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初心者のAさんと打っていると、ボールの打球音が変な音になり、ヒビが入っているのが分かりました。

「あっ、ボールが割れてますね」

Aさんは割れているボールだとどういう音がするのかまだよく分かっていないため、私の指摘には半信半疑でした。

私はボールを台の上に置きラケットで上から押し付けながら転がすと、グシャッとつぶれました。

卓球をする人ならみなさんが行うやり方です。

私は「やっぱり割れてましたね」とAさんの顔を見たところ、全く理解できていない表情でした。


恐らくAさんには次のような思いがあるのでしょう。

ボールを台に押し付けてグリグリすれば新品のボールでも割れるはずである。

さらに穿った見方をすれば、無理やりボールを壊すことで、ヒビが入っていたという主張を正当化しているようにも感じられる。

この誤解を解くためにはボールにヒビが入った際、実際に確かめ納得してもらうことが一番です。

具体的にはボールの継ぎ目を目で追って、ヒビが入っていることを目視確認してもらいます。

次にボールを台に押し付け、適度な圧力を加えて転がすとヒビが入った部分から割れることを理解してもらいます。

特に相手がお子さんなら探究心を養うことにつながります。

ボールが割れていると気づいても、自分で確認するのをぐっと我慢します。

「割れてるよ」と声をかけ、相手に確認してもらいます。

子供なら誰しも自分がグシャッと割ってみたいと思っています。


ただしこの光景は、来年以降あまり見られなくなるだろうとさびしさを感じています。

2014年7月に東京で開催される世界選手権のあと、継ぎ目のないプラスチックボールに切り替わるためです。

なかなか亀裂は入らず表面がテカテカで凹みがひどくなり、ようやく廃棄されるボールが増えるのではないかと予想しています。


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 相手に応じた対応
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さてこの話を別の方向に広げて考えてみたいと思います。

ボールのヒビに気づいた時、多くの人は自分で確認してすぐに割ってしまいます。

経験者と打っている時であれば「割れてますね」などの声掛けすら不要で、そんなことを言うぐらいならさっさと壊して次のボールを使って欲しいと相手は思っています。

練習する相手により、全く正反対とも言える対応になります。

少し気持ちに余裕があれば、初心者の方に対しては意思疎通の方法を柔軟に切り替えられれば理想的です。

通常の技術指導においても相手が理解や納得ができていないのに、一方的な説明だけをしてしまう悲しい場面を見かけることがあります。

それはもはや説明ではなく、ただの自己満足スピーチです。

初心者の方がラケットを握ると、テニスのように人差し指も中指と同じようにグリップに巻きつけて握ったり、一本差しと言って人差し指をラケットの中心に伸ばす握り方をする人がいます。

そういう握りはバックハンドなどに難があって通常はお勧めできません。

ところが理由は一切無く、頭ごなしにダメと言うだけでは教えてもらう側の心が離れてしまうかもしれません。

そしてともすれば、相手が初心者ということで高圧的な口調になっている人もいるでしょう。

残念ながら説明がお粗末な一方、卓球の腕前だけで威張っている人は人間的には尊敬できませんね。


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 教え方で悩む
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ちゃんとした指導をやっている方はご自身の技術の維持だけでなく、コーチング方法も学習されているそうで大変だと思います。

説明する内容は広く一般に通じ、体系的であることが求められます。

それを踏まえた上で、教える対象者ごとに固有の内容をプラスする形になります。

でもそのへんの地域クラブだと、たまたま経験者だから教える役になってしまったという不幸な方もいます。

どう教えたらいいものかと頭をひねりながら、いろいろとアドバイスを与えている場合もあるでしょう。

そのアドバイスは、確かに自分のリアルな経験に基づいています。

しかし理論などが偏っていて、一部の方だけに有効な内容という場合もありえます。

これは又聞きした話ですが、レシーブを失敗しないようにと粒高ラバーを勧める方がいて、女性メンバの半数が粒高を使っているクラブがあったそうです。

また教える人の属人性に強く依存するというのは、理論以外に性格面でも特徴が出ます。

例えば主観的に考える傾向が強い人は、断片的な情報だけでどんどん意見を口にします。

打ちミスについてもせめて5~6本ぐらい見てからコメントすべきだと思いますが、1本変な振りがあったことを捉えてああだこうだと言われればたまったものではありません。

打っている本人だって微妙に感覚を変えながら試行錯誤をしています。

その中に1本ぐらいはこんな感じだとどうかなという試みはあります。

見たことにズバリそのまま直線的な意見をするのではなく、どうしようとしているのかまで踏み込んだアドバイスであるべきです。

相手の意見も十分に聞いて双方向のコミュニケーションという形になれば、理解度・納得度どちらも向上して幸せになりますね。


現実は個性の強い方がいることも含めてそれぞれのクラブであり、私も上に挙げたような過ちをしないよう自戒したいと思います。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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