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ある日練習が終わったあと、Aさんと喫茶店に入り話をしていました。

Aさんは小腹がすいたのでホットドッグを注文し、少々バテ気味だった私は小ぶりのケーキをちびちび削りながら食べていました。

40代のAさんは、時代遅れで閉鎖的な練習を経験したことをこぼしていました。


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 練習のための練習
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例えばフットワークの練習は単純な左右の往復だけで、全く意味が無かったとのご意見でした。

あれは足の動きを身につけるのではなく、ただの平行移動をするトレーニングだと一刀両断します。

卓球の技術には直接関係はなく、ランニングなどと同じ位置づけとのことです。

完全否定してしまうのは若干疑問が残りますが、確かに実戦でああいう動きはしませんね。

さらにAさんはその昔ながらのフットワーク練習について、1つのボールを使ってワンコースに返す点にも批判的でした。

左右交互にぴょこぴょこ動いてラリーが長時間続くのが、あるべき美しい姿とされていたのに我慢できなかったそうです。

典型的な「練習のための練習」で、Aさんが発した過激な言葉はここでは書けませんが、怒りのこもった表現でののしっていました。

私も多球練習にして、実戦に近づけたランダムコースにボールを送る練習にしたほうが良いのには同意見です。

1つのボールで続ける場合も、続けることを主眼に置くのは止めるべきだと思います。


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 俺はペンドラじゃない
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Aさんはだんだんと勢いづいてきて、次なる怒りをぶちまけました。

Aさんは最初からシェークハンドで裏裏のドライブマンでした。

現在40代の日本人なら、このタイプの選手は悲惨な指導を受けていたそうです。

シェークなのに、ペンドラ(ペンホルダーのドライブマン)とほとんど同じフォアハンド偏重のプレーを教えこまれていたためです。

昔はシェークでもバック側のコーナーに来たツッツキを、鮮やかなフットワークで回りこみフォアハンドドライブ、とネット上に皮肉が書かれていたのを見たことがあります。

フォア偏重についていろいろ喧嘩もしたそうです。

その際諭されたのが、人間の身体構造的にフォアハンドはバックよりも威力のあるボールが打てるため、シェークの攻撃型でもできるだけフォアで打つべきという考えだったそうです。

Aさん曰く、こういう思考だからペンの裏面打法も日本から生まれなかったと結論づけています。

短い髪型で細めの眼鏡をかけているAさんは、ちょっぴりユニクロの柳井社長に似ています。

「化石のようなペンドラの発想から抜け出せていない」、「バックハンドを振ることがフットワーク軽視だと勘違いしている」等、次々と熱い主張が続きました。

最後に柳井社長は私のケーキに手を伸ばし、「ちょっとぐらいいいよね」と全部食べてしまいました。


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 論理的に考える
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その日は布団に入ってから、Aさんの主張をずっと考えていました。

どういった分野でもいつの時代でも、従来の考えを引きずっている部分はあり、そこに対し時代遅れだと否定する意見は必ずあります。

私はAさんの意見にほぼ9割は賛成です。

言い方は一癖も二癖もありましたが、話の中身は筋が通っていて、合理的な最近のプレーの潮流と比較的重なっています。


ただ流石に近年見かけるプレーで、フォア前に出されたサーブをフォア側に回りこみ、台上バックハンドドライブで返すのはAさんも驚きだったそうです。

あのプレーはやるべきなのか、反対にやってはいけないのではないか、判断できないとのことでした。

あそこまでフォア側に動いてしまうと、バックサイドが大きく空いてしまいます。

フォアサイドが大きく空くことはありますが、バック側がそういう場面は少なく不安になります。

実戦でトップ選手がフォア前サーブを果敢にバックハンドドライブで返している場面を見かけます。

そしてあのバックハンドは、スイングがコンパクトかつ、コースが読みづらいというメリットもあるそうで、理にかなっているのでしょう。


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 ガラパゴス型スタイル
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逆に昔の考えに沿って、すごい方向へ進化したのではと思えるスタイルがあります。

それは世界チャンピオンになった長谷川選手の戦型です。

一本差しグリップという人差し指を伸ばした形でシェークハンドラケットを握り、動きまわってオールフォアで戦うスタイルです。

構えもバック側に大きく寄り、完全にペンドラと同じです。

フォアハンドで威力のあるボールを打つには適していますが、バックハンドや台上の短いボールを扱うのは苦手です。

いろんなことを試してみるのが好きな私もやってみたことがありました。

事前に聞いていた短所以外にも、バック面に伸ばした人差し指にボールがよく当たってしまうという大きな欠点があります。

指導員の方からは、その指のせいで一試合に何本か失点しますよと冷ややかな指摘をいただきました。

自分が直接体験したこともあり、誠に的確なアドバイスだと恐れ入りました。


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Aさんとはその後も同じ喫茶店で雑談をすることがありました。

その時の内容は次の回にご紹介したいと思います。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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