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これまでに2回だけお会いしたことのある人について、お話ししたいと思います。

お名前は分からないので便宜上、太郎さんということにしておきます。


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 現在の用具に至った経緯
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太郎さんは左利きの中年男性で、角型の日本式ペンホルダーの片面だけに、ぶ厚いスポンジの表ソフトラバーを貼っています。

ぱっと見はマッチョな感じで、確かにスマッシュの威力にはすごいものがあります。

ただしどちらかと言えば一発強打で決めるというよりも、確実な球さばきで連打で振り回すプレーが中心です。

角型ペンを使っている人に多いのは、人差し指をグリップにしっかり巻きつけ、裏面に添える指はピンと伸ばすか軽く曲げる握り方です。

太郎さんの握りは変わっていて、いわゆる鷲掴み(わしづかみ)グリップです。

人差し指は一応コルクグリップに引っ掛けていますが、親指との間に広く空間を開けています。

裏面は3本の指それぞれを離し、大きく曲げた状態にしています。

このグリップについて、特に私から質問することはなかったのですが、休憩中にいろいろと語ってくれました。

太郎さんはラケットやグリップについて、ずっと試行錯誤が続いているそうです。

以前は中ペン(中国式ペンホルダー)を使っていました。

一番の利点はフォアとバックの切り替えが自然で、とっさのときのブロックも角度がうまく出る点が気に入っていました。

鷲掴みグリップのバックショートの安定性は抜群で、相手のスマッシュを何度もブロックしたり、芸術的なストップショートを決めるのが快感になっていました。

しかし細身の角型ペンを使ってみると、肝心のフォアハンドでひっぱたくときの威力は中ペンに勝るものがあります。

そこで現在は角型ペンを鷲掴みして、両者のいいとこ取りをしています。

ラケットはニッタクのラージボール用のラケットで、反発力は最高レベルです。

そのカキカキラケットに弾みやや控えめの表ソフトラバーを貼り、ソフトタッチをすれば、いやらしいナックルボールが出せるようにしています。


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 究極のラケットへの思い
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ある程度理想の姿になっていますが、本人はまだ道半ばのようで、以前の中ペングリップに未練があるそうです。

そこで現在、特注品の角型中ペンをオーダーしようか思案しているんだそうです。

長細い角型の中ペンですか、、、なかなか面白そうですね。

でも特注は値段が高く、使ってみてイマイチだったときのショックも大きいので躊躇しています。

別の案として、中ペンで大きめのブレードのものを買い、両サイドをカットするという方法があります。

ニッタクのルデアックパワーCなどは、ラケットの先端からグリップの先まで164mmもあります。

自分でノコギリでカットするのが不安なら、少しの手間賃で何処かの業者に頼んでも、トータルで特注よりは安上がりになるのではないでしょうか。

もう1つ逆方向からのアプローチとしては、角型日ペンのグリップを中ペンぽく加工してしまうというのもあります。

コルク材を買ってきてペタペタ貼り合わせ、乾燥してから紙やすりで整形&グリップテープを巻くというのはどうでしょうか。

太郎さんにそういう提案をしてみたところ、「う~ん」とうなったまま固まってしまいました。


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 垣間見えた意外な一面
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太郎さんはペン表でもまだ十分にやれると考えています。

プレーヤーの絶対数が少なくなっただけで、表は落ち目と言われていることにお怒りでした。

リオ五輪ではドイツのペン表シャン・シャオナ選手が石川選手と対戦しました。

その試合ではシャン選手のほうを応援していたそうです。

あの試合でシャン選手が勝ってしまうと、そこで日本の銀メダルは絶たれてしまうのですが「どうせ次で負けたんだから一緒」とのご意見です。

太郎さんとしては、シャン選手だけが勝って、あとは日本が勝てばよかったのにということでした。

太郎さんの話はもう少し続き、シャン選手が失点したときに両足を揃えて軽くジャンプする仕草が素敵なんだそうです。

石川選手に追い込まれたときの悲壮な表情にもグッと来たとのことです。

ドイツ女子のもう一人の帰化選手、ハン・イン選手についてはどうかと尋ねてみました。

彼女は結構すました顔で、どこかお高くとまっている感じがあるので嫌いなんだそうです。

同じ戦型だから応援するというのもあるでしょうが、太郎さんの場合それとは別の感情によるものが大きいようです。

今は赤いラバーを貼っていますが、今度貼り替えるときはシャン選手と同じ黒ラバーにして、裏面を赤に変えるそうです。

太郎さん、これからも頑張ってください。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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