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先月、中国の南京でユース五輪が開催されました。

卓球では男女それぞれ一名ずつの選手が出場し、シングルスと男女混合の団体戦が行われました。

男子は村松雄斗選手、女子は加藤美優選手で、どちらもオリンピック選手を強化育成するJOCエリートアカデミーの所属です。

シングルスでは村松選手が準優勝、加藤選手が4位、団体戦は準優勝という結果でした。

通常のニュース番組でもわずかですが報じられていました。

それほど大きく取り上げられないのは、一般視聴者の関心の度合いに相応しているからで、恐らくどの局も試合結果と共に十数秒の映像が流される程度だったと想像します。

ただ放送されただけでも幸運で、それはユース五輪ということで多くの競技が開催されており、その一連の流れで卓球の試合も報道されています。

メディアとしてはいろいろな会場を効率的に巡ることができ、トータルとして取材価値があると判断しているからです。

卓球だけの単独大会だと、主要メディアが海外で現地取材するケースは限られます。

卓球専門ではない一般メディアの取材方針はこういった感じですが、たまに卓球にスポットを当て特集されることがあります。


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 チキータの逆バージョン
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先月上旬、前述の加藤選手がNHKの夜のニュースで紹介されていました。

加藤選手と言えば、みなさんご存知の「ミユータ」、、、と言っても一部の方しかご存じないと思います。

そこで順を追って分かりやすくご説明します。


短いボールをバックハンドで払って返す場合、ラケットの先を下げ横回転を掛けて返す打法を「チキータ」と言います。

チキータはバナナのブランド名で、バナナのように曲がることからその名前がつけられました。

ミユータは加藤選手の名前「美優」にちなんでつけられた、加藤選手オリジナルのチキータ応用技術です。

本家チキータと比べてどういう違いがあるかというと、回転を掛ける方向がチキータとは逆になります。

右利きの選手の場合、チキータは時計回りに横回転を与えるのに対し、ミユータは反時計回りになります。

チキータは卓球競技者の間ではよく知られていますが、ミユータの認知度はそんなに高くありません。

以前述べたチキータをやると見せかけて、肩透かしを食らわすようにツッツいて流す「アニータ」と同程度かもしれません。


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 テレビ局はもっと工夫をすべき
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今ひとつ浸透していないミユータですが、その開祖を紹介するのなら触れないわけにはいきません。

加藤選手がボールを横方向にこすり、ミユータを披露する映像が流れました。

ミユータの連続映像とその解説があり、VTRからスタジオの生放送に戻ると、ニュースキャスターも同じようにボールをこする仕草を真似ていました。

それほどすごかったのでしょうか。

キャスターの表情はにこやかでしたが、頭の中は「?」だったと思います。

なぜなら、度肝を抜くようなスピードボールや超ミラクルショットのようには見えなかったからです。

経験者が見れば、なるほどあの技を混ぜられると厳しいかもしれないと感じる人は多いはずで、福原選手も加藤選手との対戦で最初はミユータにびっくりしたと語っていました。

つまりミユータはどこに特徴があるのかと言えば、ああいう打ち方をする人はほとんどいないため、未知の打法という脅威を与える点です。

選手は試合や練習でパターンを覚えこませていて、見慣れないものには誰しも困惑します。

チキータやペンの裏面打法を初めて見た時、昔から競技していた人は驚いたはずです。

テレビでミユータの連続映像だけを見せられ「おっ」と思うのは卓球経験者に限られます。

一般のニュースでそこだけを流したのは、失敗だったと言い切っても良さそうです。

どうしても取り上げたければ、ストップ、台上ドライブ、チキータ、アニータ、そしてミユータと、これだけ多彩な技がありますよといった形にすべきだったのでしょう。


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 一般の観戦者はどう見るか
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卓球は見るスポーツというよりも、自分がやるスポーツだと思います。

競技スペースが狭くボールも小さいので、他競技より見応えは落ちます。

卓球を知らない方に一番受けるのはロビングとスマッシュのラリーだそうで、力強さがあり視覚的な変化が大きいからです。

ワンポイントの技術なら、投げ上げサーブやしゃがみ込みサーブの動作かもしれません。

動きの少ない技は理解されにくく、過去にご紹介した、ごまかす動作を入れた二段モーションの払い技が、初心者の方にはテクニックとは解釈されず、一瞬躊躇したと思われてしまう件は大変残念だと考えています。

中国で白とオレンジのツートンカラーのボールを使い、回転する様を分かってもらえないかの試みがありました。

選手本人や観客の感想はどうだったんでしょうね。

いろいろ試行錯誤を重ね、卓球はプレーして楽しく、見てもすごさが分かりやすいように進化していくことを願ってやみません。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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