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時々お邪魔する練習場で、60代と思われる女性Yさんとお話をしていました。

Yさんはこれまでに出産などで何度かブランクがあったものの、ずっと卓球をやってきたそうです。

角丸型ペンホルダーの片面だけに裏ソフトラバーを貼り、昔からプレーしてきた人によくある戦型です。

長年頑なにマークVやスレイバーといったタイプのラバーを使っていたのですが、その日初めてハイテンションラバーに貼り替えて打つのだそうです。


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 手に負えないじゃじゃ馬ラバー
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銘柄はバタフライのブライススピードでした。

ブライスシリーズなら、最新版のブライスハイスピードが話題になっています。

その影に隠れてしまい一時的に販売不振に陥ったためか、あるお店の特売品で売られていたのを買ったそうです。

30分ほど経ってふとベンチのほうを見ると、Yさんが浮かない顔をして座っています。

「どうしたんですか」と声をかけると「想像していたのと違いが大きくて戸惑っている」とのご意見でした。

かなり弾むだろうことは覚悟していて、止める系のボールは体全体を真綿のようにふわっとさせれば、捌(さば)ききれるはずと考えていたそうです。

独特の表現で、まあそれでもお考えはなんとなく伝わってきました。

それで真綿になったつもりでレシーブやツッツキをしてみたところ、いかんせんボールが吹っ飛んでしまって制御不能なんだそうです。

私のように使う用具が定まらず、あれもこれも試している人間ならもう少し控えめの感想だったかもしれません。

しかしほぼ同じカテゴリーの用具を、ひたすらウン十年使い続けていた人には衝撃だったのでしょう。


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 結論を出すのはもう少し先
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ただ私はYさんの感想について、本当にそうなのかもう少し考えてみたいと思いました。

最初の練習相手は初級者レベルの方だったそうです。

従ってフォア打ちとバックショートをそれぞれやって終わったそうです。

次の相手は結構上手い人で、実戦的な使い方ではどんな感じなのかを確認したいと思い、いきなりサーブを2本ずつ出し合う試合形式の練習をしたそうです。

その2人目の人との練習で思い通りのプレーができなかったため、意気消沈している部分もありました。

自分のほうが強い場合はいろんなことができます。

狙い通りのパターンに持ち込める展開が多いでしょうし、相手に対してはそういった脅威に感じるものはあまりないでしょう。

反対に相手が自分より強い人の場合、得点パターンの流れにできず、それがよく語られがちな「自分のプレーが出来なかった」という分析になることがあります。

そんな相手なら、たとえ前と同じラバーでもいい所なしで終わったのではないでしょうか。

そしてなによりまだ打った相手がたった2人だけ、かつ30分弱で結論を出すのは早すぎます。


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 悲しみの淵に沈むご婦人
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そこでYさんとツッツキをすることにしました。

別段コントロールしにくそうには見えません。

続いて私からいろいろなサーブを出してみました。

斜め下回転や横回転の返球が時々甘くなることがあり、Yさんは「ボールが天井まで飛んでいってしまう」と嘆いていました。

そうですね、、、あと4mほど浮き上がると天井に当たります。

返球の高さは重要で、意図していた軌跡より20cmも浮いてしまえば確かにチャンスボールになってしまいます。

ですからぼやきたい気持ちはわからないでもありません。

「横回転系のサーブは、返球を浮かせる意図も込められています」

「生まれて初めて使うハイテンションラバーです」

「まだ何も悲観することはないですよ」

私は次々とYさんに語りかけました。

依然として表情がすぐれないので「気になることだけじゃなくて、変えて良かったと思えることはないですか」と問いかけてみました。

「ロゴマークがイケてるところだけかな」

あぁ、、、落ち込み度合いはそれなりに大きそうです。


こういうのはどうしても避けられないことがあります。

できれば類似の用具を使っている人に少しだけ使わせてもらい、感触を確かめられたらいいんですけどね。

大きなお店だとサンプルが置いてあったり、試し打ちをさせてもらえるところもあります。

メーカのキャッチコピーは美辞麗句しか使われていません。

何千円かの買い物をするのに味見ができるのはありがたいことです。

でもとってもマイナーで高いラバーというのもあります。

周りで誰も使っていないし、試打ができるお店なんてありません。

それは不安を抱えながら買うしかなく、一種のギャンブルですね。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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