2012 .03.03
今回は裏ソフトラバーについてお話しします。
裏ソフトラバー(略して裏ソフト)は、世界中で一番多く使われています。
その理由は、卓球の大きな魅力である回転をかけるのに最も適しているからです。
このラバーは摩擦係数が高く、ボールを当てた時に強くこすれば強烈なスピンをかけることができます。
前進方向の回転(ドライブ)をかけると、相手コートにバウンドした後も遠くに伸びていく威力のあるボールを打つことができます。
台から離れて激しいラリーを打ち合っているシーンは、ほとんどが裏ソフトによるものです。
また試合の中では、ベストでない位置のボールを打たなければならない場合がよくあります。
そのような時も裏ソフトなら、ボールをラバーの表面(ひょうめん)に接触させた状態でいろんなこすり方をしてさばけるため、表ソフトなど他の種類のラバーよりボールを制御し易いと言えます。
短所は、摩擦力が高いことの裏返しで、相手ボールの回転に強く影響を受けるため、レシーブは難しくなります。
そして摩擦力が衰えてきた時がラバーの寿命となり、買い換える頻度は高くなります。
さて、初級者の方にとっては、どの裏ソフトラバーを選べばいいのか悩ましいことだと思います。
ひとくちに裏ソフトといっても、なんだかいろんな分類があるようだし、時々耳にするテナジーとかいうラバーはものすごく高いけど、本当にそれだけすごいのかしら、等々・・・
──────────────────────
裏ソフトにもいろんなタイプがあります
──────────────────────
まず、裏ソフトの種類ですが、一般的に以下のような分類をすることが多いです。
1.テンション
2.粘着
3.高弾性
4.コントロール系
1.のテンションというのは、ざっくり言えばスポンジを引っ張ったような状態(テンション)にしているタイプです。
プリプリの柔らかいスポンジであることが多く、ボールを当てた瞬間「グボッ」とめり込むような感触があり、次にボールが反動ではじき出されるように弾みます。
従って最も威力のあるボールを打つことができます。
普通にフォアロングやドライブを打つだけなら、非常によく飛んで楽しくなります。
その反面、ツッツキは弾みを抑えるのに苦労するかもしれません。
メーカによってこの種のラバーの呼称は異なりますが、書いてあるセールスポイントを見れば推測がつきます。
カタログの最初に掲載されている値段の高いラバーが大体そうです。
2.の粘着ラバーは、表面がしっとりした感じで、裏ソフトの中でも特に回転がよくかかります。
中にはピン球を押し付け逆さにしても、しばらく貼り付いているほどの強い粘着性を持つ製品もあります。
少々詳しすぎる話になりますが、粘着ラバーにもさらに違いがあります。
例えばTSPのトリプルというラバーは、粘着の特性だけが強く、他は際立った特徴はないように思えます。
一方、有名なキョウヒョウ2は、強い粘着性に加え光沢があり、粒が低めのシートに固いスポンジを組み合わせた個性的なラバーです。
中国選手の多くはフォア面にこのような、いわゆる中国粘着と呼ばれるラバーを貼っています。
中国粘着を使う人は打ち方が違うという話を聞いたことがあります。
私も少し使わせてもらいました。
なるほどちょっと癖のあるラバーで、打ち方は変える必要があるようです。
1.のテンションと2.の粘着の使い分けがよく分かるのは、中国選手がロビングをスマッシュする場面です。
(例)
シェークハンドのドライブ型である馬龍(マロン)選手は、通常、黒の粘着面をフォア側に、赤のテンション面をバック側にして使います。
スマッシュは回転ではなくスピードが優先されます。
そしてロビングをスマッシュする場面では、次の打球までに時間的な余裕が生まれます。
そこで、馬龍選手はラケットの面をくるりと反転させ、スピードに勝る赤いテンションラバーの方で叩き込んでいます。
3.の高弾性と4.のコントロール系ラバーについては、1.のテンションや2.の粘着のような特徴はありません。
弾み具合(と回転性能)が比較的高めのものが、3.の高弾性になり、控え目にして確実性を高めたラバーが、4.のコントロール系に分類されます。
コントロール系は、総じて財布に優しいラバーとなっています。
これらの分類は、何かの基準が定められていて、それに従って全ての裏ソフトラバーがどれかの分類に属するといったようなことではありません。
あくまでも特徴により、メーカや業界などで共通的な概念として広まった分類です。
そのため、微粘着や粘着テンションといった、ややこしい説明が使われることもあります。
──────────────────────
どれを選べばいいか?
