今年は全日本選手権、世界選手権、オリンピックと主要大会がテレビで放送されました。
今回はこれらのテレビ放送についてお話ししたいと思います。
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実況中継
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まず試合の場面そのものである実況中継は、卓球に詳しい方が担当されていたことで大変充実していました。
毎年テレビ東京は「世界卓球20xx」の番組名で世界選手権を熱心に取り上げてくれています。
そういう企画をするのに恥じない、ちゃんとした実況ができる斉藤さん、植草さんという優秀なアナウンサーがいます。
お二方は卓球に造詣が深く、カーブドライブなど普通のスポーツ担当アナウンサーでは表現できないような詳しいレベルでの解説をしてくれます。
オリンピックでは、NHKと民法が協力してジャパンコンソーシアムという体制を組んでいます。
ジャパンコンソーシアムでは、局の垣根を超えてそれぞれの専門に詳しいアナウンサーを割り当てることにしています。
そのため、NHKの卓球の放送でもテレビ東京の斉藤アナウンサーが実況を担当していました。
アナウンサーの隣で解説を担当された方は、いずれもトッププレーヤーとして活躍した人でした。
技術的な分析に加え、双方がどういう展開に持ち込もうとするかなど予想を交えることもあります。
樋浦さんの極めて冷静沈着な解説、近藤前監督のたまにひねりが入った解説、どちらもそれぞれ味があっていいと思いました。
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選手インタビュー
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放送では実況の場面だけでなく、選手へのインタビューや試合結果についての論評などいろいろとあります。
そういった部分になってくると良かったものもありますし、それほど興味深く観ることはなかったものもあります。
選手インタビューでは、私は試合の技術的な内容にもっと突っ込んで聞いて欲しいと考えています。
でもインタビューを担当する方があまり卓球に詳しくないようで、そういった質問ができないようです。
可能であったとしても、ひょっとするとインタビューは解説とは違って一般的な内容にすべきという方針なのかもしれませんが。
勝敗に対する感想、勝負にかけてきた熱意といった心情的なものが多く、最後は応援してくれた方へのメッセージでよく締めくくられます。
この問いかけ内容はとても汎用的で、全く別の場面、例えば選挙の当落に対するインタビューでも使えてしまいます。
確かに卓球の試合でも、その場に至るまで多くの方にお世話になっているはずです。
そして感謝の気持を伝えたいと考えている選手も中にはいるでしょう。
でも私だったら、試合の直後は結果に対する喜び/悲しみと同時に、直前のプレーの中身が頭の中でグルグル回っています。
対戦相手のカットは変化の度合いが半端無かったなぁとか、しつこくミドルを責められて苦しかった、などです。
視聴者は試合の模様を見ていてそれぞれ感想を持っています。
戦った選手本人はプレーについてどう考えていたのか、私はズバリそれを聞きたいと思います。
専門的でないインタビューを好まないスポーツ選手はいます。
サッカーの本田選手は、タレントからインタビューされるのは嫌いだと話しています。
質問する人に合わせてどのレベルに調整して話をすればいいのか、気を遣ってしまうそうです。
ピントのずれた質問をされたり、答えた内容が正しく伝わらない可能性もあるでしょう。
最近の風潮では、一般向けに分かりやすさや単純化が求められています。
池上彰さんのニュース解説などが典型的な例です。
それはとてもいいことですが、一般向けにすべき場面と専門向けにすべき場面を適切に使い分けてもらえたらと思います。
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有名人による視聴率アップ
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民放ではエンターテインメント性を付加した番組作りに余念がありません。
現地での実直な解説に加え、テレビ局のスタジオでは有名人を起用して盛り上げます。
テレビ東京では以前、タレントの照英さんや石原良純さんが出演していました。
最近は卓球経験者ということで福澤朗さんが起用されています。
