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今回は卓球場で出会ったある若者の話をご紹介します。

お名前などは分からないため、翔くんということにしておきます。

翔くんは高校生か大学生と思われる男性です。

最初は何気ない雑談から始まり、過去の世界チャンピオンへと話題が進みました。

彼はネット上にある昔の試合動画を多数見たそうです。

そして自分なりに感じた違いや驚きを語ってくれました。

中でも次に挙げる3名の世界チャンピオンが強く印象に残ったそうです。


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 江加良選手
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[1985年1987年 男子シングルスチャンピオン]

いわゆる中国前陣速攻スタイルが多数のメダルを獲得していた黄金時期の最後に活躍した選手です。

中ペン(中国式ペンホルダー)に表ソフトを貼り、速いテンポでボールをパチパチさばくスタイルです。

同じタイプの選手の動画も色々見ましたが、翔くんが江選手に対して抱いた感想は「ロボットのような動き」でした。

ペン表は台から離れず、コンパクトスイングと短いラリー本数での決着を目指します。

そういった全体的な傾向はあるものの、何志文選手のような緩急打ち分けるタイプや、劉国梁選手のようなドライブも使う人がいて、何らかの安定策が取られています。

一方江選手が攻撃時に放つボールは全弾直線的な軌道かつ、全弾渾身の力を込めて引っ叩いているように見えるのです(感覚的なたとえとして表現しています)。

無駄を排除した機械的な動きだけでなく、人間らしくない右手と右足を同時に出して打つカウンターもありました。

基本技術のツッツキにしても、選手によってはラケットを一旦しゃくるような動作が入り撫ぜる感じで丁寧に返す人がいます。

江選手にそんな余計な動作はなく、最小限のバックスイング、速く鋭い効率的カクカク動作に徹しています。

試合運びは単調かつリスキーで、こんなことをしていると安定した勝率は望めそうになさそうに思えます。

でも翔くんの考えとは反対に、江選手は世界を2度制するという文句のつけようのない結果を出しています。

あえて人間らしさを見出すとすれば、動画の中で江選手の人物像が窺えるシーンでしょうか。

ふてぶてしい表情、勝利後の投げキッス、山場で得点した際相手コート側まで歩き一周して戻って来る、などの行動がありました。

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 郭躍華選手
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[1981年1983年 男子シングルスチャンピオン]

中国前陣速攻が全盛期の頃であっても、中ペンに裏ソフトラバーを貼った選手は多数いました。

その中の一人が郭選手で、チャンピオンになる前の世界選手権でも2度男子シングルスで準優勝しています。

翔くんが郭選手のどこに驚いたかと言うと、フォアドライブを打つフォームです。

胸を突き出し両手を大きく広げた、オーバーアクション的スイングなのです。

では今風に言うなら映えるポーズに見えるかと言うと微妙です。

なんだかとっても無理してる感が漂うのです。

前述の江選手とは真逆のエネルギーロスが多い無茶振りに映ります。

すごいボールを放っているのは分かります。

もしそのボールを返されたら次球を打つのは間に合うのでしょうか。

郭選手は素早く構え直し同じスイングでドライブ連打を放ちます。

しばらく観察を続けると翔くんは別のことに気づきました。

郭選手はスマッシュは打たず、ある意味で真のドライブマンだったということです。

相手がしのぎのロビングを上げたような場合だと流石にスマッシュは打ちます。

しかし普通この状況ならスマッシュで決めに行くよね、という場面でもさらにドライブを打ち込むのです。

郭選手は元表ソフトで、それならスマッシュも上手いはずです。

なぜこんなに大振りでスマッシュ少なめになってしまったのか、ご本人にお会いできれば聞いてみたいそうです。


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 長谷川信彦選手
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[1967年 男子シングルスチャンピオン]

人差し指を伸ばしラケットの中心まで添わせる握り方は「一本差し」と呼ばれています。

今ではこの握り方はやめるよう指導されますが、一本差しで世界を制すという孤高の我が道を進んだ人物が長谷川選手です。

翔くんが着目したのは、ラケットはシェークなのにプレーはほとんどペンのドライブマンだという点です。

長谷川選手はいわゆる伝統的なペンドラ的バックハンドサーブを出します。

両手でひし形を作ってサーブを出し、バックに返ってきたツッツキは思いっきりバック側に回り込んでフォアドライブを打ちます。

さらに不可解なのがバック側のショートを裏面で行っている点です。

実際に一本差しグリップでラケットを握れば分かりますが、バックショートやバックスマッシュは表面でやったほうがやりやすそうです。

しかし長谷川選手は人差し指を伸ばしたほうの裏面で行っているのが非常にユニークだと翔くんは述べていました。


これら3名の選手について世界一になったという偉業は尊敬に値します。

でも自分も同じスタイルを真似てみるのはためらってしまう「特殊事例」ですねと、翔くんは冷静に分析していました。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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