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現在発売されている卓球王国2021年5月号は、私がピクッとなる記事がいくつか掲載されています。

今回はそのうちの一つ、大昔に存在した変わったラバーについてお話しいたします。


卓球という競技が生まれ現在の形になるまで、用具やルールはどんどん変わってきました。

その中でラケットに貼るラバーの進化が最も爆発したのが1950年代です。

当該コラムを執筆した伊藤条太氏は、そのありさまを生命の種類が飛躍的に増えたカンブリア紀のようだと評しています。

1956年当時のバタフライ社のラバーのラインナップが、ラバー断面図とともに紹介されています。

私はその図を見て、いくつかのラバーはすぐに構造が理解できませんでした。

おそらく今あるラバーの種類が「正しい姿」であるという固定観念に凝り固まっていたのが原因だったのでしょう。


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 粒とシートの多彩な組み合わせ
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さて順を追ってご説明すると、まずはスポンジのないゴムシートだけの1枚ラバーのラインナップです。

断面の図に、横に伸びた黒い直線だけが引いてある製品があります。

一瞬頭の中に?が浮かびましたが、これは粒がない真っ平らのゴムシートラバーだということを理解しました。

次に粒が規則的に並んだおなじみのシートの断面図があります。

でも粒が下向きになっています。

これは過去にその存在を聞いたことがある、1枚ラバーの裏ソフトです。

粒の先に接着剤をつけてラケットに直接貼り付けていたんでしょうが、剥がれやすそうで試合中、心配になりそうです。

粒どうしの間隔や高さにいくつかのバリエーションがあり、粒高ラバーをひっくり返したような脚長のものもあります。

その次が衝撃度中のラバーで、上下2層に平らなシートがあり、その間に粒が存在する「2枚ラバー?」とでも表現すればよいのでしょうか、とにかく謎の製品です。

これは上から順に「シート、粒、シート」の層になっていて、その次は逆パターンにした「粒、シート、粒」のラバーが続きます。

要するに両面がつぶつぶの1枚ラバーですね。

あっけにとられてしまいますが、ゴムシートだけからなるラバーの最後は2段重ねラバーで締めくくられていました。

粒を下向きにした1枚ラバーを2枚重ねた2階建て構造のラバーです。

寒さの厳しい日は郊外の畑で2階建てになった霜柱を目にします。

たぶんそこから着想を得た、、、わけじゃないですね。


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 裏返しにした裏ソフト
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お次はスポンジのあるラバーです。

昔はゴムシートのないスポンジだけを貼ってプレーすることができました。

ゴムは使っていないのでラバーと呼ぶのは語弊があるのですが、便宜上それらはスポンジラバーと呼ばれています。

当時は厚さの制限がゆるいようで、掲載されている資料では7mmのスポンジラバーもあります。

こんな分厚いスポンジで打ったらどんな打球感なんでしょう。

そして今の一般的なラバーの構造と同じ、スポンジの上に1枚ラバーを貼った 裏ソフトと表ソフトがあります。

厚さ5mmのスポンジにゴムシートを貼り付た裏ソフトなどがあり、そちらもトータルの厚さは7mm程度あったのでしょう。

さてそれらのラインナップの中に、何やら変わった構造のラバーがあります。

裏ソフトの断面図のように見えるのですが、裏ソフトと異なるのは上下が逆になっている点です。

私はその図を30秒見つめ理解できた瞬間、口が半開きになってしまいました。

つまり裏ソフトをひっくり返して貼るようなラバーなのです。

ラケットの側に平らなゴムシート面を接着させ、粒の上に乗っかったスポンジでボールを打つラバーなのです。

自分自身がびっくりしただけでなく、こういったものの存在を知る人はほとんどいないだろうと思いました。

そこで後日、卓球場にいた高校生諸君にも見せてあげました。

「マジ」「訳わからん」「何がしたいの」「これって意味あるの」

とっても嬉しい反応です。

最もヘンテコだったのは、両面につぶつぶがあるシートの上にスポンジを乗せた上下逆転ラバーです。

「とにかくなんでもいいから、くっつけてバリエーションを揃えてみました」といったやけくそ、いや、自由奔放な発想だったのでしょうか。

結局はスポンジで打球感は同じになっちゃいそうですね。


ここからルール改正や使い勝手などが反映され、現在に至っています。

王国のコラムに掲載されている資料には「テナジー」のような製品名はなく、C2やD13というそっけない型番だけです。

一番安いのが、厚さ2~3mmというアバウトな規格のスポンジラバーC0で、定価60円です。

最高価格は粒を下向きにした1枚ラバー2枚重ねのタイプD4で330円です。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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