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全日本選手権の時期が近づいて来ました。
(1月17(火)-22(日) 於:東京体育館)

今回は悲願の女子シングルス初優勝を目指す、福原愛選手のプレースタイルについてお話ししたいと思います。


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 マシンガンのような連打
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福原選手はシェークの異質攻撃型で、前陣(台の近く)で早いピッチで球を打つスタイルです。

ラケットは木材のみを使用した5枚合板で、フォア側は粘着性の高い裏ソフトラバー、バック側は粒が若干高めの変化系表ソフトラバーを使っています。

最大の武器は連続して繰り出す高速バックハンドです。

女子の試合ではバックの高速ラリーが続く場面をよく見かけます。

そういった中でも彼女のバックハンドは超一級で、普通の選手はあのパターンでやりあっても勝ち目はないと思います。

私がさすがだなと思うのは、バック面に変化系表ソフトを貼っていて、あれだけ連打を決められるという点です。

若干粒が高めの変化系表ソフトは、クセ球が出やすいという長所がある一方、打つ方も粒が揺れてコントロールするのが難しいという短所があるからです。


シェークでバック面表ソフトの選手は、ひっぱたくような感じのいやらしい球を打ってくる人がいて、返すのに苦労します。

上手い選手は、例えば3回連打してくる時、2回目まではややドライブ気味で、3回目をわずかにフラットに打ってくるといった戦法を取ってきます。

相手のフォームや微妙なラケットの角度の変化で、あっ今度は違う球が来ると瞬間的に分かることとはあります。

しかし、ものすごい速さで連打されている中でランダムに混ぜられると、体が反応できずネットに掛けてしまいます。

福原選手の使っている変化系表ソフトでは、ラバーの特性でさらにランダムな変化が加わるので、対戦相手のやりづらさは高くなります。

彼女がこのタイプのラバーをずっと貫いてきたかというと、そういう訳ではありませんでした。


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 アテネ五輪でバック面を変えて失敗
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2004年初めて出場したオリンピックでは、直前にバック面のラバーをスペクトルに変更しました。

スペクトルは粒の低い一般的な表ソフトラバーです。

粒の高い変化系表ソフトはクセ球が出やすい一方、威力やコントロールはノーマルの表ソフトの方に軍配が上がります。

そのあたりはよく考えた上で決断したと思うのですが、シングルスの初戦で格下の選手に危うく負けそうになりました。

福原選手は比較的好不調の波が大きい選手です。

しかし、この試合ではラバーを替えたことが明らかに不調の原因でした。

相手はユニークな名前で少し話題になった、オーストラリアのミャオミャオ選手でした。

フルゲームまでもつれ、なんとか逆転勝ちを収めましたが、悔しさのあまり試合終了後直ちにラバーをベリッとはがしてしまいました。


補足ですが、この試合では審判からユニフォームに対して指導があり、そこで少しトラブルになったことが心理的に影響したかもしれません。

オリンピックでは用具やユニフォームなどのブランド表示について、厳しい規則が定められています。

世界選手権などの日本代表ユニフォームでは、製造メーカのミズノだけでなく、ANAやSTARTSなど、複数の会社のロゴをつけることができます。

オリンピックではそれが1つだけという決まりがあります。

アテネ五輪のユニフォームは「mizuno」のロゴと、その上にミズノランバードのマークが配されていました。

これが2つの会社のブランド名を見せているということで揉め、結局福原選手は「mizuno」の部分をテープで隠して試合に出ることができました。

(その後、このユニフォームは問題なかったことが認められました)


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 戦術の組み立てにより勝機は訪れる
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福原選手はリスクを負って果敢に責めていくタイプで、ミスをしない卓球ではありません。

堅実型の平野選手とは対照的です。

カットマンや変則型の選手に分が悪い反面、攻撃型の選手には、相手の球威を利用し、ひっぱたいて返すのが得意です。

バック前に浮いたボールを「ふんっ」と鋭くうなりながら叩きこんで決めると感動しますが、プレーが荒っぽく見えることもあって、いつもハラハラします。

格下の選手に取りこぼすことがある一方、大物食いもするので、中国との対戦ではひょっとしたらという期待を抱かせてくれます。


ダブルスのレシーブは、台の上に覆いかぶさるような構えで、本人はその気はないでしょうが威圧感があっていいと思います。

いかり肩のスイングなのは、幼少期に高い台のボールを打っていたフォームを引きずっていると言われています。

あのフォームは力強く見えるのに、フォアは面を合わせて返すだけになることがあります。

課題と言われ続けているフォアハンドには、今後のパワーアップを期待したいです。


このように長所短所がはっきりしていても、戦術によって勝利した試合があります。

以前、韓国のカットマン、パクミヨン選手との試合では、バックハンドでカット打ちを行い、浮いた球をさらにバックハンドスマッシュという展開を織り交ぜ勝ちました。

試合の映像を見ていて最初は、こんな戦法が通用するのかなと不安になりました。

カット打ちだけでなく、ミドル前やフォア前のレシーブもかなり回りこんでバックで返していました。

平野選手の対カット攻略法のようにフォアのループドライブで繋いでいれば、恐らく負けていたと思います。

とにかく今の自分がこの試合に勝つためには、バックハンド主体でプレーするんだという強い信念が伝わってきました。


今年の世界選手権は、岸川選手との混合ダブルスで銅メダルを獲得しました。

これは素晴らしいことですが、本人はこのメダル以上になんとしても全日本選手権でのシングルス優勝を取りたいと思っているはずです。

全日本で優勝し、その勢いでロンドンオリンピックもメダルを取って欲しいですね。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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