今回は某卓球場でお会いした人との雑談内容をご紹介します。
お名前はわからず、中国の方だったので陳さんということにしておきます。
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こっそり仕様変更
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陳さんは中国の人ということもあって、中国メーカーの粘着ラバーを使っています。
一般的に粘着ラバーは弾みがやや控えめという傾向があります。
そこでテンションスポンジと組み合わせ反発性能を向上させたラバーもあります。
そういう粘着テンションラバーを陳さんは使っていました。
愛好家レベルのため少々劣化してもほとんど気にしていませんでした。
しかしながら表面のテカリ具合が落ちてきて、あちこちに小さな傷も増えてきました。
指を押し当て表面の引っかかり具合を確かめると、粘着らしさがやや衰え普通のテンションラバーっぽくなっていました。
そこで全く同じ銘柄のラバーを通販で購入しました。
お値段はなんと2000円で、お財布に優しいのは嬉しいですね。
本国で購入されていたら恐らくもっと安いのでしょう。
届いたラバーを見た時、陳さんは「アイヤー」と絶句したそうです。
「前のとぜんぜん違うやん」
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具体的な変更点
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前のラバーは典型的な中国粘着に見られる、低い粒+肉厚シートでした。
ぱっと見、粒の部分が分かりづらく、スポンジにまっ平らなゴムシートが貼り付いているかのように見える断面です。
ところが新しいラバーは粒の高さがそれなりにあり、逆にシートは薄くなっています。
通常見かける日本やドイツの裏ソフトラバーに似た感じです。
卓球ラバーは少しの違いでも性能が変わるため、ITTF(国際卓球連盟)にこれこれこういうシートですというのを申し出て登録する制度となっています。
私も陳さんから新旧のラバー両方を見せてもらいました。
明らかに別物ですが、製品ロゴは全く同じで理解に苦しみます。
陳さんはなぜこうなったかをご自身なりに考えてみたそうです。
1)ゴムシートの鋳型が古くなったので新しいものに作り変えた際、粒の高さが若干高めになってしまった。
2)多くの人は分厚いスポンジを好み、ルールで定められている厚さ4mmぎりぎりまでのラバーを使っている。
3)そのため粒が高くなった分、平らな部分の厚さを抑えることで調整をした。
ひょっとすると打球感はそんなに変わらないかもと期待したそうです。
残念ながら従来の肉厚ラバーのような硬い感じは失われ、日本やドイツラバーに近づいてしまいました。
ただしそれでも妥協して使い続けることにしたそうです。
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打球音
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陳さんと打っていると、時折ピン球が割れたのかと錯覚するような甲高い音が鳴ります。
そういう場面は別の人と練習している時にもたまにありました。
「パキーン」というその音を金属音と表現する人もいます。
質問してみると「已打底(いだてい)だからかな」というお答えでした。
已打底の「已」は、大昔古文で学習した已然形と同じで、既にそうなってしまったという意味です。
何がそうなってしまったかと言えば、弾みを増す物質をスポンジに塗っちゃってますよという意味なのだそうです。
通称補助剤などと言われる反発力を向上させるものを、スポンジに塗る行為は後加工と呼ばれルールで禁止されています。
已打底はメーカが製造時に塗っているため後加工には該当せず、ルール違反ではないという立場のグレーな製品です。
陳さんのラバーは見た目は普通のスポンジでしたが、已打底ラバーの中にはスポンジの表面に補助剤の膜が貼り付いているものがあるとのこと。
それを已打底膜と呼ぶ人もいて、そのままラケットに貼る人や剥がしてから貼る人などそれぞれなのだそうです。
中国には「上有政策、下有対策」という言葉があると紹介してくれました。
上に政策あれば下に対策ありという意味で、それが卓球界でも発揮され抜け道を考えついた人がいるのですね。
念の為に申し上げておくと、私はことさら中国の製品を悪者扱いするつもりは全くございません。
ごく一部に怪しいものがあるという事実を述べたまでです。
表向き禁止されている補助剤はヨーロッパメーカでも製造している所があるそうです。
もっと視点を広げると、類似の事例は身の回りにいろいろ存在し、それらに対して自分なりに考えてみることが頭の訓練になるのでしょう。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
