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これまで折に触れて、その辺にいる一般卓球愛好家の方をご紹介してきました。

今回も少々ユニークな人物についてお話ししてみたいと思います。


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 騙された私が悪いのか
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40代の男性で関西弁を話す方です。

声や容姿は全く異なりますが、ダウンタウンの浜田さんになんとなく雰囲気が似ているので、浜田さんというお名前ということにしておきます。

浜田さんは中ペン(中国式ペンホルダー)を使っています。

片方に裏ソフトラバーを貼り、もう片方には粒高1枚ラバーを貼っています。

練習場で試合をすることになり、最初はお互いのラケットを確認します。

浜田さんのラケットを手にとって見ていました。

裏ソフトラバーに続いて裏面の粒高ラバーを見ていると、浜田さんから「粒高のほうはただの飾りみたいなものや」と告げられました。

裏面の指の滑り止めか、重量調整くらいの意味でとりあえず貼っているのだろうと解釈しました。

最初のゲーム9-9の場面で、私がバックから斜め上回転のサーブを2本続けて出すと、浜田さんは連続ミスをしました。

第2ゲームの中盤でも再び同じサーブを出しました。

すると浜田さんはラケットを反転させ、粒高ラバーで返球してきたのです。

驚いた私は返ってきたボールを当てそこね、オーバーミスをしてしまいました。

私は眉間にしわを寄せる一方、浜田さんは涼しい顔をしています。

「話が違うじゃないか」と誰もがそう思う状況です。

微妙な雰囲気が漂う中、気を取り直してプレーを続けました。

浜田さんはレシーブだけでなく、ショートをするときも粒高でのブロックを混ぜてきました。

その粒高のブロックですが、私が生まれて初めてお目にかかったへんてこプレーでした。

ラケットを握り変えず、いわゆる裏面打法で返してきます。

ただしフリーハンドの左手をラケットの先端に添えて安定させる、両手打ちショート?というフォームでした。

それで超ナックルのドロップショットを放つのです。

私の精神状態は、もやもやした気持ちから混乱状態に変わり、3ゲームを連取されて負けてしまいました。


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 意表を突く行動の連続
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試合後浜田さんは「いやぁすまんな、ちょっと気が変わったんで」と笑顔で私の肩をポンポンと叩いてきました。

私は何も言えないまま冷静に考えてみました。

これはルール違反ではありません。

また、マナー違反にも当たらないと思います。

狙っていたかどうかは分かりませんが、話術を絡めた心理作戦にハマったというのが適切かもしれません。

複雑な表情をしている私に浜田さんは「悪かったな。お詫びに昼飯おごるよ」と言ってくれました。

まあそれなら水に流そうと気持ちを切り替えました。

浜田さんは「松屋に行こう」と言いました。

一瞬、銀座にある高級百貨店が頭をよぎりましたがそんな訳はなく、お馴染みの牛丼チェーンの松屋でした。

おごってくださる方よりも高いものを注文することはできず、浜田さんと同じ牛丼(正確に言えば松屋の場合は牛めし)の大盛りをたのみました。

浜田さんは私に松屋牛めしの美味しい食べ方を伝授してくれました。

つゆだくは邪道で、通はつゆぬきにするのだそうです。

そして代わりにカルビ定食のソースをかけ、さらにサラダ用のごまだれドレッシングをふりかけると最高とのことでした。

何も意見できないまま、甘酸っぱい牛めしの大盛りを私も食べることとなりました。


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 理想の練習環境
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食事中、浜田さんは卓球場についていろいろと語ってくれました。

ボールがふんだんに使えるところが必須条件で、1台に1球だけというのは論外なのだそうです。

シャワーもできるだけあったほうが良く、ボディソープとシャンプーを使い練習後にさっぱりする快感がたまらないとおっしゃっていました。

そしてくつろげる場所もあればベストで、ベンチやテーブルが置いてあるところで水分補給ができたら極楽気分とのことでした。

そのあたりが満たされるなら他の部分には妥協でき、そんなに安くなくてもいいし、少々古くてくたびれていても問題ないということでした。

ボールは数があることが重要で、メーカにばらつきがあっても、セルロイドボールがたまに混じっていてもそれほど気にしないとのことでした。

そういった話をまくし立てるように語り、満足そうにしていました。

最後は「ごちそうさまでした」と、ずいぶん変わった牛めしをごちそうになったお礼を述べて別れました。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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