試合の観戦はフェンスで囲まれたコートの中だけでなく、ベンチの風景も観察すれば面白い発見があります。
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隣り合わせは良くない
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試合を見ていると対戦者のベンチがコートをはさんで向かい合うように配置されている場合と、同じ側で2つに仕切られている場合があります。
これまで私が出場したりベンチ入りした試合は全て前者の配置でした。
一方、今年1月の全日本や昨年のロンドンオリンピックは後者でした。
後者の場合、選手やコーチは何も不都合を感じないのでしょうか。
野球を見ているとまれに乱闘になることがあります。
卓球でそこまでエキサイティングすることはないでしょうが、真横に叩きのめしたい敵が座っているのはあまりいい気持ちはしないでしょうね。
オリンピックで日本女子が決勝進出を決め、ベンチで涙を流す感動的なシーンが放映されました。
そこには隣の敗れたシンガポール選手が引き上げる姿も映っていて、ものすごい形相でにらみつけている選手がいました。
こわいこわい・・・
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情報漏えい
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団体戦では1本取るごとにベンチのメンバは「ヨッシャー」と叫びながらガッツポーズで立ち上がります。
ゲームの合間のアドバイスは様々ですが、学生リーグなんかだとチームメイトを奮い立たせるため、相手選手は大したことはないとこき下ろすこともあります。
もしベンチが隣に並んだ配置で相手の耳に入ってしまえば、侮辱行為としてクレームになるかもしれません。
ダブルスの試合で対戦相手に聞こえないよう、ラケットで口の部分を隠してパートナーと話すことがあります。
そこまで注意を払っているのに、ゲームの合間のアドバイスが隣のベンチに筒抜けになってしまう心配はしないのでしょうか。
精神面のアドバイスなら、まだ聞かれてしまっても構わないこともあります。
しかし「こういう風に攻めろ」など技術面のアドバイスはまずいでしょうね。
国が違えば言葉も違うことが多く、相手は分からない場合があります。
でも同じ言語を話すチームだったり、日本選手でも中国語に堪能な選手はいますから、控え選手などを通して結構内容を聞かれてしまっているのでしょう。
ベンチでアドバイスをもらうのは、双方の選手がそれぞれ同時に行なっています。
対戦中の選手は、自分のコーチのアドバイスを聞くだけになります。
ただし1月の全日本男子シングルス決勝の場合、丹羽選手のベンチにはコーチがいましたが、水谷選手にはベンチコーチはいませんでした。
ゲームの合間に丹羽選手がアドバイスを受け、その間水谷選手は真横で1人水分補給をしていました。
聞きたくなくても隣のアドバイスが耳に入ってきます。
水谷選手は「話をバッチリ聞くことができてラッキー」と思っていたのでしょうか。
私は全く逆じゃないかと想像しています。
出来ればヘッドフォンをつけ、隣の話で余計な雑念が起こるのを断ちたかったのではないかと考えています。
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いろんな感情が渦巻く場
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団体戦では何名もの選手がベンチに入ることになります。
ベンチ前に戻ってきた選手を囲み、ドリンクを渡す役、うちわやタオルで選手に風を送る役といった光景を見かけます。
チームによってはコーチや複数の選手から必ずアドバイスをもらうことになっているところがあり、正直あれは面倒臭いですよね。
1人がしっかりしたアドバイスをすればそれでよく、どうしても言いたいことがある人はピンポイントで手短に伝えればいいはずです。
周囲の人が全員、毎回何か言わなければならないことにしていると、必ず形式的なものになってしまい、意味なしアドバイスと聞いたフリのリアクションが増えると思います。
ベンチの控え選手は、チームメイトの勝利を一心に願っている人が多いですが、複雑な思いの人もいます。
自分が出たかったのに、それが叶わなかった選手は悔しいことでしょう。
一般的には部内リーグを行い、その順位が上位の選手から出場することになります。
しかし対外的な戦績が良い選手や、予想される相手の戦型に強い選手が優先的に起用されることがあります。
そういった場合、何のために部内リーグをやったのかと不満を持つ選手もいます。
団体戦で誰が出るかオーダで悩むことはよくあります。
相手チームのオーダを予想しながら、誰と誰が当たれば勝てるかをあれこれ考えます。
エース同士の激突を避けたい場合もあれば、激突で潰すしか勝ちパターンがない場合もあります。
熱い声援を送るチームメイトの後方には、次の出番に備え入念にウォーミングアップをする選手がいます。
直前の試合が予想外に悪い方向にもつれていたりすると、チラチラ見ながら気になってきて胃が痛みだすかもしれません。
ベンチの奥で情けない敗北を喫した選手が激怒してラケットを叩きつけていたり、ボロ負けで泣きながら椅子に座って応援している選手がいるなど、まさに喜怒哀楽を見ることが出来る場所です。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
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