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前号の卓球レポートの特集は「張継科が教える『チキータのあとは両ハンドで待つ』」というタイトルでした。

両ハンドというのは右手と左手というわけではなく、フォアハンドとバックハンドを意味します。

フォアからもバックからも自在に攻撃を仕掛けていくことは、現代卓球に必須と言っていい戦術です。

両ハンド攻撃はシェークハンドの選手の場合、当然のことながらフォアとバックの両面を使うことになります。

そしてペンの選手では今ならバック側は裏面打法を使う人が一般的になりつつあります。

今回はそれらとは異なる、ペン表面でのバックハンドを武器にしていた両ハンド攻撃スタイルについてお話しします。


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 名作ラケットの考案者
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日本人選手でこのスタイルとして真っ先に語られるのが、河野満選手です。

1977年バーミンガムで開催された世界選手権で、男子シングルスのチャンピオンに輝きました。

その時に使っていたラケットに近い仕様の製品が、現在もTSPから「バーミンガム77」という名前で販売されています。

カタログでは角丸型と表現されていますが、よく見かける一般的な角丸型とは少し異なり、しゃもじ型・水滴型を帯びているというとお分かりいただけるでしょうか。

裏側に指の滑り止めのための平コルクは貼られていません。

河野選手はたくさんのラケットを試作してもらい、これにたどり着いたのだそうです。

私もバーミンガム77を使わせてもらったことがありますが、反発力はやや控えめでなによりこの独特の形状は好きになれません。

ただ世界を制したラケットというネームバリューを差し引いても、これだけのロングセラー製品なので、一般的には確かな評価がなされていることは理解しています。


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 ラバー、グリップ、戦術
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河野選手はアームストロングの赤マークというラバーを貼っていて、その後TSPのスペクトルに変えたそうです。

スペクトルの下の部分にスマッシュを打つイラストが描かれていて、これは河野選手という噂もあるそうですが真偽の程は不明です。

ペンホルダーの人はこの部分を切り取ってしまうことが多く、イラスト人物の頭の先端だけが残るラインと、頭も完全に切り取ってしまうラインの2通りの切り方があるそうです。

ラケットの握り方は、表側は一般的な日本式ペンホルダーの握りで人差し指をコルクグリップにしっかり引っ掛けています。

裏側はバックハンドを効果的に振れるよう、伸ばし気味にした指をラケットの縁のほうに斜めに寄せています。

こういうグリップの方にも時々お会いすることはあります。

もっと極端な人もいて、ラケットの縁から薬指がはみ出し表側からも指先が見える握りを見たことがあります。

サーブはフォアからのアップダウンサーブを使うことがあり、順回転か逆回転かを分かりづらくして出しています。

それとは異なりますが同じような分かりにくさとして、今なら吉村選手のサーブが挙げられます。

下回転なのかそうでないのか目を凝らしても判別が難しく、レシーブする側は二者択一を迫られます。


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 さらに2人の選手をご紹介
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同じペン表ソフトで両ハンド攻撃というと中国の荘則棟選手も有名です。

世界選手権のシングルスを三連覇した方です。

私はバックハンドを振れたほうが絶対有利だと思うのですが、シニアの方に聞くと少なくとも当時は必ずしもそうではなかったとのことです。

バック側はショートが基本の「右打ち左押し」と呼ばれるスタイルでも、両ハンド攻撃型でも、どちらも「世界を狙える」戦法だったとのことです。

動画を見ると荘選手は中国式ペンホルダーだけあって、フォアとバックを曲線を描くように滑らかに切り替え、一方の河野選手は直線的に素早く切り替え機械的な感じがしました。

個人的には河野選手の動きのほうが興味深く、鮮やかなカウンタースマッシュが決まるのは面白かったです。


近年の選手で同じような印象を持ったのが、少し前に引退された田崎選手でした。

田崎選手は中国式ペンホルダーでしたが、荘選手と河野選手のどちらに近いかといえば後者です。

バック側にドライブを打ち込まれてもショートだけでなく、表面のバックハンドでカウンタースマッシュを決めることがあり、実戦でもこんな大技が決まってしまうことに驚きます。


戦術は常に進化していて、昔のプレースタイルが否定されることは少なくありません。

ほとんど守るだけのカットマンや、片面だけを使うオールフォアのペンドラ選手が厳しいことは私もよく分かります。

しかし今回ご紹介した両ハンド攻撃のスタイルは、選手の絶対数が少ないだけで今でも結構健闘できるのではないかという思いがあります。

それだけに戦型の画一化の流れが止まらず、今回ご紹介したタイプの選手はもう現れそうにないのが残念です。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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