2011 .12.10
今回は、一部の愛好家を魅了してやまない単板ラケットについてお話しします。
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単板と合板
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ラケットの板(ブレード)には、1枚だけの板を使った単板(たんばん)と、複数の薄い板を接着剤で貼りあわせて作った合板(ごうばん)の2種類があります。
単板と合板のどちらも、卓球の世界では少し特殊用語化しています。
「単板」というのはそれほど一般的な用語ではないようで、掲載されていない辞書があったり、合板を構成する薄い板と説明している辞書があります。
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単板と合板
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ラケットの板(ブレード)には、1枚だけの板を使った単板(たんばん)と、複数の薄い板を接着剤で貼りあわせて作った合板(ごうばん)の2種類があります。
単板と合板のどちらも、卓球の世界では少し特殊用語化しています。
「単板」というのはそれほど一般的な用語ではないようで、掲載されていない辞書があったり、合板を構成する薄い板と説明している辞書があります。
もう一方の「合板」ですが、こちらは一般的な用語として広く使われています。
ただし一般用語の合板は「ごうはん」と読み、卓球ラケットに使用されている板の場合は、なぜか「ごうばん」と読まれています。
さて単板ですが、主に日本式ペンホルダーのドライブマンから熱い支持を得ています。
一部のシェークハンドラケットや中国式ペンホルダーのラケットでも単板が使われているものがあります。
しかし多くは、日本式の角型ペンのラケットに使用され、数々のチャンピオンに愛用されてきました。
ペンドラ選手の減少に伴い、単板ラケットの使用者も徐々に減っていますが、独特の打球感があってそれを好む選手が固定ユーザとなっているので、依然として根強い人気があります。
使われる木の種類はほとんどが檜(ヒノキ)で、ごく一部に桂(カツラ)を使ったラケットがあります。
それ以外の木を使った単板ラケットは、現在販売されていません。
ネット上でチークやマホガニーなど、もう少し他の木材の単板ラケットがあったらいいのにという意見を見かけました。
チークは頑丈である反面、かなり重いはずです。
マホガニーは美しいでしょうが、ラケットとして使う場合は、ラバーや塗装によりその木目が隠れてしまうので少し残念かなと思います。
メーカは恐らく様々な板を試したはずで、重さ、弾み、強度など色々な理由があり、最終的に製品化できるのは、檜と桂だけになったのだと思います。
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実際に単板ラケットを使ってみました。
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最初に試したラケットは、ダーカーのJスピード50で、打球感は予想外にハードで手によく響きます。
これはどちらかと言えば少数派の打球感だと思います。
次は、コクタクの尾州No.1というラケットで、典型的な単板らしい打球感でした。
非常にソフトで「ボールが吸いつくような感覚」と話していた方の表現がなんとなく分かりました。
木材の種類としては、どちらも同じ檜ですが、打球感がかなり違うのが意外でした。
単板ラケットに使われる板は、全て柾目(まさめ)という板を使用しています。
ラケットの表面から裏面方向へ木目が直線的に走る方向に切り出した板が柾目です。
これは反りなどの狂いが少ないという長所があります。
短所は、柾目を取るには高樹齢の大木からしか取ることができず、必然的に価格が高くなります。
近年は良質の檜が少なくなっていて、価格上昇に拍車がかかっているのが単板愛用者に辛いところです。
上位モデルでは、実売価格が¥20、000台を超えるラケットが珍しくなくなってきました。
一般的に木目が真っ直ぐで、目と目の間が詰まっている板が高品質とされています。
また、単板ラケットは合板ラケットと比較して、個体ごとの状態差が大きいと言われています。
そのため、ほとんどの単板ユーザは実物を確認した上で購入したいと考えています。
私は比較的ラケットの保管には無頓着で、この文章を書いている机の脇に無造作に置いていたりします。
長時間の打鍵で肩が凝ってきたら、そのラケットを握って気分転換にシャドープレーをします。
私とは反対にラケットの状態を非常に気にする方がいて、単板使用者にはその割合が多いらしいと聞きました。
カメラのレンズを保管する防湿庫に入れ、湿度を整調するという徹底した管理を行なっている人もいるそうです。
ラケットを作っている職人さんが聞いたら嬉しいでしょうね。
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いつかは訪れる運命の瞬間
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単板使用者はラケットの破損に関し、合板よりもリスクを抱えています。
柾目の1枚板であるため、台にぶつけた際、あっけなく真っ二つに割れてしまうことがあります。
割れやすい物でも例えばガラスのコップなら、どの程度の衝撃で割れそうかはある程度予測がつきます。
それが単板ラケットでは、かなり激しく打ち付けても大丈夫な時がある一方、ある日少しだけ勢いがついてぶつけたら、パックリ割れてしまったということがあります。
極端なケースでは、新品ラケットを買ったその日に割れてしまうこともあるでしょう。
その場合もメーカに責任はなく、単板ラケットの悲しい宿命と諦めるしかありません。
割れたラケットは捨てる方もいますし、打球感は以前と変わりますが、接着剤で貼り合わせ再びメインのラケットもしくはサブのラケットとして使い続ける人がいます。
