世の中の様々な分野には、専門家と呼ばれる知識の塊のような方がいらっしゃいます。
専門家は系統立てた理解をされているエキスパートというイメージがあります。
一方、博識ではあるものの、どこか癖の強い側面を持つ人はオタクと呼ばれたりします。
卓球の世界でもオタクさんはいらっしゃいますが、比率が高そうなのは用具オタクではないでしょうか。
昨年末に練習場でお話をした方もそんなオタクさんの一人でした。
あばれる君に少し似ていたので、お名前はABAさんということにしておきます。
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見えないグラスファイバー
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一口に卓球用具オタクと言ってもその分野は広く、ABAさんが得意とするカテゴリーはラケットの素材についてでした。
アユース、桐、ヒノキ、といった木材や、カーボン、グラスファイバー、などの特殊素材について語りだすと止まりません。
この日はABAさんにとって予想外の出来事が立て続けに起きました。
たまたま練習場に来ていた方のラケット2本が、自分の理解とは異なっていたためです。
最初の1本はTSPのブラックバルサです。
中心に分厚いバルサが使われていて、それを両面から黒に着色した薄い表面材でサンドイッチした構造です。
メーカーの説明では、木材3枚+グラスファイバー2枚、となっています。
つまり黒い表面材とバルサの間にグラスファイバーが挟まれているはずなのです。
ところがいくら目を凝らしてもグラスファイバーらしきものは見えません。
他社製のグラスファイバーを使っている別のラケットでは、グラスファイバーの部分が薄っすらと線になって確認できます。
カーボンほどではないのですが、少し黒みがかった線が貼り合わせた板の境界に存在するのです。
ブラックバルサの場合、当然メーカーが虚偽の素材を記載しているわけではなく、上板が黒く着色されているため、肉眼での識別が困難なのでしょう。
私はそのように理解したのですが、ABAさんは「うーん」と唸りながら険しい表情のままでした。
そろそろ所有者にラケットを返してあげたいので「別の方のラケットを見せてもらいましょうよ」と誘導しました。
専門家は系統立てた理解をされているエキスパートというイメージがあります。
一方、博識ではあるものの、どこか癖の強い側面を持つ人はオタクと呼ばれたりします。
卓球の世界でもオタクさんはいらっしゃいますが、比率が高そうなのは用具オタクではないでしょうか。
昨年末に練習場でお話をした方もそんなオタクさんの一人でした。
あばれる君に少し似ていたので、お名前はABAさんということにしておきます。
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見えないグラスファイバー
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一口に卓球用具オタクと言ってもその分野は広く、ABAさんが得意とするカテゴリーはラケットの素材についてでした。
アユース、桐、ヒノキ、といった木材や、カーボン、グラスファイバー、などの特殊素材について語りだすと止まりません。
この日はABAさんにとって予想外の出来事が立て続けに起きました。
たまたま練習場に来ていた方のラケット2本が、自分の理解とは異なっていたためです。
最初の1本はTSPのブラックバルサです。
中心に分厚いバルサが使われていて、それを両面から黒に着色した薄い表面材でサンドイッチした構造です。
メーカーの説明では、木材3枚+グラスファイバー2枚、となっています。
つまり黒い表面材とバルサの間にグラスファイバーが挟まれているはずなのです。
ところがいくら目を凝らしてもグラスファイバーらしきものは見えません。
他社製のグラスファイバーを使っている別のラケットでは、グラスファイバーの部分が薄っすらと線になって確認できます。
カーボンほどではないのですが、少し黒みがかった線が貼り合わせた板の境界に存在するのです。
ブラックバルサの場合、当然メーカーが虚偽の素材を記載しているわけではなく、上板が黒く着色されているため、肉眼での識別が困難なのでしょう。
私はそのように理解したのですが、ABAさんは「うーん」と唸りながら険しい表情のままでした。
そろそろ所有者にラケットを返してあげたいので「別の方のラケットを見せてもらいましょうよ」と誘導しました。
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10枚合板ラケット?
