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昨年卓球王国から発売された「卓球グッズ2019」では、ハンドメイドラケットについての特集がありました。

理想のラケットを求めるべく、ブレードに用いる合板から自作を始め、日本卓球協会の公認まで取った人や、美術品をイメージしてラケットを作る海外アーティストの紹介は興味深い内容でした。


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 誰も見たことのないラケット
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さて、卓球用具メーカーのラインナップに自分の求めるラケットが存在しない場合、特注により希望を叶えるという手段があります。

ニッタクとバタフライが特注の受付を公式に行っていて、それ以外のメーカーも個別の依頼で限定的に応じてくれることがありました。

バタフライは巷の競技者に対する受付を終了したため、今私達が特注を希望する場合、ニッタクに依頼するのが最も一般的な方法です。

そしてニッタクに注文しようか思案している一人として、上田さん(仮名)がいます。

上田さんは私と同様、ペンホルダーの片面だけに裏ソフトラバーを貼った古典的なプレースタイルです。

その日の気分に応じて、角型の日本式と丸い中国式を使い分けている点も同じです。

ただ上田さんはその使い分けが気に入っているわけではありませんでした。

それぞれのいいとこ取りをしたラケットを特注で実現できたらという思いを数日前から温めていたのです。

特注で実現したいラケットの仕様は次のようなものでした。

ヒノキ単板、角丸型、中ペン(中国式ペンホルダー)グリップ


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 特注を決意するまでの経緯
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それぞれの特徴については以下のような理由を語ってくれました。

分厚い単板はよく弾み、単板の打球感も気に入ってるためでした。

フォアハンドの威力だけを考えると角丸型ではなく、より長細い角型が適していますが、バックとの切り替えや台上の安定性を考えると角丸型が一番良いそうです。

グリップの形状に中ペンを選んだのは、フォアとバックのスムーズな切り替えができる点を重視しました。

特注を考える一方で別の選択肢もありました。

角丸型の中ペンは合板なら並行輸入を行っている取扱業者があり、その業者のWebサイトを数回眺めていたそうです。

しかしヒノキ単板の弾みと打球感は魅力的、さらにラケットにはJTTAAがついていないので上記案はボツとなりました。


次に考えたのが角丸型の単板日本式ペンホルダーの加工でした。

コルクグリップを切り落とし、太くて平たい中ペンに近づけるよう肉付けするのです。

加工のしやすいバルサ材をカッターナイフで整形して貼り付ければ、そこそこの手間で実現できそうです。

上田さんは迷った挙げ句、この案も見送ることにしました。

つぎはぎグリップから手に伝わってくる打球感に難がありそうな予感がしたのです。

オリジナルの日本式グリップ側面にはJTTAAの焼印があり、その部分を避ける加工はかなりいびつな出来上がりになる点も嫌でした。


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 注文前に生じた迷い
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ニッタクに対し角丸型の中ペンの注文を出す場合、図面を用意しなければなりません。

でも上田さん曰く「それは特注の良さが存分に発揮できるのでうれしい」とのことでした。

特注ラケットの形状は図面を提出するか、販売中のラケットの中から希望する形状を指定するかの2通りがあります。

自分の描いた図面を形にしてもらえれば、オリジナルラケット感に溢れ満足度が高くなります。

今は裏面に半円コルクを着けるべきかと、グリップデザインをどうするかについて悩んでいるそうです。

お話を伺っていて、なるほどそれなら特注でしか実現できないように思えました。

しかしあるアイデアがふと浮かび、何気なく上田さんに問いかけてみました。


種類は少なくマイナーな存在ですが単板の中ペンやシェークがあります。

それらを削って角丸型に加工する考えです。

楕円形ブレードの左右と先端付近をカンナで削れば、角型は難しいですが希望通りの角丸型のラケットなら実現できそうです。

そしてグリップは中ペンもしくは長めの中ペンもどきです。

上田さんは「あっ」と声を発した後、しばらく考え込みました。

シェークの長いグリップは気にならないそうです。

試して見る価値はありそうで気持ちが揺れ動いているようでした。

やがてそのまま「うーん」とうなりながら帰っていきました。

私の単なる思いつきが頭に突き刺さってしまい、果たしてこれでよかったのでしょうか。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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