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前回は中国式前陣速攻についてお話しましたが、今回もそれに関することを書いてみたいと思います。


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 スタイルを細分類
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卓球のプレースタイルを分類していくと、同じ範疇に入る選手であっても戦術や打法やなどはそれぞれ異なります。

最後のペン表チャンピオンと言われている劉国梁(リュウゴウリャン)選手は、裏面打法のパイオニアと呼ばれていて、中国からポーランドに帰化したワンツォンイー選手やスペインのカンテロ選手も似たタイプです。

ラケットの表面は表ソフト裏面は裏ソフトです。

これらの選手はバック側がハイブリッドスタイルで、表面のショートを主体としつつそこに裏面打法も織り交ぜたプレーです。

同じ構成のラケット・ラバーを使っていても、バック側はツッツキを除いて全て裏面打法にしている選手もいます。

日本だと村守選手がそうでしたし、イギリス女子代表のホ選手も同じです。

ペンホルダー表ソフトの戦型は激減していますが、裏面打法を使う選手ならわずかながらも続いているようです。

新しい選手が生まれてなさそうなのが、昔ながらの片面だけを使ったペン表ソフトのスタイルです。

前回ご紹介した江加良(ジャンジャリャン)選手が典型的で、右打ち左押しと呼ばれていました。

右利きの選手が多いので「右」側に来たボールはフォアハンドで「打ち」、「左」側に来たボールはバックショートで「押す」このシンプルな動作を右打ち左押しと言い表したのです。

人によってはそれにもう一つ表現を加え、1)フォアハンドの振り、2)バックショート、3)ツッツキから成るシンプルな3つの打法と紹介しています。

実際は1)のフォアハンドでも、切れたツッツキを持ち上げるスイングとドライブをカウンターで返すのでは全く打ち方が異なります。

しかし速いテンポでボールを返球するペン表のスタイルでは、どうしてもコンパクトなスイングになり見た目の違いは少なくなります。

単純な3種類の打法で世界を制したと言われても、ある意味理解したいと思います。
(言外に高度な技がない、面白みがないなどの否定的なニュアンスが感じられるのはもちろん残念には思っています)

片面だけを使いながらも江選手とは若干異なるのが、荘則棟(ツァンヅートン)選手のようなラケットの表面でバックハンドを振る選手です。

両ハンドとも呼ばれ、大昔の卓球レポートでは右打ち左押しであれ両ハンドであれ、どちらも世界を狙えるスタイルだと紹介されていたそうです。

ペン表が衰退している現在なら皮肉を込めた冗談と解釈されるかもしれませんが、ペン表の世界チャンピオンが続いていた当時は大真面目な記事だったのでしょう。


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 本当に「速い」のか
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この戦型は一般的には前陣速攻や前陣攻守と呼ばれています。

前陣というのはその通りで、攻めが速いかどうかについては意見が分かれるかもしれません。

裏ソフトの選手でも台から距離を取ってドライブを引き合うことをあまりせず、バウンド直後やボールの頂点を積極的に叩いていく選手というのはいます。

逆に中ペン表の選手でも田崎選手のように、台から少し距離を取って両ハンドのカウンター狙いという選手もいます。

江選手のプレーなら速攻と呼んで構わないのではないでしょうか。

自コートにバウンドしてからできるだけ短いタイミングでボールをとらえ、短時間で返球することを最優先しているのは「速さ」を追及していると言えます。

攻めが「早い(速いではない)」かと言えば必ずしもそうではなく、裏面打法は使わないのでバックに短いツッツキが来たときは、速いテンポのツッツキで返球しています。

中ペン裏裏の王晧選手なら、そこを裏面フリックやチキータで返球するので、ラリーの本数的には「早く」攻撃を仕掛けることができていると思います。


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 紆余曲折の江選手
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江選手は片面表ソフトのプレーヤーとしていますが、それは世界チャンピオンになった全盛期の頃という条件付きです。

ラバーの色が両面同色でも構わなかった頃は、裏面に粒高ラバーを貼っていたようです。

サーブを出す前にラケットを台の下で隠してくるくる反転させていました。

表ソフトで下回転のサーブを出し、粒高でナックルのサーブを出していたのでしょう。

どちらも黒いラバーで、打球時の音で判別できないよう床を踏み鳴らして雑音を入れるという当時はお決まりのサーブでした。

それが禁止されると青ラバーになり、さらに赤と黒の2色に限定されると赤ラバーに変えました。

近年では裏面に裏ソフトラバーを貼り、反転させて裏ソフトでサーブを出したり裏面打法で攻撃することもあります。

現役時代にやっていたらもう少し中国代表として続けられたかもしれません。

江選手は結構強気で、ミラクルサーブと言われた現役時代の宮崎監督のサーブも果敢に払っていったそうです。

サーブだけで大量得点できてしまう魔球なのに、ミスをしても臆せず積極プレーを続けたそうです。

そういう性格もあって燃え尽きてしまったのか、引退してから卓球には何もかかわりたくないと思った時があったそうです。

近年は卓球関係でお見かけすることがあり、体型も維持されているのは何よりです。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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