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自然界には天敵というのがいます。

卓球界にも特定の人には天敵のような存在がいる場合があります。

自分のほうが明らかに上手いと思ってるのに負けてしまうことがあります。

それが続くのを打破しようとする方がいました。


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 登場人物の2人
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Aさんは右シェーク裏裏で、ややフォアハンド重視、比較的強打で決めに行くタイプです。

アバウトな表現ですが市民大会3、4回戦くらいの腕前というところでしょうか。

大きな穴はなく、カットマンや粒高ラバー使いにもそれなりに対処できる技術があります。

Bさんも右シェーク裏裏ですが、市民大会2回戦が怪しそうなレベルの人です。

フットワークは極小で、台のそばに立ってパチパチ打つブロック主体の戦型です。

AさんとBさんが試合をした場合、普通に考えると8:2の確率でAさんが勝つはずです。

ところが実際の対戦成績は逆なのだそうです。


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 試合内容
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たまたまお二人の試合の審判をする機会がありました。

Aさんの強打は決まる時は決まり、Bさんは時々イージーミスをしてしまいます。

それでもAさんの分が悪いのは、1)攻撃をブロックされてしまう、2)レシーブミスが多い、の2点が主要因でした。

Aさんが攻撃を仕掛けたボールは少しコースが甘めというのはあります。

しかし低い軌道でスピードは決して遅くはありません。

でもなぜかBさんに返されてしまうケースが多めでした。


Bさんのサーブはフォアから出す巻き込みサーブがほとんどで、コース、長さ、回転方向の3要素をランダムに変えるパターンです。

Aさんはこのサーブに手こずり、レシーブミスを連発、返球できても甘い棒球で3球目攻撃を食らう展開です。


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 敗因はどこか
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1)のブロックされてしまう原因は、コースの甘さよりも球種の単調さが大きいと思います。

Bさんは台に貼り付いて一定のテンポで打つことは比較的得意です。

そこにドンピシャリのボールを送ってしまっているのです。

Aさん的にはスピード連打で決めたいのですが、それは相手に合わせてしまうことにつながります。

我慢して山なりの遅いドライブを混ぜたり、回転量を一打毎に変えれば、Bさんのようなタイプには効くでしょう。


2)のレシーブについては2つの分析ができます。

他の人のそこそこ難し目のサーブは返せています。

レシーブ全般が駄目というわけではなく、Bさん的モーションがドツボにハマっていると判断すべきでしょう。

別の観点では、Aさんはバウンド直後をラケットの角度を合わせるだけで返すレシーブを多用しているのが良くない理由のようです。

Bさんのサーブは巻き込みなので、ドリルのように回転軸が進行方向のジャイロ回転が入っている可能性があります。

そういうサーブは軌道が曲がることがあり、バウンド直後を捉えようとすると意図する位置とは微妙にズレた所に当ててしまいます。

打球タイミングを遅らせ、さらに回転を上書きしてかけ直す擦り打ち返球が妥当だと思います。

1)のケースと同様、スピーディーな返球ばかりが身に染み付いている傾向があるのです。

これら2つを重点的に、私が相手となってAさんと練習をしました。


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 練習成果と気づき
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その後再びAさんとBさんは対戦し、ぎりぎりでAさんが勝ちました。

Aさんとしてはあまり勝った実感がなかったそうです。

対策は効果があったものの、リアルなBさんは練習相手の私とは違います。

そして試合の中で1球毎に判断・調整する部分も大きいと再認識したそうです。


もう一つは変な考えは捨てようと決めたことです。

Aさん自身もBさんより自分のほうが上手いという意識は持っており、それに反してBさんだけには分が悪いという事実がありました。

例えばBさんはお世辞にも満足なカット打ちはできず、ツッツキで粘る場面が多めです。

そういうレベルの人にも勝てないのを恥じ入る自分がいました。

これはことさらBさんを低く見ているわけではなく、人間として自然に出てしまう優劣の感情のぶつかり合いだと理解しました。

わずかながら悟りのような気持ちを感じ、できるだけ一打一打にただ集中できたらいいなと思ったそうです。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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