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熱い場所であるはずの卓球場でも、たまに練習相手との間に寒いすきま風が吹くことがあります。


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 言葉の裏に隠れた思い
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全国各地にある卓球場での練習スタイルは、それぞれに異なります。

不特定の方が飛び入り参加自由の所では、お互いが話し合って何をするかを決めるケースが多いはずです。

もっとも練習の最初はフォア打ちから始めるので、その場合はあえて「フォア打ちお願いします」とまでは言いいません。

また練習相手が替わった時も「お願いしますと」軽く挨拶だけをして、それ以上何も言わない場合はフォア打ちから始めると思います。

ウォーミングアップが終われば、どういった練習をするかお互い合意を得て始める人が出てきます。

「何かやりたいことはありますか」

その際よくあるのが、「(自分は特にやりたいことはないので)どうぞお好きな練習を」と言う人です。

このたぐいの返答にはいろいろな背景があり、考え方の違いで気まずい状況になったことがありました。

「お好きな練習を」と言う人は、以下の考えのいずれかになると思います。

a)本当はやりたい練習はあるが、自分よりも相手を優先する日本人的おくゆかしさ。

b)まだ経験が浅く、どんな練習をすべきか良く分からない人。あるいは適当にボールを打って、楽しむことが出来ればそれでいい人。

c)自分の実力のほうがかなり上なので、私の練習相手はキツイと思うから、あなたの好きなようにやっていいですよ。

各パターンに対する私の対応は以下の通りです。

a)の雰囲気がある方には、まず自分が希望する練習をさせてもらい、頃合いを見計らって、次はあなたの練習を~と再度うながす。

b)の人には、自分が主導権を握り積極的にあれをやりましょう、これをやりましょうと指定してしまう。そしてその中に自分の練習も入れる。

c)の人には、お言葉に甘え好きな練習をさせてもらい、最後に上級者ならではの視点でアドバイスをいただく。すると相手もまんざらではない気分になる(かもしれない)。


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 早々と中断された私の練習
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先日、某卓球場で大久保佳代子さん似の方と打っていた時のことです。

「好きな練習をやってください」

と、よくある返事が返ってきました。

私の脳みその分析結果では、大久保さんは、a)パターンの可能性が70%となっていました。

そこで、最初は私の練習→頃合いを見計らって、、、という流れで進めることにしました。

裏面打法に切り替えてまだ日が浅く、長いツッツキも満足に持ちあげられないため、その練習をお願いしました。

下回転のボールをバックに長く出してもらい、それをドライブで返す。

ボールが入った/入らなかったにかかわらず、それ以降は続けないという単純練習です。

大久保さんはバックからサーブを出しますが、時々台上で2バウンドするような短いボールがありました。

私はまだそんな球を満足にバックドライブで返球することはできません。

「長いボールをお願いしますね」

と同じ要望を伝えた2度めの時、大久保さんの動作が止まってしまいました。

なんだか困惑した顔のように見えます。

バックから出すのが辛いのかなと思い、「フォアから出してもらってもいいですよ」と声をかけました。

何も返事はなく、フォアから下回転のボールを5~6回出した後、「もう止めましょう」と打ち切られてしまいました。


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 少し振り返り、前向きに考える
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あれっ、何かまずいことがあったのでしょうか。

帰りの電車の中で、大久保さんが困惑した原因を考えていました。

最初は私のリクエストが細かすぎたのかと思っていました。

でもそうではなさそうでした。

あの卓球場に来ている目的は、お互いがボールを打ち合って楽しむことであり、単調な球出しは大久保さん的卓球の概念から外れる動作だった、というのが一連の流れから推測できました。

ラケットでピン球を打っているものの、これは卓球ではなく、どこかの加工工場で行われている機械的作業なんかと同じ感覚なのでしょう。

「好きな練習をやってください」と言ってしまった手前、「せっかく台が空いたのに、こんな球出し役をするのはイヤ」と言えなかったようです。

前言撤回して、「この練習はさすがにつまらないから、私の練習に変えてもらえません」でも構わなかったのですが、それだとあまりに自己中心的すぎて恥ずかしいかもしれませんね。


まあ日常生活でもすれ違いはありますし、相手の気持ちを推し量ることはこの程度に留めることにしました。

長い歴史を経て形成された、日本人的おくゆかしさを変えるのは難しいのは分かります。

ただし卓球場に出かける際、やりたい練習をあらかじめ最低3つは考えておいたほうがいいでしょう。

やりたい練習を聞かれたら率直に伝えるべきであり、フォア打ちばかりが続きそうなら、早々に打ち切って自分の練習がしたいと切り出しましょう。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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