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電車の窓から流れる景色を眺めている時、あるいは湯船につかって目を閉じている時、ふと、こういう戦法はどうかとひらめくことが皆さんあると思います。

えっ、そんな奴は私だけですって

失礼しました(^ ^;)


私はいろんなことを空想するのが好きで、卓球のプレースタイルについても思いを巡らせることがあります。

この前も一番理にかなった戦法はどれだろうと考えていたところ、ネット上でなるほどと思った意見を目にしました。

それは、

「シェークの一本差しグリップ かつ シーミラー打法」

というスタイルです。


何のことか分からない方もいると思いますので説明しますと、最初の「一本差し(いっぽんざし)グリップ」とは、人差し指を真っ直ぐラケットの中心方向に伸ばす握り方です。

世界チャンピオンになった長谷川選手がこのグリップでした。

次の「シーミラー打法」とは、フォアもバックも同じ面で車のワイパーのように打つ打法です。

全米チャンピオンのシーミラー選手が採用していた打ち方です。

長谷川選手はシーミラー打法ではありませんので、通常のシェークと同様、バック側は全て人差し指を伸ばしているウラ面で打っていました。

これをシーミラー打法にすると、バックハンドからのサーブやツッツキは人差し指を伸ばしたウラ面で打ちますが、ドライブやブロックはフォアと同じオモテ面で打つことになります。

これがなぜいいかというと、双方のいいとこ取りができると思ったからです。


◆一本差しグリップの利点

1.フォア強打に適した握り

ペンはシェークよりもフォアハンド強打に適しています。

ラケットを自然に握った状態では、ペンはラケットが横に、シェークは縦になります。

一本差しグリップはシェークですが、フォア側のラケットが横向きになり、強打が打ちやすい握り方です。

2.リーチが長くなる

わずかですが、握り方がグリップエンド側に移るためリーチが長くなります。

そしてこれにより遠心力が大きくなるので、威力アップにもつながります。


◆シーミラー打法の利点

1.ミドル処理の改善

シーミラー打法でもミドルに来た球は強打できませんが、通常のシェークの様なフォアとバックで打球面の切り替えがなくなるため、弱点は緩和されます。

一本差しグリップは、通常のシェークよりもさらにミドル処理が難しく、シーミラー打法への切り替えによる効果は大きくなります。

2.ウラ面ラバーの選択肢が増える

ウラ面をツッツキだけに使うのであれば、相手の回転の影響を受けにくいラバーにすることもできます。

アンチラバーにしたり、スポンジのない粒高ラバーにして軽量化を図るという一石二鳥を狙う手もあります。


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 実際にやってみると・・・
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このスタイルで、フォア、バックと素振りをしてみると、なんだか指揮者になったような気分です。

続いて卓球台を前にしてシャドープレーをしてみました。

ラケットのオモテ面を、フォアからバックまで切り替えなしに相手コートに向けることができ、まさにワイパーです。

片面ペンの打法も見方を変えれば、下向きのワーパー打法と見なすことができます。

しかし一本差しのシーミラー打法の方が、より自然にラケットを移動させることができ、合理的な感じです。

そして、打球時の面の角度を柔軟に変えることができるため、フォア、バック共にストレートのコースにも打ちやすいと思いました。


ボールを打ってみると、意外なことが分かってきました。

◆一本差しグリップに起因するもの

ちょっとしたことですが、グリップレンズが邪魔に感じました。

一本差しにすると、握りがグリップの先端側にずれます。

たまたま今回使ったラケットは両面にレンズがあり、オモテ面、ウラ面、双方のレンズに接する箇所が滑り、若干気になりました。

ラケットはストレートグリップだと、連続ドライブを打つ時にすっぽ抜けるかもしれません。

従って、グリップエンドが広がったフレアタイプが適していると思います。


◆シーミラー打法に起因するもの

台に近い所にいる場合、ミドルに来た球は通常のシェークよりも返球しやすいと思います。

台から離れると、それほどメリットは感じられませんでした。

また、ペンホルダーの裏面打法と共通の難点もあります。

バック側の体から離れた位置の球は、オモテ面で打つかウラ面で打つか判断に悩む場合があります。


全体的にはこういった感想ですが、想像の域を出ない戦法ではなく、現実に使えるスタイルではないかと思いました。


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 お勧めしたい選手像
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一本差しグリップで世界を制した長谷川選手の強打は、ジェットドライブと言われたそうです。

そのような強力なショットを打ちたい方はもちろん、台の中央にデーンと構える省エネタイプの方にも向いているような気がします。

実際にこのスタイルを採用する人が存在しないのは、私の掘り下げが足りず、何か問題があるからなのでしょうか?

思い当たるとすれば、台上処理が難しいという点です。

グリップエンド寄りにずらした握りは、強打に適する反面、短いボールの処理は難しくなります。

他に考えられる理由は、一本差しもシーミラー打法も異端児扱いされているからかもしれません。

世界チャンピオンと全米チャンピオンが使っていたのに、一般の方が同じ打ち方をすると、即座に指導者から矯正させられる場合がほとんどです。

それどころか当のご本人、長谷川選手とシーミラー選手でさえ、周囲からなんだかんだと批判されたのではないかと察します。


今回取り上げた戦法は、普段はペンホルダー使いの私がちょこっと試しただけです。

折に触れてさらなる検証を行い、感触が良ければ片面ペンのスタイルから変身できるかもしれないという希望も持っています。

世の中にはこういう戦法だけでなく、必殺サーブや曲芸打法を日夜研究している方がいらっしゃいます。

完全な一発芸から、実戦で使えそうなものまで様々あり、動画を見て私も刺激を受けています。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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