今月、少し遅めの新年会があり参加しました。
今回はそこでで40代、50代の方に語っていただいたお話を紹介いたします。
現在のルールでは、ラケットのそれぞれの面は赤と黒のラバーを貼るよう定められています。
卓球をする人にとっては極めて当たり前のことで、それがどうしたのと思う方もいるでしょう。
しかし昔は両面同色のラバーでも問題ありませんでした。
今回はそこでで40代、50代の方に語っていただいたお話を紹介いたします。
現在のルールでは、ラケットのそれぞれの面は赤と黒のラバーを貼るよう定められています。
卓球をする人にとっては極めて当たり前のことで、それがどうしたのと思う方もいるでしょう。
しかし昔は両面同色のラバーでも問題ありませんでした。
その時代によく使われていたのがアンチラバーです。
アンチラバーと言われても分からない方がいらっしゃるかもしれません。
アンチラバーはアンチスピンなどとも呼ばれ、見た目は裏ソフトラバーですが、表面はツルツルしていてあまり回転がかかりません。
片面に裏ソフトラバーを貼り、もう一方にアンチラバーを貼っているのにどちらも同じ色で良かったというのです。
そんなことをされたら、サーブだけでバンバン得点されてしまいますし、ツッツキミスもやたら多い試合になります。
そんな無茶な時代があったということに驚きます。
その頃多かったのが、裏ソフトとアンチラバーの組み合わせのカットマンでした。
サーブ、ツッツキ、そしてカットに至るまで、裏かアンチか悩みながら返球しなければならないのは、対戦相手にとって悪夢だったはずです。
赤と黒になった今でも、カットマンとの試合では全く回転が分からないカットを返球しなければならない場合があります。
そういう時は、
・切れている OR ナックルの二者択一で打っていく。
・山なりのループドライブで相手コートのど真ん中に落とすつもりで
打てば、どこかに入る可能性がある。
などの対処方法があります。
それでも昔の方はさぞや苦労したことと思います。
1つだけ今は使えない奥の手というのを紹介してもらいました。
当時はラバーを貼っていない木の面(通称木ベラ[キベラ]と呼びます)で打つことが認められていました。
ペンホルダーで片面だけの選手は、全く回転が分からないボールを木ベラでツッツくことがあり、日本の河野選手も急場をしのぐ場面で使って世界選手権で優勝したそうです。
ペンの選手では、反転式のラケットに裏ソフトとアンチラバーという組み合わせの人がいて、前原選手はそのスタイルで全日本シングルスのチャンピオンに輝きました。
ペンの場合、サーブやレシーブでアンチラバーを時折使い、ラリーの場面では裏ソフトというスタイルが一般的でした。
前原選手はラリー中もたまにラケットを反転させ、アンチラバーで裏ソフトっぽく返球していたそうです。
カットマンがアンチラバーでカットするのは特に難しくはありませんが、ドライブマンがアンチで裏ソフトのドライブのように打つのは、かなり高度な技だと思います。
相手がショートで返そうとすると、見事にボトッと落としてくれたそうです。
──────────────────────
識別不可能にする数々の小技
──────────────────────
アンチラバーを使う人は、圧倒的に黒黒の組み合わせが多く、赤赤は少なかったそうです。
同じ赤でも裏ソフトとアンチラバーは微妙な色の差が分かる場合があり、それを避けるためです。
また、スポンジの色の違いでラバーを判別されないよう、サイドテープを巻いて隠すことは必須でした。
少数派ですが、反転式ペンホルダーの選手の中に、表ソフトの人もいました。
表ソフトの場合、相手を惑わすためにもう一方に貼るのはアンチスピンではなく粒高ラバーでした。
粒の配置やロゴ部分の面積・形が似通ったラバーや、粒の直径が大きめで表ソフトに近い粒高ラバーを選ぶなど、識別困難な製品を選んでいたそうです。
シェークの場合、グリップエンドにプラスチックのレンズをはめ込んでいるラケットが多いと思います。
片側だけにレンズがあるラケットはもちろん、両側にあるラケットでもデザインが異なる場合は、それを隠すためのテープを巻いていました。
あるカットマンの方のエピソードで、練習中レンズを隠していたテープが剥がれてきたそうです。
練習が終わってから新しいテープに巻き直せばいいと思い、今のテープは剥がしました。
その日の練習の最後に、急に部内で試合をすることになりました。
対戦相手はグリップエンドにテープを巻いていないことに気づき、それまで連敗続きだったそのカットマンに勝てたそうです。
試合終了後にグリップレンズのことを告げられ、いつもより思い切って打ち込まれたケースが多かった理由が分かったそうです。
──────────────────────
そして訪れたルール改正
──────────────────────
両面同色は好ましくないという指摘が多くなり、禁止されることになりました。
このルール変更で最も話題になったのは、中国の蔡振華選手でした。
裏とアンチのシェーク異質攻撃型のスタイルで、世界選手権では準優勝しました。
ルール改正後、バック面を粒高に変えるなど試行錯誤したそうですが、結局引退することになりました。
補足ですが、蔡振華選手はその後、卓球やバドミントン協会の会長に就任し、指導者としても傑出した卓球選手の一人と言われています。
両面同色で恩恵を受けていた一般の選手も、皆それぞれの選択をしました。
裏+アンチラバーだったカットマンは、裏+裏、裏+表、裏+粒高へ転向した人、そして引き続き、裏+アンチを続ける人もいました。
今はラバーが赤と黒の2色だけとなっています。
以前紹介したラージボールも、これまでルール上は赤と黒以外のラバーも認められていたのが、今年4月のルール改正で赤と黒に限定されます。
両面同色が認められていた昔は、少数ですが他の色のラバーもあったということで、少し羨ましい気がしました。
青、緑、オレンジ、チョコレート色があったそうです。
私は青が好きなので、赤黒もしくは、赤青の組み合わせに緩和してくれたら嬉しいのにと思います。
