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今回はあるシニアの方についてお話ししたいと思います。

お名前は青井さん(仮名)ということにしておきます。


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 敬遠されるのは当然だと理解する
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青井さんは70歳くらいの男性です。

中ペン(中国式ペンホルダー)の片面だけに裏ソフトを貼った、オーソドックスなスタイルです。

青井さんが重視しているのは、卓球場に集う他の人との関係性です。

巷にある民間の卓球場では利用料を払い、試合あるいは自分の好きな練習をします。

それは運動不足やストレス解消であったり、技術的向上を目指すためという場合が多いでしょう。

青井さんの場合もそういう目的はあるのですが、自分がいかに卓球場の中に溶け込めているかに注力しています。

ご自身がシニア世代に突入している状態をしっかり認識すべきとのお考えです。

他の方はほとんどが自分より若い世代で10代の若者もいます。

そういう人たちとは、やはりある程度の心理的距離が生じるのは自然で、それを和らげるようにされています。


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 ハキハキと、そして分かりやすく
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典型的なカタブツ親父と見なされる雰囲気は厳禁で、微笑みをたたえ落ち着いた振る舞いに徹します。

最もそれが顕著に現れているのが審判をする時です。

無言で指を折って点数を数え、今のスコアがどうなのかだけを把握するお地蔵様のような審判では意味がありません。

得点ごとに声で伝え、サーブ権のある方を指し示します。

その得点コールも、後ろに転がっていったボールを取りに行った場合は、台の所まで戻ってきたタイミングで告げるようにしています。

サーブがネットインになると素早く手を上に挙げ「レット」、そして続けて現状のスコアを再度告げる分かりやすさです。

自分の試合の際は台についた時点で笑顔で「おねがいしまーす」。

試合前のジャンケンで気をつけているのは、トロいと若者とギクシャクするので最速の早口で行うことです。

流石にプレースタイルは昭和のど真ん中で、裏面打法の習得などには多大な困難が伴うため採用を見送っています。

伝統的な菱形を作ってバックハンド側から出すサーブは、トスがあまり上がっていない昔の卓球を再現させかねません。

従って試合後に十分な高さのトスだったか、時々対戦相手に確認する念の入れようです。

逆に相手に対しては寛容な立場で、結構なハイドサーブ、斜めトス、爆音足音はスルーしています。


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 身だしなみや振る舞い
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控えめでありながらも適度に気さくに声をかけ、無難な話題を振ります。

女性がいる場所で意図せず話が下ネタに傾くと、別の内容にそらす気配りもあります。

人の目がある場所では決して上半身裸になりません。

ヒゲは毎日ちゃんと剃り、中高年男性は要注意の鼻毛や耳毛のチェックもされています。

他の人は休憩用ベンチによくカバンを置いています。

でも青井さんはいつもベンチ横の床の上と決めています。

過去に一度、誰かが同じ銘柄のスポーツドリンクを取り違え、飲まれてしまったことがありました。

その際「こういうこともあるね」と、練習場の自販機で新たにドリンクを購入しました。

そして次は間違いを防ぐため、自分のドリンクには真っ赤なハンカチでも巻いておこうかと考えたそうです。

結局それは見送ったものの、飛行機の預け入れ荷物のような発想に至るのは驚きでした。

私が更衣室で着替えていると床に目薬が落ちているのに気づきました。

青井さんも気づき、私の目薬ではないか問いかけました。

そうではないと伝えるとすぐさまスタッフの所に持っていきました。

iPhoneが落ちていたなら届けますが、目薬だとまあいいかなと考えていた私の判断は改めるべきだったかもと思ってしまいました。


青井さんは他のシニアの方の特徴をつぶさに観察していて、自分も滑らかな動きが難しくなってきているのを自覚されていました。

ネットインをとっさの撫ぜるような流し打ちで返したりすることが減り、全体的にカクカクした動きになっているはずとおっしゃっていました。

でもあと10年位は卓球したいねと語っていました。

お話を伺いながら共感できる部分は色々とあり、私も周囲に溶け込めるよう今から気疲れしない程度に見習いたいと思いました。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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