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次に見せてもらったのは、同じくTSPのラケットであるアストロンブルーでした。
カタログではどう記載されているかというと、木材5枚+フリースカーボン2枚、となっています。
カーボンは卓球ラケット以外にも様々な製品に使われています。
一般的には炭素繊維を糸状により合わせ、その糸を縦横に編み込んだ状態となっています。
フリースカーボンは炭素繊維を糸の状態にせず、バラバラのままティッシュペーパーのように広げてシート状にしたものなのだそうです。
通常のカーボンよりは反発力控えめということでした。
さすがABAさん、豊富な知識を嬉しそうに披露してくれます。
さて、そのフリースカーボンを使ったアストロンブルーですが、ラケットの断面を見てもカタログ通りの合板構成であることが確認できません。
先ほど紹介したブラックバルサと同様、特殊素材のフリースカーボンが肉眼では見えないということでしょうか。
フリースカーボンは紙のようなペラペラでしょうから、肉眼で見えなかったとしても良しとしましょう。
でもなぜかその特殊素材だけでなく、木材部分の構成もカタログ通りには見えないのです。
ブレードの断面は、灰色に着色された薄い板が10枚程度重なった層になっています。
こういう薄々の着色材はグリップによく使われています。
同じような集合材がブレードの断面に現れているのです。
ですからこのラケットは、10枚合板ですよと示されていれば納得できるのかもしれません。
ラケットの所有者はグリップの付け根に近い、水かき部分をナイフで削っていました。
その削った断面も同じなのです。
これについてはABAさんだけでなく私も少々戸惑いました。
ABAさんは「ラケットを真っ二つに切って確認してみたい」と言い出しました。
人様のラケットなのでそんなことはできませんが、そういう発言が出るほど筋金入りのオタクであることが再確認できました。
帰り際、ABAさんは「メーカーに質問してみようかな」と言っていました。
「再度お会いできたら、ぜひ回答内容を教えてください」と伝え、私も家路につきました。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
10枚合板ラケット?
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次に見せてもらったのは、同じくTSPのラケットであるアストロンブルーでした。
カタログではどう記載されているかというと、木材5枚+フリースカーボン2枚、となっています。
カーボンは卓球ラケット以外にも様々な製品に使われています。
一般的には炭素繊維を糸状により合わせ、その糸を縦横に編み込んだ状態となっています。
フリースカーボンは炭素繊維を糸の状態にせず、バラバラのままティッシュペーパーのように広げてシート状にしたものなのだそうです。
通常のカーボンよりは反発力控えめということでした。
さすがABAさん、豊富な知識を嬉しそうに披露してくれます。
さて、そのフリースカーボンを使ったアストロンブルーですが、ラケットの断面を見てもカタログ通りの合板構成であることが確認できません。
先ほど紹介したブラックバルサと同様、特殊素材のフリースカーボンが肉眼では見えないということでしょうか。
フリースカーボンは紙のようなペラペラでしょうから、肉眼で見えなかったとしても良しとしましょう。
でもなぜかその特殊素材だけでなく、木材部分の構成もカタログ通りには見えないのです。
ブレードの断面は、灰色に着色された薄い板が10枚程度重なった層になっています。
こういう薄々の着色材はグリップによく使われています。
同じような集合材がブレードの断面に現れているのです。
ですからこのラケットは、10枚合板ですよと示されていれば納得できるのかもしれません。
ラケットの所有者はグリップの付け根に近い、水かき部分をナイフで削っていました。
その削った断面も同じなのです。
これについてはABAさんだけでなく私も少々戸惑いました。
ABAさんは「ラケットを真っ二つに切って確認してみたい」と言い出しました。
人様のラケットなのでそんなことはできませんが、そういう発言が出るほど筋金入りのオタクであることが再確認できました。
帰り際、ABAさんは「メーカーに質問してみようかな」と言っていました。
「再度お会いできたら、ぜひ回答内容を教えてください」と伝え、私も家路につきました。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
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