そんなことをすれば、ただでさえ種類が多過ぎるラバーの在庫に頭をかかえている販売店の人から悲鳴が聞こえてくるかもしれませんが・・・
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
アンチラバーと言われても分からない方がいらっしゃるかもしれません。
アンチラバーはアンチスピンなどとも呼ばれ、見た目は裏ソフトラバーですが、表面はツルツルしていてあまり回転がかかりません。
片面に裏ソフトラバーを貼り、もう一方にアンチラバーを貼っているのにどちらも同じ色で良かったというのです。
そんなことをされたら、サーブだけでバンバン得点されてしまいますし、ツッツキミスもやたら多い試合になります。
そんな無茶な時代があったということに驚きます。
その頃多かったのが、裏ソフトとアンチラバーの組み合わせのカットマンでした。
サーブ、ツッツキ、そしてカットに至るまで、裏かアンチか悩みながら返球しなければならないのは、対戦相手にとって悪夢だったはずです。
赤と黒になった今でも、カットマンとの試合では全く回転が分からないカットを返球しなければならない場合があります。
そういう時は、
・切れている OR ナックルの二者択一で打っていく。
・山なりのループドライブで相手コートのど真ん中に落とすつもりで
打てば、どこかに入る可能性がある。
などの対処方法があります。
それでも昔の方はさぞや苦労したことと思います。
1つだけ今は使えない奥の手というのを紹介してもらいました。
当時はラバーを貼っていない木の面(通称木ベラ[キベラ]と呼びます)で打つことが認められていました。
ペンホルダーで片面だけの選手は、全く回転が分からないボールを木ベラでツッツくことがあり、日本の河野選手も急場をしのぐ場面で使って世界選手権で優勝したそうです。
ペンの選手では、反転式のラケットに裏ソフトとアンチラバーという組み合わせの人がいて、前原選手はそのスタイルで全日本シングルスのチャンピオンに輝きました。
ペンの場合、サーブやレシーブでアンチラバーを時折使い、ラリーの場面では裏ソフトというスタイルが一般的でした。
前原選手はラリー中もたまにラケットを反転させ、アンチラバーで裏ソフトっぽく返球していたそうです。
カットマンがアンチラバーでカットするのは特に難しくはありませんが、ドライブマンがアンチで裏ソフトのドライブのように打つのは、かなり高度な技だと思います。
相手がショートで返そうとすると、見事にボトッと落としてくれたそうです。
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識別不可能にする数々の小技
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アンチラバーを使う人は、圧倒的に黒黒の組み合わせが多く、赤赤は少なかったそうです。
同じ赤でも裏ソフトとアンチラバーは微妙な色の差が分かる場合があり、それを避けるためです。
また、スポンジの色の違いでラバーを判別されないよう、サイドテープを巻いて隠すことは必須でした。
少数派ですが、反転式ペンホルダーの選手の中に、表ソフトの人もいました。
表ソフトの場合、相手を惑わすためにもう一方に貼るのはアンチスピンではなく粒高ラバーでした。
粒の配置やロゴ部分の面積・形が似通ったラバーや、粒の直径が大きめで表ソフトに近い粒高ラバーを選ぶなど、識別困難な製品を選んでいたそうです。
シェークの場合、グリップエンドにプラスチックのレンズをはめ込んでいるラケットが多いと思います。
片側だけにレンズがあるラケットはもちろん、両側にあるラケットでもデザインが異なる場合は、それを隠すためのテープを巻いていました。
あるカットマンの方のエピソードで、練習中レンズを隠していたテープが剥がれてきたそうです。
練習が終わってから新しいテープに巻き直せばいいと思い、今のテープは剥がしました。
その日の練習の最後に、急に部内で試合をすることになりました。
対戦相手はグリップエンドにテープを巻いていないことに気づき、それまで連敗続きだったそのカットマンに勝てたそうです。
試合終了後にグリップレンズのことを告げられ、いつもより思い切って打ち込まれたケースが多かった理由が分かったそうです。
──────────────────────
そして訪れたルール改正
──────────────────────
両面同色は好ましくないという指摘が多くなり、禁止されることになりました。
このルール変更で最も話題になったのは、中国の蔡振華選手でした。
裏とアンチのシェーク異質攻撃型のスタイルで、世界選手権では準優勝しました。
ルール改正後、バック面を粒高に変えるなど試行錯誤したそうですが、結局引退することになりました。
補足ですが、蔡振華選手はその後、卓球やバドミントン協会の会長に就任し、指導者としても傑出した卓球選手の一人と言われています。
両面同色で恩恵を受けていた一般の選手も、皆それぞれの選択をしました。
裏+アンチラバーだったカットマンは、裏+裏、裏+表、裏+粒高へ転向した人、そして引き続き、裏+アンチを続ける人もいました。
今はラバーが赤と黒の2色だけとなっています。
以前紹介したラージボールも、これまでルール上は赤と黒以外のラバーも認められていたのが、今年4月のルール改正で赤と黒に限定されます。
両面同色が認められていた昔は、少数ですが他の色のラバーもあったということで、少し羨ましい気がしました。
青、緑、オレンジ、チョコレート色があったそうです。
私は青が好きなので、赤黒もしくは、赤青の組み合わせに緩和してくれたら嬉しいのにと思います。
そんなことをすれば、ただでさえ種類が多過ぎるラバーの在庫に頭をかかえている販売店の人から悲鳴が聞こえてくるかもしれませんが・・・
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
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