お名前はわからず、中国の方だったので陳さんということにしておきます。
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こっそり仕様変更
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陳さんは中国の人ということもあって、中国メーカーの粘着ラバーを使っています。
一般的に粘着ラバーは弾みがやや控えめという傾向があります。
そこでテンションスポンジと組み合わせ反発性能を向上させたラバーもあります。
そういう粘着テンションラバーを陳さんは使っていました。
愛好家レベルのため少々劣化してもほとんど気にしていませんでした。
しかしながら表面のテカリ具合が落ちてきて、あちこちに小さな傷も増えてきました。
指を押し当て表面の引っかかり具合を確かめると、粘着らしさがやや衰え普通のテンションラバーっぽくなっていました。
そこで全く同じ銘柄のラバーを通販で購入しました。
お値段はなんと2000円で、お財布に優しいのは嬉しいですね。
本国で購入されていたら恐らくもっと安いのでしょう。
届いたラバーを見た時、陳さんは「アイヤー」と絶句したそうです。
「前のとぜんぜん違うやん」
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具体的な変更点
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前のラバーは典型的な中国粘着に見られる、低い粒+肉厚シートでした。
ぱっと見、粒の部分が分かりづらく、スポンジにまっ平らなゴムシートが貼り付いているかのように見える断面です。
ところが新しいラバーは粒の高さがそれなりにあり、逆にシートは薄くなっています。
通常見かける日本やドイツの裏ソフトラバーに似た感じです。
卓球ラバーは少しの違いでも性能が変わるため、ITTF(国際卓球連盟)にこれこれこういうシートですというのを申し出て登録する制度となっています。
私も陳さんから新旧のラバー両方を見せてもらいました。
明らかに別物ですが、製品ロゴは全く同じで理解に苦しみます。
陳さんはなぜこうなったかをご自身なりに考えてみたそうです。
1)ゴムシートの鋳型が古くなったので新しいものに作り変えた際、粒の高さが若干高めになってしまった。
2)多くの人は分厚いスポンジを好み、ルールで定められている厚さ4mmぎりぎりまでのラバーを使っている。
3)そのため粒が高くなった分、平らな部分の厚さを抑えることで調整をした。
ひょっとすると打球感はそんなに変わらないかもと期待したそうです。
残念ながら従来の肉厚ラバーのような硬い感じは失われ、日本やドイツラバーに近づいてしまいました。
ただしそれでも妥協して使い続けることにしたそうです。
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打球音
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陳さんと打っていると、時折ピン球が割れたのかと錯覚するような甲高い音が鳴ります。
そういう場面は別の人と練習している時にもたまにありました。
「パキーン」というその音を金属音と表現する人もいます。
質問してみると「已打底(いだてい)だからかな」というお答えでした。
已打底の「已」は、大昔古文で学習した已然形と同じで、既にそうなってしまったという意味です。
何がそうなってしまったかと言えば、弾みを増す物質をスポンジに塗っちゃってますよという意味なのだそうです。
通称補助剤などと言われる反発力を向上させるものを、スポンジに塗る行為は後加工と呼ばれルールで禁止されています。
已打底はメーカが製造時に塗っているため後加工には該当せず、ルール違反ではないという立場のグレーな製品です。
陳さんのラバーは見た目は普通のスポンジでしたが、已打底ラバーの中にはスポンジの表面に補助剤の膜が貼り付いているものがあるとのこと。
それを已打底膜と呼ぶ人もいて、そのままラケットに貼る人や剥がしてから貼る人などそれぞれなのだそうです。
中国には「上有政策、下有対策」という言葉があると紹介してくれました。
上に政策あれば下に対策ありという意味で、それが卓球界でも発揮され抜け道を考えついた人がいるのですね。
念の為に申し上げておくと、私はことさら中国の製品を悪者扱いするつもりは全くございません。
ごく一部に怪しいものがあるという事実を述べたまでです。
表向き禁止されている補助剤はヨーロッパメーカでも製造している所があるそうです。
もっと視点を広げると、類似の事例は身の回りにいろいろ存在し、それらに対して自分なりに考えてみることが頭の訓練になるのでしょう。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
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