2013 .05.04
テレビ東京の番組に「カンブリア宮殿」というのがあります。
5/9の放送では、バタフライが紹介されます。
5/13からパリで世界選手権が開催され、テレビ東京は「世界卓球2013」として放送します。
その関係があって、この時期、この内容で取り上げられるようです。
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リーダーかニッチャーか
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番組でバタフライはニッチ市場で活躍しているメーカ(ニッチャー)という紹介になるようです。
企業の競争戦略でリーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーといった用語が出てきます。
それぞれの特徴をざっと説明すると以下のようになります。
※一般的な例であり、必ずしもこのパターンに当てはまるというわけではありません。
リーダー:全てのユーザーを対象としたフルラインの商品を揃える、価格は中~高が中心
チャレンジャー:品揃えはセミフルライン、リーダーと差別化を図る、価格は中~高
フォロワー:品揃えはセミフルライン、リーダーの模倣、価格は安、フォロワーで居続けることはやや難しい
ニッチャー:対象ユーザーや品揃えは限定的、価格は中~高
スポーツ用品市場という観点で考えると、確かにバタフライは卓球というニッチ市場で成功している→ニッチャーであると言えるでしょう。
しかし卓球をやっている人なら誰もが知っているおなじみのメーカです。
卓球用具メーカという世界で見れば、No.1のリーダー的ポジションです。
つまりバタフライはリーダーとニッチャー、2つの顔を併せ持つ会社だということもできます。
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革新的な2つの商品
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バタフライのヒット商品はたくさんありますが、一番の得意ジャンルはラバーです。
他社の追随を許さない超人気商品「テナジー」。
あんな高いラバーがバンバン売れてしまうなんて、なんともうらやましいことです。
裏ソフトラバーには、2度の大きな革命があったと言われています。
1967年の「スレイバー」と1997年の「ブライス」で、どちらもバタフライの商品です。
「ブライス」が出た時は、その性能と値段で業界に衝撃を与えました。
パッケージに裸の男性の姿があったのもちょっぴり衝撃でした。
奇抜すぎることに気づいたようで、間もなく今のデザインに変更されました。
「ブライス」の登場から現在の「テナジー」に至るまで、このハイテンションラバー主流の流れが続いています。
「スレイバー」が出た時も、最初は従来とは段違いの弾みで戸惑う方が多かったそうですが、多くのプレーヤーに愛用されるようになりました。
そして日本では卓球競技者の間で「スレイバーにすれいば」という寒いギャグも語り継がれるようになりました。
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商品開発での悩み
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スレイバーやブライスが出ると、他社も似たような商品を出してきました。
では業界のリーダー、バタフライは他社の模倣はしないのでしょうか。
どうしても似てしまう商品というのはありますし、一方で意識的に似せた商品かなと思われるものもありました。
カーボンなどの特殊素材を使ったラケットで、特殊素材が表面寄りと中心寄りで打球感は異なります。
中心寄りにして「ボールをつかむ感覚」を重視した「インナーファイバー」というキャッチコピーを使っているラケットがバタフライにあります。
この構造自体は特に珍しいということはなさそうですが、宣伝の仕方がうまいですね。
逆に他社ではグリップ部分の空洞にいろいろと名前をつけているところがあります。
バタフライも空洞を設けているラケットがありますが、命名もせず空洞があることすらアピールしていません。
これらの例については他社商品に似せようという感じはないと思います。
他社を意識した感じがあるのは、以前販売していた竹を使ったラケット「ミラーガ」や変化系表ソフト「レロップ」です。
2006年にジュウイックが「バンブーショット」という竹を使った珍しいラケットを出しました。
ニッチ商品として興味深いと思っていると、2年後にバタフライも出してきたので少し驚きました。
「レロップ」のほうは、地味に人気がある「アタックエイト」のユーザを取り込みたいと考え製品化したのかもしれません。
アタックエイトを「愛」用している選手には、有名な人もいますし。
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卓球用具業界の今後
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バタフライはシューズに関して、アシックスと業務提携を行い製品の拡充を図っています。
ボールについても営業強化しているようで、業界での寡占化が進んでいるように思えます。
個人的な意見ですが、国内外を問わず現状のメーカのいくつかは苦しくなり、近いうちに統合されたりするのではと考えています。
スポーツ用品の総合メーカ、ミズノやアディダスも卓球用品を取り扱うようになり、バタフライでも経営環境は厳しいことだと思います。
高額な新商品の開発はニュースとしてはときめきますので、今後も続けてもらって構いませんが、それ以上に庶民的な価格の商品はしっかり継続していただけることを願っています。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
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