福澤さんは、一歩踏み込んで卓球のことを語ろうという姿勢が伺えます。
NHKの全日本の中継では、ゲームの合間に裏ソフトと表ソフトの解説をしていたことがあります。
福澤さんは福原選手が使っている変化系表の特徴を説明していましたが、スタジオ内の反応は鈍い感じでした。
比較対象としていたミズノのノーマルな表ソフトとアタック8は、経験者なら全く別物なのですが、残念ながら一般の方にはほとんど同じだというのが分かりました。
たぶん裏ソフトとアンチラバーの説明をしても理解されにくく、NHKの裏と表の差(すべすべとつぶつぶ)が限界なのでしょう。
他局でも福澤さんは用具メーカーや選手の名前を出していましたが、周囲の方には異次元の話でした。
これは前半で述べた、一般向けか専門向けかの判断に関係してくる話です。
全体としては一般向けの内容で進める場面で、少しは専門的な部分も加えてみようという試みだったのでしょう。
なにごとにも試行錯誤はつきものですので、福澤さんにはこれにめげずに卓球の広報活動に貢献していただきたいと願っています。
有名人の起用で大きく失敗している番組は時々見かけます。
野球でKさんとSさんという元大物選手が解説していました。
しかし詳しく知らない選手がいたり、世間話を交えるようなガッカリ解説でした。
テレビで解説をする立場なのに、スタメンのことも知らないというのは呆れてしまいます。
ご自身のネームバリューがあれば試聴率は取れ、解説内容は素人レベルでも許されると考えていたのでしょうか。
サッカーではお笑い芸人のAさんが、がなりたてるだけで起用した意味が無いと言われた番組がありました。
辞書で「解説」を引くと
解説(かいせつ)
よく分かるように物事を分析して説明すること。またその説明。
とあります。あくまでもこれが基本です。
多少の冗談や情熱的な語りは、いいアクセントになるのでむしろ歓迎します。
いまさらではありますが、有名人の解説で一番すごいのはやはりデーモン閣下です。
競技に対する知識や思いがまっとうであれば、あの容姿のまま解説に招くという日本相撲協会に拍手を送りたいです。
格式や威厳でガチガチだと思ってたら、結構やわらか頭だったんですね。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
今回はこれらのテレビ放送についてお話ししたいと思います。
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実況中継
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まず試合の場面そのものである実況中継は、卓球に詳しい方が担当されていたことで大変充実していました。
毎年テレビ東京は「世界卓球20xx」の番組名で世界選手権を熱心に取り上げてくれています。
そういう企画をするのに恥じない、ちゃんとした実況ができる斉藤さん、植草さんという優秀なアナウンサーがいます。
お二方は卓球に造詣が深く、カーブドライブなど普通のスポーツ担当アナウンサーでは表現できないような詳しいレベルでの解説をしてくれます。
オリンピックでは、NHKと民法が協力してジャパンコンソーシアムという体制を組んでいます。
ジャパンコンソーシアムでは、局の垣根を超えてそれぞれの専門に詳しいアナウンサーを割り当てることにしています。
そのため、NHKの卓球の放送でもテレビ東京の斉藤アナウンサーが実況を担当していました。
アナウンサーの隣で解説を担当された方は、いずれもトッププレーヤーとして活躍した人でした。
技術的な分析に加え、双方がどういう展開に持ち込もうとするかなど予想を交えることもあります。
樋浦さんの極めて冷静沈着な解説、近藤前監督のたまにひねりが入った解説、どちらもそれぞれ味があっていいと思いました。
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選手インタビュー
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放送では実況の場面だけでなく、選手へのインタビューや試合結果についての論評などいろいろとあります。
そういった部分になってくると良かったものもありますし、それほど興味深く観ることはなかったものもあります。
選手インタビューでは、私は試合の技術的な内容にもっと突っ込んで聞いて欲しいと考えています。
でもインタビューを担当する方があまり卓球に詳しくないようで、そういった質問ができないようです。
