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今回はカットマンについてお話しします。

英語ではチョッパーと言いますが、日本の卓球界ではカットマンの呼称が一般的です。
(和製英語と卑下しているわけではありません)


卓球をやり始めて少し経ってから、このカットマンという存在を知りました。

一番最初は「えっ!この人なにやってるの?」という疑問を持ちました。

さらにじっくり観察していると、コートの中を縦横無尽に動き回り、何発打たれても相手の球を拾って拾いまくるというスタイルに驚きました。


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 この戦法が成り立つ理由
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初心者の方は、カットマンが返したボールを、なぜ思い切り打たないのかと疑問に思うことがあるかもしれません。

ドライブマン同士の打撃戦では、前進回転をかけたスピードボールをお互いが渾身の力を込めて叩きこんでいるシーンを見かけます。

一方カットマンは、体を縮めるような動作で、少々スピードが控え目のボールを返しています。

それなのに、相手はなんだか苦しそうにボールを持ち上げています。

選手によっては、変なうめき声を上げている人もいます。

あんなボール、私なら簡単にスマッシュできそう・・・

少しでもカットマンと練習された方ならお分かりでしょうが、あの球を初心者の方が打つと、ネットにすら届かずボトッと手前に落としてしまいます。

1球1球打ち返すのに、踏ん張って持ち上げなければなりません。

カットマンと対戦する時は、地球の重力が2倍になったような感じ?になるのです。

審判をやっていると、必死に持ち上げたのに相手コートに入らず、ネットに掛かって高速回転しているボールを目の当たりにします。


ラバーを貼ったラケットであの軽くて小さなピン球を打ち返す時、台にバウンドした後もボールの回転が大きな影響を及ぼします。

通常のフォア打ち練習のスイングでピン球を打てば、打ちごろの棒球が返り、試合中だと簡単に強打を決められてしまいます。

逆回転のボールを返せば、相手はツッツくか、ドライブで持ち上げなければなりません。

そのため、決定打を叩き込まれることが少なくなり、ラリーが成り立ちます。

カットマンはそこに攻撃を混ぜたりカットの回転量を変化させることで、相手を惑わせ打ちミスを誘います。

何度も見ているうちに、こういうスタイルが成り立つのは、なるほど卓球というスポーツならではの特徴なんだと解ってきました。


私は個人的にバックカットのフォームが好きで、カットした後の太極拳のようなポーズに憧れます。

また、ある子供が「スパイダーマンみたい」と言ったのも印象に残っています。

カットの動作を見てそう思ったのか、あるいは重心を低くして、クモのようにササっと動くのがスパイダーマンに見えたのでしょうか。


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 実際に対戦してみると
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うまいカットマンだと、私くらいのレベルが強打を打ち込んでも、ネットの高さぎりぎりの超低空カットで返してきます。

さすがにこれは決まったなと思ったボールも結構ラケットに当ててきて、中にはうわっこれも返ってくるのかとびっくりすることがあります。

漫画で擬音をつけるとしたら「ヒュルルルルル」みたいな感じで、ミサイルに追尾されてるような恐怖に襲われます。

切れているのかナックルなのか、回転が全く分からないことがあり、そういったボールはオーバーするようにと神様に祈りたくなります。

こういう体験をすると、もはやカットも攻撃だと言うのが理解できます。


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 困難を克服し頑張って欲しい
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カットマンはプレー領域が広いため、体格の小さな人には向いていないと言われます。

他の戦型よりも返球する回数が多く、より体力を消耗します。

昔はカット一辺倒のタイプが主流でしたが、今は攻撃力も兼ね備えていないと勝ちあがるのは難しく、多様な技術を求められます。

こういった理由で、カットマンを志す人は少数となっています。

練習場所に苦労することもあります。

世間ではレクリエーション卓球のイメージしかない人が多く、卓球部の練習ならこの程度の場所でいいだろうと、狭い場所しか割り当てられないことがあります。

(天井が低くロビングができない卓球場もありますね)


カットマンに対して、何か希望を持てる話はないのでしょうか?

カットをするダウンスイングの動作は、緊張した状況でも比較的影響が少ないと言われています。

団体戦で最後のメンバーまでもつれた試合や、試合の最終ゲームになった状況では緊張感が高まります。

強いプレッシャーを受けると、誰しも手足が縮こまったように感じることがあると思います。

なるほどこういった場合は、カットマンの方が有利かもしれませんね。

もう一つは、カットを苦手とする人がそれなりにいるということです。

例えば、福原選手はカットマンにやや分が悪いと言われています。

中国の馬琳選手も、昔はカットマンに苦しんでいた時期がありました。


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 過去に存在したペンカットマン
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現在、カットマンは全てシェークハンドですが、昔はペンのカットマンも活躍していたことがあります。

中国に張燮林選手という、中国式ペンホルダーのカットマンがいました。

張選手はペンカットという特殊なスタイルだったという以外にも、以下の特徴があり、特殊づくめの選手でした。

・フォア側もバック側も同じオモテ面でカットしました。

・ラケットの握り方に特徴がありました。
 カットの時は人差し指もウラ面に回し、オモテ面の親指とウラ面
 4本の指でラケットを支えました。強打やショートをする時は、
 人差し指をオモテ面に回しました。

・カットする面は粒高ラバーを貼っていました。
 当時粒高ラバーはまだ広く認知されておらず、張選手はその
 ラバーの特性をプレーに活かした、粒高パイオニアの1人とも
 言われています。

引退後の張燮林vs李富栄エキシビションマッチの動画
http://www.56.com/u18/v_MTQxODEyMDc.html


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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