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2022 .02.05
今回は、物事は感情に左右されず客観的に判断しましょうと説く方をご紹介します。

畑さん(仮名)は、60歳くらいと思われる男性です。

某所の卓球場の休憩時間に、ふとした雑談を交わしたのがきっかけでした。

常日頃ご自身が思っていることがあり、それを私に感情を込めず淡々と語ってくれました。


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 女子ダブルス決勝(2019,2021)
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主な内容は2つで、まず1つめは世界選手権の女子ダブルスの話でした。

2019年の決勝戦は、日本の伊藤+早田ペア対、中国の王+孫ペアの対戦でした。

終盤に日本側が出したサーブを中国側が返せませんでした。

しかしそのサーブはネットに触れていたため、無効であるという異議が出され揉めました。

映像を見るとネットにはかすりもしていませんでしたが、ネットに触れたと判定されやり直しとなりました。

そして試合は中国側の勝利となりました。

昨年の世界卓球2021の決勝も同じ対戦となりました。

テレビ東京は不本意な前回の判定を何度も取り上げ、リベンジを願う報じ方をしていました。

これについて畑さんはずっと違和感を感じていたそうです。

ある日ほげ~っとした表情で聞いてくれそうに見えた私に出会い、溜まっていた思いを吐き出したようでした。


あのテレ東の報道は恥ずかしいと冷ややかでした。

視聴者が感情移入し、応援しようと見てくれれば視聴率は上がります。

そのための誘導は半分理解でき、半分うんざりするというご意見でした。

それはそれで割り切って考えることとしたそうです。

次に最も良くない点の核心部分になりました。

ミスジャッジが、試合の勝敗の大部分を決めるかのような印象操作になってしまっているというご指摘です。

確かにあれは重要な局面で重要な意味合いを持つことは認めます。

でもそれ以外に、この場面でこうしていればと振り返ると、思い当たることはいくつもあるものです。

将棋の対局などでは、1つのミスで完全に形勢逆転してしまうということはあり得ます。

しかし卓球はそうではなく、重要なポイントが要所要所にあり、それらが積み重なって試合の結果が決まるのが普通です。

私は念のため日本に1点入ったあとの展開と、無効になったときでは取れる戦術は違ってくるのではと畑さんに問いかけてみました。

お答えは、それは考慮に入れた上でもあの判定ミスを過大に取り上げすぎ、とのことでした。


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 男子シングルス決勝(1979)
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もう1つも世界選手権のお話となります。

そちらはずっと過去にさかのぼり、1979年にピョンヤンで行われた男子シングルスの決勝戦についてでした。

日本人最後のシングルス世界チャンピオンと言われている小野選手と、中国の郭選手との対戦でした。

小野選手がやや優勢に試合を進める中、郭選手は左足に肉離れか何かの重大な問題が発生しました。

試合を中断し足に注射を打つすごい場面もあったそうで、4ゲーム目に郭選手が棄権を申し出て試合は終わりました。

この試合について畑さんが注目したのは、1ゲーム目の終盤の出来事でした。

当時は1ゲーム21点制のルールで、郭19-20小野と、小野選手が1点リードで迎えたゲームポイントという状況でした。

郭選手が横回転っぽいサーブを出すと、小野選手はラバーを貼っていないペン裏面の木の部分で返球しました。

これは木ベラ(きべら)と呼ばれていて、当時はルール上認められていました。

垂直方向の面の角度さえ合えば、訳のわからない回転でもとりあえず返せる確率は高くなります。

そして相手が掛けた回転をそのままお返しできる鏡のような返球ができます。

小野選手のレシーブはオーバーミスとなり、20-20のジュースになってしまいました。

畑さんの視点では、もしこの第1ゲームを小野選手が失い、試合も負けていたなら、木ベラの返球を執拗に批判されていたかもしれないということでした。

最近はやたらと「結果が全て」と、結果をもって○か×の単純解釈をしてしまう風潮があります。

物事を決断した理由やそこに至るまでの過程は過小評価されているのです。

小野選手は郭選手の魔球サーブに少し手こずっていました。

その前の1977年の世界選手権では、河野選手が中国の梁選手のサーブがわからず、同じく木ベラで返球して窮地を切り抜けました。

そういうことから思い返すと、小野選手の判断はトリッキーであったり、思慮が浅いただの思いつきプレーなどではないと畑さんは解釈しています。

畑さんは、もし小野さんにお会いできたらあのプレーについて聞いてみたいとのことです。

もしかしたら「苦し紛れでとっさに木ベラで打ってみた」と言われるかもしれませんが、そのときは素直に深読みしすぎたと認めるそうです。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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