──────────────────────
初級者はコントロール系のラバーを使うべきだという人がいます。
基本ができていないのに、弾みすぎる用具を使うと上達を阻害すると考えているからです。
別の意見で、初級者でもテンションを使うのはOKという人もいます。
私は後者の方です。
初級者が高額な製品を使っても、それだけの価値を引き出せていないと言われればその通りで、さらに、使用者が若年であれば、イヤミの一つも言いたくなる気持ちは分かります。
でも、世界チャンピオンが数試合だけ使って貼り替えたテナジーと、中学生がボロボロになるまで使い込んだテナジーは、どちらも価値ある使われ方をしたと思います。
まあ、これについては人によって考えが違うとしか言えないように思えます。
似たような話は他にもありますよね。
楽器しかり、自動車しかり・・・
裏ソフトで回転をかけるコツがわかってくると、卓球がますます面白くなってきます。
それまで当てて返すだけだった時と比べると、力強い動きに変わっているはずです。
威力のあるドライブを打つ時の、体をひねって相手に肩甲骨を向けて打ち込むフォームは、大変美しくかっこいいと思います。
裏ソフトを使っているのに、まだミート打ちだけになっている方は大変もったいないことです。
ドライブがかけられるようになって、安定して返せるようになったと嬉しそうに話すご年配の方もいらっしゃいました。
まだの方は、頑張ってチャレンジしてみてください。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
裏ソフトラバー(略して裏ソフト)は、世界中で一番多く使われています。
その理由は、卓球の大きな魅力である回転をかけるのに最も適しているからです。
このラバーは摩擦係数が高く、ボールを当てた時に強くこすれば強烈なスピンをかけることができます。
前進方向の回転(ドライブ)をかけると、相手コートにバウンドした後も遠くに伸びていく威力のあるボールを打つことができます。
台から離れて激しいラリーを打ち合っているシーンは、ほとんどが裏ソフトによるものです。
また試合の中では、ベストでない位置のボールを打たなければならない場合がよくあります。
そのような時も裏ソフトなら、ボールをラバーの表面(ひょうめん)に接触させた状態でいろんなこすり方をしてさばけるため、表ソフトなど他の種類のラバーよりボールを制御し易いと言えます。
短所は、摩擦力が高いことの裏返しで、相手ボールの回転に強く影響を受けるため、レシーブは難しくなります。
そして摩擦力が衰えてきた時がラバーの寿命となり、買い換える頻度は高くなります。
さて、初級者の方にとっては、どの裏ソフトラバーを選べばいいのか悩ましいことだと思います。
ひとくちに裏ソフトといっても、なんだかいろんな分類があるようだし、時々耳にするテナジーとかいうラバーはものすごく高いけど、本当にそれだけすごいのかしら、等々・・・
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裏ソフトにもいろんなタイプがあります
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まず、裏ソフトの種類ですが、一般的に以下のような分類をすることが多いです。
1.テンション
2.粘着
3.高弾性
4.コントロール系
1.のテンションというのは、ざっくり言えばスポンジを引っ張ったような状態(テンション)にしているタイプです。
プリプリの柔らかいスポンジであることが多く、ボールを当てた瞬間「グボッ」とめり込むような感触があり、次にボールが反動ではじき出されるように弾みます。
従って最も威力のあるボールを打つことができます。
普通にフォアロングやドライブを打つだけなら、非常によく飛んで楽しくなります。
その反面、ツッツキは弾みを抑えるのに苦労するかもしれません。
メーカによってこの種のラバーの呼称は異なりますが、書いてあるセールスポイントを見れば推測がつきます。
