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今回も巷の卓球場でプレーをしている方をご紹介いたします。

Iさんという人で、シェーク裏裏の40代男性です。

試合や練習に明確な信念をお持ちで、少し前にそれを熱く語ってくれました。


Iさんは何事も客観的・分析的に捉えようとされる方です。

変なレッテルを貼るつもりはありませんが、コンピューターのような考え方をする人物と表現すれば感じがつかめるでしょうか。

Iさんの試合に対する向き合い方は徹底した内容重視です。

内容重視の思考は勝つための思考とおおむね重なります。

重なっていない部分の面積はわずかです。

しかしながらIさんの場合、その小さな面積に以下のような強烈な特徴があります。


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 1)勝ち負けはどうでもいい(大胆なご意見です)
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一般的に試合はとにかく勝って結果を出すことが求められます。

ゲームオールでリードしていて、守りに入ってジュースになったとします。

それでも勝てば、自分もチームメイトも結果オーライと受け止め、そのあと守りに入ってしまったのは反省すべきだねという流れになるでしょう。

Iさん的には、勝利に向かう最適な選択ができたかどうかが評価の判断基準です。

相手の戦術やそれまでの試合の流れなどを総合的に勘案し、ここは勝つために守り重視とするのがベストであったのならそれこそが正解なのです。

守りに入って追いつかれたというのは、最善の選択をしている状況で起きたことで何も悔やむ必要はありません。

仮にそれで負けたとしても同じ結論となります。

相手はあとがない状況で、より果敢に攻めてくることは予想できます。

それを踏まえても守り主体としたほうが勝ちに結びつきやすいのなら、妥当な選択をしていることになります。

野球では敬遠という手段があります。

その日絶好調の4番バッターから長打を食らう確率が高いのであれば、迷うことなく敬遠すべきです。

真っ向勝負を挑んでホームランを打たれたりすれば、それは潔いのではなくみすみす勝利を放棄したただの馬鹿です。

というようにIさんの主張が続き、私はひたすらうなずいていました。

格上の選手に逆転勝利したような場合は誰しも手放しで喜ぶでしょう。

しかしIさんは内容重視なので、仮にイマイチなプレーが多々あったとすれば全く嬉しくなく反省一辺倒になるそうです。


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 2)格下相手にも舐めたプレーは絶対にしない
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弱い相手にはより確実性を求め、1本ツッツキを多く送る、ブロック主体にするといった変更は行うそうです。

しかし気を抜いたりロビングを上げて遊んだりすることはせず、0点に抑えられるならそれを目指します。

10-0で迎えたマッチポイントの状況でも、相手が高確率でミスりそうな魔球サーブを無慈悲に出します。

私はぽこぽこラリーの初級者にも同じなのか問いかけました。

その場合は「試合ではない」とみなし、スローラリーの往復を楽しんでもらう展開にするそうです。

でも点数は11-0を目指すそうです。


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 3)1点の価値は不変
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ネット・エッジが発生する頻度は相手も自分も五分五分です。

ジュースの状況で2連続ネットインを食らい負けたとしても、確率的にその程度のことは世界のどこかで毎日起きています。

単純に今回自分がそうなったのだと認識すべきで、不運と嘆くのは愚かな行為です。

ラブオール直後のエッジと、マッチポイントを握られてからのエッジは「重みが違うのでは?」と言うと「それは精神論です。同じ1点でしょ」と返されました。


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 練習と試合についてのお考え
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Iさんも練習最初のフォア打ちは、最初の5往復に限りどこの練習場でも見かける50%程度の力で打ちます。

しかしそれはフォームの確認と肩慣らしという位置づけです。

6往復目からは全力でぶちかましてきて、続けようという意識はゼロです。

こういう方はIさん以外にも過去に出会ったことはありました。

意味のないだらだらフォア打ちはしないというお考えです。

Iさんなら伝統的な左右の往復フットワークもしないのでしょう。


攻撃選手の場合、試合ではラリーに持ち込むべきではないとIさんは主張します。

観戦者はラリーのほうが見応えがあり嬉しい展開です。

でもドライブの引き合いに入ってしまうと、有利不利の差が縮まり均等化に向かうとのご意見です。

別に一か八かのリスキーな速攻を勧めているわけではありません。

ラリーにまで発展する流れはできるだけ避け、まずはサーブで仕留め、それが出来なくてもサーブで崩し3球目を叩き込むのが最も効率的だと強調します。

実際は3球目攻撃もブロックされ、ボールの往復がもう少し続く場面が発生します。

よってその段階までに特化した練習に集中すべきとのことでした。

サーブ、レシーブ、多球練習が最も大切で、ランニングなどは少しだけでいいそうです。

かなりの批判が予想されるため、卓球王国などには決して載せられない尖ったご意見です。

とは言え、現実には多様な突き抜けたお考えが存在するのでしょう。


軽率な私は、話の途中でIさんは機械のようだとポロッとこぼしてしまいました。

するとダメな部分を2点語ってくれました。

タバコがどうしてもやめられないのと、今回のコロナショックの最中に投資で平常心を失い7桁台の損失を出したそうです。

なるほど機械ではなく生身の人間であることがわかりました。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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