2012 .03.31
製品につける名前はとても重要です。
製品の性能や品質が優れていることはもちろん大切ですが、イメージを向上させる名前が与えられることにより、消費者の購買意欲をさらに高める効果があります。
スポーツ用品の場合、ネーミング効果がアップする典型的な例は、有名な選手の名前を冠した製品名をつけることです。
卓球用具メーカの中でこの戦略を最も強力に推し進めているのは、みなさんお察しの通りバタフライです。
バタフライは積極的に有名選手と契約を結び、これまでに多くの選手モデルラケットを販売してきました。
製品の性能や品質が優れていることはもちろん大切ですが、イメージを向上させる名前が与えられることにより、消費者の購買意欲をさらに高める効果があります。
スポーツ用品の場合、ネーミング効果がアップする典型的な例は、有名な選手の名前を冠した製品名をつけることです。
卓球用具メーカの中でこの戦略を最も強力に推し進めているのは、みなさんお察しの通りバタフライです。
バタフライは積極的に有名選手と契約を結び、これまでに多くの選手モデルラケットを販売してきました。
現在もシェークではティモボルシリーズ、ペンでは柳承敏(ユスンミン)シリーズを看板モデルに据えて宣伝を行なっています。
用具メーカ各社の選手名ラケットを詳しく見てみると、いろんな事情や名前の使われ方があることが分かります。
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選手が使わなくなったケース
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製品化した時は本人も使っていたのに、いつの間にか別のラケットに変えてしまったということはよくあります。
選手は自分のプレーについて日々試行錯誤を繰り返していて、それに伴い用具を替えるというのはしょうがないことです。
以前は本人がラケットを使わなくなっても、新製品の時と同じ「◯◯選手使用」の見出しを残したままのカタログがありました。
最近は内容の正確さに敏感になったのか、次のシーズンのカタログでは「◯◯選手と共同開発した~」のような表現に変更されています。
そういった中、シュラガー選手や吉田海偉選手は、長期間ご自身のモデルのラケットを使い続けています。
これは少数派のケースであり、メーカにとってはラケット名の付加価値を維持できるため、ありがたいことだと思います。
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最初から名前だけが使われるケース
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これはある選手モデルの製品があり、その派生モデルにも選手名を使う場合です。
前述のティモボルや柳承敏シリーズの内、ご本人が使っていない選手名モデルが該当します。
他にも、ヤサカの馬琳選手のモデル、ティバーのサムソノフ選手のモデルなどにも同様のものがあります。
まさに名前だけが使われているという最も端的な例は、バタフライのラバー貼りラケット「福原愛ドリーム・ペン」です。
福原選手はCMの中などでペンホルダーを使うことはありましたが、実戦で根本的な打ち方が異なるペンを使うことはあり得ません。
なお、誤解のないように申し添えますが、このネーミングについて私は非難しているわけではありません。
卓球を始めようと思う人に、広く名前が知られている福原選手で関心を持ってもらいたいという考えは、自然なことだと思っています。
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生産終了と後継製品
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ラケットの売上が振るわないと、当然販売は打ち切られます。
また、順調に売れていても契約が切れると販売は終了します。
松下浩二さんがバタフライの契約選手を外れ、TSPの社長に就任した時、松下モデルのラケットが全てなくなりました。
おそらくカットマン用ラケットで、トップセールスの商品だったと思います。
選手が引退すると、同時にメーカとの契約も終了することが多いです。
一部例外としては、ハンガリー三銃士の1人ゲルゲリー選手のモデルが、後継製品の形で現在も販売されています。
契約が終了しても、ラケットそれ自体は引き続き販売されることもあります。
ヤサカは以前、フランスのガシアン選手と契約していて、ガシアンモデルのラケットを何種類も販売していました。
契約終了後ラケットの名称だけ変更し、そのいくつかを現在も販売しています。
例えば「ガシアンクラシック」は「クラシック」に変更し、商品型番は従来のままです。
ラケットではありませんが、シューズも「ガシアンプロ」という名前を「Gプロ」に改名して継続販売しています。
これとは逆のようなパターンが、バタフライの張継科(チャンジーカ)選手モデルのラケットです。
張選手は、生産終了になったビスカリアというラケットを使い、世界チャンピオンになりました。
張選手と契約したバタフライは、ビスカリアの板はそのままで、グリップのデザインを変更した「張継科」モデルのラケットを新商品に定義して販売しました。
(ネームバリューが加わって、お値段は若干アップしました)
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メーカへの配慮、選手への配慮
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選手は契約金をもらいますから、メーカへは最大限配慮をします。
いろんなメディアに取り上げられる際、契約メーカの製品を露出させます。
フォアとバックで貼っているラバーのメーカーが異なる場合、取材や写真撮影でどちらのラバーを見せるかなども考えています。
用具に詳しい方が見れば不自然なこともあるでしょうが、選手の姿や試合に向けての抱負などが取材対象であれば問題はありません。
私が残念に思ったのは、それぞれの選手が使っている具体的な用具についての記事なのに、事実と異なる内容が書かれていたケースです。
ある選手が、自分の選手名のラケットを使っているという内容でした。
実際はそのラケットは使っておらず、掲載された写真もじっくり見ると別のラケットでした。
反対に、メーカが選手に配慮していると感じたこともあります。
バタフライの2012年春のカタログで、水谷選手モデルのラケットのところを見ると、平成18年~22年度の全日本男子シングルス優勝という記述があります。
平成23年度に優勝した吉村選手は、この水谷選手モデルのラケットを使っていました。
当該ラケット使用者の主要な戦績を載せるのなら、平成23年度全日本男子シングルス優勝者使用ということも記載されるべきです。