3箇所も割れたラケットを使っている方にお会いしたことがありました。
さすがに打球感に違和感があり飛び具合もイマイチなので、新しいラケットに変えると言っていました。
次も単板ですかと尋ねると、最近は高いし割れるのが怖いから合板にするとのことでした。
その後再びお会いすると、日本式角型のペンドラから中国式ペンホルダーで裏面打法も繰り出すタイプに変身していました。
「片面のペンなんてもう時代遅れだから、プレースタイルも変えました」
「なるほど、よかったですね」
ハハハ、私は裏面打法に挑戦して挫折したんですが・・・
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
ただし一般用語の合板は「ごうはん」と読み、卓球ラケットに使用されている板の場合は、なぜか「ごうばん」と読まれています。
さて単板ですが、主に日本式ペンホルダーのドライブマンから熱い支持を得ています。
一部のシェークハンドラケットや中国式ペンホルダーのラケットでも単板が使われているものがあります。
しかし多くは、日本式の角型ペンのラケットに使用され、数々のチャンピオンに愛用されてきました。
ペンドラ選手の減少に伴い、単板ラケットの使用者も徐々に減っていますが、独特の打球感があってそれを好む選手が固定ユーザとなっているので、依然として根強い人気があります。
使われる木の種類はほとんどが檜(ヒノキ)で、ごく一部に桂(カツラ)を使ったラケットがあります。
それ以外の木を使った単板ラケットは、現在販売されていません。
ネット上でチークやマホガニーなど、もう少し他の木材の単板ラケットがあったらいいのにという意見を見かけました。
チークは頑丈である反面、かなり重いはずです。
マホガニーは美しいでしょうが、ラケットとして使う場合は、ラバーや塗装によりその木目が隠れてしまうので少し残念かなと思います。
メーカは恐らく様々な板を試したはずで、重さ、弾み、強度など色々な理由があり、最終的に製品化できるのは、檜と桂だけになったのだと思います。
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実際に単板ラケットを使ってみました。
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最初に試したラケットは、ダーカーのJスピード50で、打球感は予想外にハードで手によく響きます。
これはどちらかと言えば少数派の打球感だと思います。
次は、コクタクの尾州No.1というラケットで、典型的な単板らしい打球感でした。
非常にソフトで「ボールが吸いつくような感覚」と話していた方の表現がなんとなく分かりました。
木材の種類としては、どちらも同じ檜ですが、打球感がかなり違うのが意外でした。
単板ラケットに使われる板は、全て柾目(まさめ)という板を使用しています。
ラケットの表面から裏面方向へ木目が直線的に走る方向に切り出した板が柾目です。
これは反りなどの狂いが少ないという長所があります。
短所は、柾目を取るには高樹齢の大木からしか取ることができず、必然的に価格が高くなります。
近年は良質の檜が少なくなっていて、価格上昇に拍車がかかっているのが単板愛用者に辛いところです。
上位モデルでは、実売価格が¥20、000台を超えるラケットが珍しくなくなってきました。
一般的に木目が真っ直ぐで、目と目の間が詰まっている板が高品質とされています。
また、単板ラケットは合板ラケットと比較して、個体ごとの状態差が大きいと言われています。
そのため、ほとんどの単板ユーザは実物を確認した上で購入したいと考えています。
私は比較的ラケットの保管には無頓着で、この文章を書いている机の脇に無造作に置いていたりします。
長時間の打鍵で肩が凝ってきたら、そのラケットを握って気分転換にシャドープレーをします。
私とは反対にラケットの状態を非常に気にする方がいて、単板使用者にはその割合が多いらしいと聞きました。
カメラのレンズを保管する防湿庫に入れ、湿度を整調するという徹底した管理を行なっている人もいるそうです。
ラケットを作っている職人さんが聞いたら嬉しいでしょうね。
──────────────────────
いつかは訪れる運命の瞬間
──────────────────────
単板使用者はラケットの破損に関し、合板よりもリスクを抱えています。
柾目の1枚板であるため、台にぶつけた際、あっけなく真っ二つに割れてしまうことがあります。
割れやすい物でも例えばガラスのコップなら、どの程度の衝撃で割れそうかはある程度予測がつきます。
それが単板ラケットでは、かなり激しく打ち付けても大丈夫な時がある一方、ある日少しだけ勢いがついてぶつけたら、パックリ割れてしまったということがあります。
極端なケースでは、新品ラケットを買ったその日に割れてしまうこともあるでしょう。
その場合もメーカに責任はなく、単板ラケットの悲しい宿命と諦めるしかありません。
割れたラケットは捨てる方もいますし、打球感は以前と変わりますが、接着剤で貼り合わせ再びメインのラケットもしくはサブのラケットとして使い続ける人がいます。
3箇所も割れたラケットを使っている方にお会いしたことがありました。
さすがに打球感に違和感があり飛び具合もイマイチなので、新しいラケットに変えると言っていました。
次も単板ですかと尋ねると、最近は高いし割れるのが怖いから合板にするとのことでした。
その後再びお会いすると、日本式角型のペンドラから中国式ペンホルダーで裏面打法も繰り出すタイプに変身していました。
「片面のペンなんてもう時代遅れだから、プレースタイルも変えました」
「なるほど、よかったですね」
ハハハ、私は裏面打法に挑戦して挫折したんですが・・・
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
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