可能であったとしても、ひょっとするとインタビューは解説とは違って一般的な内容にすべきという方針なのかもしれませんが。
勝敗に対する感想、勝負にかけてきた熱意といった心情的なものが多く、最後は応援してくれた方へのメッセージでよく締めくくられます。
この問いかけ内容はとても汎用的で、全く別の場面、例えば選挙の当落に対するインタビューでも使えてしまいます。
確かに卓球の試合でも、その場に至るまで多くの方にお世話になっているはずです。
そして感謝の気持を伝えたいと考えている選手も中にはいるでしょう。
でも私だったら、試合の直後は結果に対する喜び/悲しみと同時に、直前のプレーの中身が頭の中でグルグル回っています。
対戦相手のカットは変化の度合いが半端無かったなぁとか、しつこくミドルを責められて苦しかった、などです。
視聴者は試合の模様を見ていてそれぞれ感想を持っています。
戦った選手本人はプレーについてどう考えていたのか、私はズバリそれを聞きたいと思います。
専門的でないインタビューを好まないスポーツ選手はいます。
サッカーの本田選手は、タレントからインタビューされるのは嫌いだと話しています。
質問する人に合わせてどのレベルに調整して話をすればいいのか、気を遣ってしまうそうです。
ピントのずれた質問をされたり、答えた内容が正しく伝わらない可能性もあるでしょう。
最近の風潮では、一般向けに分かりやすさや単純化が求められています。
池上彰さんのニュース解説などが典型的な例です。
それはとてもいいことですが、一般向けにすべき場面と専門向けにすべき場面を適切に使い分けてもらえたらと思います。
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有名人による視聴率アップ
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民放ではエンターテインメント性を付加した番組作りに余念がありません。
現地での実直な解説に加え、テレビ局のスタジオでは有名人を起用して盛り上げます。
テレビ東京では以前、タレントの照英さんや石原良純さんが出演していました。
最近は卓球経験者ということで福澤朗さんが起用されています。
福澤さんは、一歩踏み込んで卓球のことを語ろうという姿勢が伺えます。
NHKの全日本の中継では、ゲームの合間に裏ソフトと表ソフトの解説をしていたことがあります。
福澤さんは福原選手が使っている変化系表の特徴を説明していましたが、スタジオ内の反応は鈍い感じでした。
比較対象としていたミズノのノーマルな表ソフトとアタック8は、経験者なら全く別物なのですが、残念ながら一般の方にはほとんど同じだというのが分かりました。
たぶん裏ソフトとアンチラバーの説明をしても理解されにくく、NHKの裏と表の差(すべすべとつぶつぶ)が限界なのでしょう。
他局でも福澤さんは用具メーカーや選手の名前を出していましたが、周囲の方には異次元の話でした。
これは前半で述べた、一般向けか専門向けかの判断に関係してくる話です。
全体としては一般向けの内容で進める場面で、少しは専門的な部分も加えてみようという試みだったのでしょう。
なにごとにも試行錯誤はつきものですので、福澤さんにはこれにめげずに卓球の広報活動に貢献していただきたいと願っています。
有名人の起用で大きく失敗している番組は時々見かけます。
野球でKさんとSさんという元大物選手が解説していました。
しかし詳しく知らない選手がいたり、世間話を交えるようなガッカリ解説でした。
テレビで解説をする立場なのに、スタメンのことも知らないというのは呆れてしまいます。
ご自身のネームバリューがあれば試聴率は取れ、解説内容は素人レベルでも許されると考えていたのでしょうか。
サッカーではお笑い芸人のAさんが、がなりたてるだけで起用した意味が無いと言われた番組がありました。
辞書で「解説」を引くと
解説(かいせつ)
よく分かるように物事を分析して説明すること。またその説明。
とあります。あくまでもこれが基本です。
多少の冗談や情熱的な語りは、いいアクセントになるのでむしろ歓迎します。
いまさらではありますが、有名人の解説で一番すごいのはやはりデーモン閣下です。
競技に対する知識や思いがまっとうであれば、あの容姿のまま解説に招くという日本相撲協会に拍手を送りたいです。
格式や威厳でガチガチだと思ってたら、結構やわらか頭だったんですね。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
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