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最近はAI(Artificial Intelligence:人工知能)のニュースを耳にする機会が増えています。

将棋や囲碁の世界で人間を上回る強さを発揮したり、自動運転の技術にもAIが使われています。

これを卓球に利用してみると、どのようなことが起こるのか考えてみたいと思います。


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 分析により発見されるもの
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AIの活用といっても、別にロボットにプレーをさせることまでは考えていません。

そんなことをさせると、全てエッジに当たるサーブや人間が反応できない超高速ボールを打たれてお手上げ状態になるためです。

あくまでも生身の人間同士がプレーする卓球で、そこにいかにして新しい発想を取り入れるかにAIを利用してみるのです。

コンピューターに与えるのは、競技と人体に関する情報です。

競技については、ルールやマナー、そして用具関連のデータになります。

人体については、体や関節の動き、反応速度や動体視力です。

人間は反復練習により習熟度を上げることができ、動物なので錯覚を起こすといったことも教えます。

準備が整うと、次は仮想空間で仮想選手によるシミュレーションを何兆回も繰り返します。

シェークの選手、ペンの選手、ドライブマンやカットマンなど、様々なタイプを対戦させます。

これまでの対戦ビデオをコンピュータに見せ、その技術を学ばせます。

一方で全くの白紙状態から学習させるアプローチも別手段として取ります。

特に後者の場合、先入観がなく、さらに考えるのは人間ではないため、奇想天外すぎる戦型や戦法が生み出されそうでワクワクします。


人間社会では古い考えに凝り固まった指導者がいて、少しでも変わったことをする選手は認めないことがあります。

コンピュータの世界では、意図的に指示を与えない限りそういう制限はなく、やりたい放題でなんでも試すことができます。

昔はなかった技術で、今では当たり前のように使われているものがあります。

例えばチキータやペンの裏面打法がそうです。

AIはそういった新技術をを何百種類も見つけ出してくれるでしょう。

しかも多くの対戦相手とのシミュレーション済みのため、即実戦で使える可能性は高いといえます。

そして残酷なことですが、分析の結果お勧めできない現在の戦型というのもずばり導き出してくれます。

私のような片面ペンドラは、その最有力候補だと思っています。

粒高ブロックマンの存在を私は快く思っていませんが、ひょっとするとAIはベストの戦型だと判断する可能性だってあります。

仮にそんなダブルパンチを食らったら、もう卓球はやめたくなるかもしれません。

ただ粒高ラバーは未知の新しい使い方、戦法が見つかる可能性が一番高そうだという感じは持っています。


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 負の側面とその解決方法
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AIの優秀さばかりを挙げてきましたが、そうでないこともあります。

特に開発の初期段階では、とんでもなく基本的な部分にも不具合が残っています。

そういう部分を全てあぶり出し実戦投入されるのですが、思いがけない穴が見つかることがあります。

将棋の場合、プロ棋士との対戦でそれが明らかになったことがありました。

将棋では相手の陣地で自分の駒が動くと裏返ることができます。

裏返らないという選択もできるのですが、それは一部の駒に限られ、従来の力を維持したままパワーアップできる駒は100%裏返るのが常識です。

たまたまそれをしなかったとき、ある将棋のソフトはその駒の存在を忘れてしまうという不具合があったそうです。

将棋ソフトならまだ許されますが…というと叱られそうですが、人命に影響する自動運転なら重大な問題です。

卓球においてもせっかく何兆回もシミュレーションしたのに、ある前提条件が漏れていたため、ぶっ飛んだアドバイスをしてくることはありえます。

「ここでラケットを左手に持ち替えてください」なんてのは出てきそうですね。


AIは卓球用具の開発にも応用することができます。

全く新しい形状のラケットや、現行ルールに合致していながらとんでもない効果を生み出すラバーを考えつくでしょう。

あまりに影響が大きすぎる用具については、誰も使わない前にあらかじめ禁止するルールが先にできてしまうなんてケースも考えられます。


AI利用で戦型の画一化や、勝つためだけの技術に偏るのは避けられないと思います。

それと同時に、いかにそうならないようにするかのルールも並行してシミュレーションしてもらえたらと思います。

人間は卓球のプレーを通して楽しむことがそもそもの目的だからです。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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