カタログの最初に掲載されている値段の高いラバーが大体そうです。
2.の粘着ラバーは、表面がしっとりした感じで、裏ソフトの中でも特に回転がよくかかります。
中にはピン球を押し付け逆さにしても、しばらく貼り付いているほどの強い粘着性を持つ製品もあります。
少々詳しすぎる話になりますが、粘着ラバーにもさらに違いがあります。
例えばTSPのトリプルというラバーは、粘着の特性だけが強く、他は際立った特徴はないように思えます。
一方、有名なキョウヒョウ2は、強い粘着性に加え光沢があり、粒が低めのシートに固いスポンジを組み合わせた個性的なラバーです。
中国選手の多くはフォア面にこのような、いわゆる中国粘着と呼ばれるラバーを貼っています。
中国粘着を使う人は打ち方が違うという話を聞いたことがあります。
私も少し使わせてもらいました。
なるほどちょっと癖のあるラバーで、打ち方は変える必要があるようです。
1.のテンションと2.の粘着の使い分けがよく分かるのは、中国選手がロビングをスマッシュする場面です。
(例)
シェークハンドのドライブ型である馬龍(マロン)選手は、通常、黒の粘着面をフォア側に、赤のテンション面をバック側にして使います。
スマッシュは回転ではなくスピードが優先されます。
そしてロビングをスマッシュする場面では、次の打球までに時間的な余裕が生まれます。
そこで、馬龍選手はラケットの面をくるりと反転させ、スピードに勝る赤いテンションラバーの方で叩き込んでいます。
3.の高弾性と4.のコントロール系ラバーについては、1.のテンションや2.の粘着のような特徴はありません。
弾み具合(と回転性能)が比較的高めのものが、3.の高弾性になり、控え目にして確実性を高めたラバーが、4.のコントロール系に分類されます。
コントロール系は、総じて財布に優しいラバーとなっています。
これらの分類は、何かの基準が定められていて、それに従って全ての裏ソフトラバーがどれかの分類に属するといったようなことではありません。
あくまでも特徴により、メーカや業界などで共通的な概念として広まった分類です。
そのため、微粘着や粘着テンションといった、ややこしい説明が使われることもあります。
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どれを選べばいいか?
──────────────────────
初級者はコントロール系のラバーを使うべきだという人がいます。
基本ができていないのに、弾みすぎる用具を使うと上達を阻害すると考えているからです。
別の意見で、初級者でもテンションを使うのはOKという人もいます。
私は後者の方です。
初級者が高額な製品を使っても、それだけの価値を引き出せていないと言われればその通りで、さらに、使用者が若年であれば、イヤミの一つも言いたくなる気持ちは分かります。
でも、世界チャンピオンが数試合だけ使って貼り替えたテナジーと、中学生がボロボロになるまで使い込んだテナジーは、どちらも価値ある使われ方をしたと思います。
まあ、これについては人によって考えが違うとしか言えないように思えます。
似たような話は他にもありますよね。
楽器しかり、自動車しかり・・・
裏ソフトで回転をかけるコツがわかってくると、卓球がますます面白くなってきます。
それまで当てて返すだけだった時と比べると、力強い動きに変わっているはずです。
威力のあるドライブを打つ時の、体をひねって相手に肩甲骨を向けて打ち込むフォームは、大変美しくかっこいいと思います。
裏ソフトを使っているのに、まだミート打ちだけになっている方は大変もったいないことです。
ドライブがかけられるようになって、安定して返せるようになったと嬉しそうに話すご年配の方もいらっしゃいました。
まだの方は、頑張ってチャレンジしてみてください。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
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