって初めて切り出すのが無難かと思います。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
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