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いよいよロンドンオリンピックが近づいてきました。

最初にシングルスのみの個人戦(7/28-8/2)が行われ、そのあと団体戦(8/3-8)があります。

ダントツに強い中国をはじめ、他にも手強いライバルがいますが、日本はシングルス・団体のどちらも男女共にメダルが狙える位置にいます。


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 ランキングシステムを最大限利用
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ここで重要なのが7月発表の世界ランキングです。

直前のランキングによってどの段階で巨大な壁、中国と対戦するかが決定するからです。

まずシングルスでは、水谷選手と石川選手が第3,4シードとなったため、この2人は準決勝まで中国選手とは当たりません。

岸川選手、福原選手はそれ以前に対戦となる可能性があります。

次に団体戦では、日本男女のチームランキングはそれぞれ3位と2位です。

各国がランキング順通りに勝ち進めば、日本男子は準決勝で中国か韓国と対戦することになります。

同様に女子は、準決勝で韓国かシンガポールとの対戦となり、中国とは決勝まで当たりません。

ランキングを可能な限り上げ、できるだけ強豪国との対戦があとになるよう懸命の努力をしてきました。


その効果が最も顕著に現れたのは石川選手でした。

彼女は19歳のため、U21の試合にも出場できます。

U21はUnder21という意味です。

英語のUnderは後ろの数字を含まないため、U21は20歳以下の選手が出場する試合ということです。

ランキングの対象にはU21の成績もカウントされます。

U21の試合は若年層が出場するので、一般の試合よりも勝ち上がりやすくランキングの上昇に貢献できます。

この仕組みにより石川選手は、世界ランキングを6位まで上げることができました(6月は5位)。

果たして本当に世界5位や6位の実力があるのかと問われれば、正直そういうわけではありません。

全日本女子の村上監督も認めていますし、石川選手本人もそう思っているはずです。

一部には、セコい行為だと批判する方がいるのも事実です。

私はこれに関しては、後ろめたい思いをする必要は全くないと考えています。

オリンピックのメダルに向けてあらゆる努力をするのは当然で、もしこれまでの方法を取らなければ、そのほうが批判されるべきだと思います。

冷淡に言えば、選手はメダルの有無と色でしか評価してもらえない側面もあるからです。


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 極秘命令
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さてこのランキングですが、他のいくつかの国も懸命に努力をしてきました。

代表選手の決定が先にあり、そのあとは直前までランキングをどれだけ上げられるかという段階に移ります。

最終時期が迫ってくると、他の選手の位置と残り試合の計算がシビアになってきます。

ランキングに影響のある試合で、自国選手同士の対戦となることがあります。

その中で、オリンピック出場選手がよりよい位置を確保できるよう、配慮が必要かもしれない試合がありました。

実力が伯仲していた選手の対戦では、ひょっとすると指示が出ていたかもしれません。

ひょっとするとじゃなくて、指示が出ないほうがおかしいという意見の方もいらっしゃいます。


中国や香港では「譲球」といって勝者を操作する行為が過去に行われたことがあり、いくつかは公になっています。

例えば、小山ちれ選手が中国代表だった1987年、世界選手権の準決勝で出された譲球指示を無視して優勝したということがあります。

2008年世界選手権の女子団体で香港が中国にあっさり負けた試合も、譲球だと言われています。


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 許される行為の境界線
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このような意図的な操作は、いろいろな分野で見られます。

私の極めて主観的な意見で、以下の3つに分類してみました。


◆問題なしの事例

昔、高校野球で松井秀喜選手が全打席敬遠された試合が大きな話題になりました。

高校球児らしくないといった意見がありましたが、私は全く問題ないと考えています。

ルール違反やマナー違反でもなく、対戦相手は勝ち上がるために取った正しい選択だからです。

もし、まともに勝負して負けていたらそれは潔いのではなく、単なる自殺行為です。


◆問題ありの事例

同じ野球の敬遠でも良くないケースは、チームメイトの記録を確定させるための協力です。

首位打者やホームラン数を競っている他チームの選手を連続敬遠するのは、非常に残念に思います。

大相撲で問題になった、勝ち越しか負け越しかの境目にいる力士への配慮も同様です。

これらは所属組織の利益ではなく、個人の記録や成績のためという意味合いが強いため、やめてもらいたいと思っています。


◆判断が難しい事例

F1のレースで所属チームの利益を優先させる意図的な行為は、チームオーダーと呼ばれます。

長年に渡りいろいろな議論が交わされ、指示が出されたドライバーにも葛藤がありました。

チームオーダーは、それを禁止するルールが策定されたり、廃止されたりして問題の難しさを物語っています。

卓球でも自国のメダル獲得に向け勝敗を操作しているケースでは、類似しているように思えます。

私は、チームオーダーや譲球については、自分の判断をどちらかに決めることができません。

所属する組織のために貢献すべきという考えは、それなりに理解できるからです。

「わざと負ける」ことに対する倫理観や、指示が出された選手のプライドを傷つける恐れがあることは、もちろん考慮されるべきです。

一方で、そんなことを言うのは青くさいとする意見も否定しません。

私達が無責任に選手に真っ向勝負を訴えても、実際そうしてしまうと追放されてしまうような場合もあります。

この問題は永遠のテーマなのでしょう。

マイケル・サンデル教授の白熱教室を思い出してしまいます。

観客や関係者全員が、結果を気にせず全力で戦えと笑顔で送り出す状況なら、すっきりして気持ちがいいんですけどね。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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