しかし水谷選手は特別な選手であり、機械的に事実を書けばいいという判断はできなかったのだろうと思います。
吉村選手もバタフライの契約選手であるため、カタログの後ろの部分にプロフィールが載っています。
そこには、ラケットは水谷選手モデルを使っていること、そして平成23年度のチャンピオンであることが記載されています。
メーカの方がいろいろと検討して、この形に落ち着いたものと想像しています。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
用具メーカ各社の選手名ラケットを詳しく見てみると、いろんな事情や名前の使われ方があることが分かります。
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選手が使わなくなったケース
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製品化した時は本人も使っていたのに、いつの間にか別のラケットに変えてしまったということはよくあります。
選手は自分のプレーについて日々試行錯誤を繰り返していて、それに伴い用具を替えるというのはしょうがないことです。
以前は本人がラケットを使わなくなっても、新製品の時と同じ「◯◯選手使用」の見出しを残したままのカタログがありました。
最近は内容の正確さに敏感になったのか、次のシーズンのカタログでは「◯◯選手と共同開発した~」のような表現に変更されています。
そういった中、シュラガー選手や吉田海偉選手は、長期間ご自身のモデルのラケットを使い続けています。
これは少数派のケースであり、メーカにとってはラケット名の付加価値を維持できるため、ありがたいことだと思います。
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最初から名前だけが使われるケース
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これはある選手モデルの製品があり、その派生モデルにも選手名を使う場合です。
前述のティモボルや柳承敏シリーズの内、ご本人が使っていない選手名モデルが該当します。
他にも、ヤサカの馬琳選手のモデル、ティバーのサムソノフ選手のモデルなどにも同様のものがあります。
まさに名前だけが使われているという最も端的な例は、バタフライのラバー貼りラケット「福原愛ドリーム・ペン」です。
福原選手はCMの中などでペンホルダーを使うことはありましたが、実戦で根本的な打ち方が異なるペンを使うことはあり得ません。
なお、誤解のないように申し添えますが、このネーミングについて私は非難しているわけではありません。
卓球を始めようと思う人に、広く名前が知られている福原選手で関心を持ってもらいたいという考えは、自然なことだと思っています。
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生産終了と後継製品
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ラケットの売上が振るわないと、当然販売は打ち切られます。
また、順調に売れていても契約が切れると販売は終了します。
松下浩二さんがバタフライの契約選手を外れ、TSPの社長に就任した時、松下モデルのラケットが全てなくなりました。
おそらくカットマン用ラケットで、トップセールスの商品だったと思います。
選手が引退すると、同時にメーカとの契約も終了することが多いです。
一部例外としては、ハンガリー三銃士の1人ゲルゲリー選手のモデルが、後継製品の形で現在も販売されています。
契約が終了しても、ラケットそれ自体は引き続き販売されることもあります。
ヤサカは以前、フランスのガシアン選手と契約していて、ガシアンモデルのラケットを何種類も販売していました。
契約終了後ラケットの名称だけ変更し、そのいくつかを現在も販売しています。
例えば「ガシアンクラシック」は「クラシック」に変更し、商品型番は従来のままです。
ラケットではありませんが、シューズも「ガシアンプロ」という名前を「Gプロ」に改名して継続販売しています。
これとは逆のようなパターンが、バタフライの張継科(チャンジーカ)選手モデルのラケットです。
張選手は、生産終了になったビスカリアというラケットを使い、世界チャンピオンになりました。
張選手と契約したバタフライは、ビスカリアの板はそのままで、グリップのデザインを変更した「張継科」モデルのラケットを新商品に定義して販売しました。
(ネームバリューが加わって、お値段は若干アップしました)
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メーカへの配慮、選手への配慮
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選手は契約金をもらいますから、メーカへは最大限配慮をします。
いろんなメディアに取り上げられる際、契約メーカの製品を露出させます。
フォアとバックで貼っているラバーのメーカーが異なる場合、取材や写真撮影でどちらのラバーを見せるかなども考えています。
用具に詳しい方が見れば不自然なこともあるでしょうが、選手の姿や試合に向けての抱負などが取材対象であれば問題はありません。
私が残念に思ったのは、それぞれの選手が使っている具体的な用具についての記事なのに、事実と異なる内容が書かれていたケースです。
ある選手が、自分の選手名のラケットを使っているという内容でした。
実際はそのラケットは使っておらず、掲載された写真もじっくり見ると別のラケットでした。
反対に、メーカが選手に配慮していると感じたこともあります。
バタフライの2012年春のカタログで、水谷選手モデルのラケットのところを見ると、平成18年~22年度の全日本男子シングルス優勝という記述があります。
平成23年度に優勝した吉村選手は、この水谷選手モデルのラケットを使っていました。
当該ラケット使用者の主要な戦績を載せるのなら、平成23年度全日本男子シングルス優勝者使用ということも記載されるべきです。
しかし水谷選手は特別な選手であり、機械的に事実を書けばいいという判断はできなかったのだろうと思います。
吉村選手もバタフライの契約選手であるため、カタログの後ろの部分にプロフィールが載っています。
そこには、ラケットは水谷選手モデルを使っていること、そして平成23年度のチャンピオンであることが記載されています。
メーカの方がいろいろと検討して、この形に落ち着いたものと想像しています。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
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