試合の解説を担当されている方は、かつて有名な選手であった人や、実績のある指導者であることがほとんどです。
今回は、そういった方たちの解説について考えたいと思います。
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ワクワクする解説とは
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テレビで試合が放送されるときは、大抵実況アナウスと解説が入ります。
そして多くの場合、試合中の解説は直前のプレーに対してなされます。
これは解説者の最も基本的な役割で、分かりやすく的確に伝えていただける方なら安心して見ることができます。
そしてさらにもう一歩踏み込んだコメントもいただけると、番組に対する満足感が上がります。
具体的には予想を交えた解説であったり、選手の特徴や用具に関する情報などです。
予想を交えた解説とは、例えばフォア前・ミドル前へのサーブから攻撃を仕掛けていくパターンが相手に慣れられてきたとします。
そこでロングサーブをフォアミドルやバックサイドを切るコースに混ぜてみてはどうかという、その解説者の考えを紹介するのです。
その通りになれば流石と思いますし、変化なくそのまま続けていても解説者のコメントのほうが適切ではないかと、視聴者が思いを巡らせることができます。
解説者の中には、外れた時はカッコ悪いので予想はしたくない人もいるでしょう。
しかしそんなことにビクビクせず、ご自身が「コレだ」と思った予想は紹介してみたほうがインパクトがあっていいと思います。
他のスポーツの解説者では、例えば江川卓さんは割と予想を交えています。
実況以外の場面でも野茂選手が大リーグに挑戦するとき、フォークは通用するがストレートは駄目と、具体的に分析した意見を述べていたのは興味深かったです。
もっと範囲を広げると、政治経済の分野では田原総一朗さんも積極的に予想する方です。
しばらくすれば当たり外れがはっきり分かってしまう出来事に対し、躊躇せず自分の判断を述べます。
田原さんの予想は結構外れているのですが、そこに至った理由の説明もしっかりあるため、なるほどそういう見方もあるのかと納得してしまいます。
傷つくのを恐れ結果論中心、将来については天気予報のような表現しか使わない評論家はあまり好きではありません。
卓球の話に戻ると、選手の特徴や用具に対する情報提供もあれば大変参考になります。
近藤前監督は比較的この種の話を交えてくれます。
「彼女はバック面が表ソフトです」
「フォアは裏ソフトですがミート打ち主体です」
解説者なら事前に選手情報を頭に入れているはずなので、みなさんもっと披露してくれればと思います。
「この選手は比較的下がって打つタイプです」
「連打で攻めるのではなく、一発強打で決めにいく傾向があります」
などがあれば、うれしいですね。
また直前に打ち込んだボールの説明にとどまらず、何を狙っているのか、どういう展開に持ち込みたいのかなど、戦術パターンまで話してもらえれば見る側の関心を高めます。
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悪い例(はしゃぎ過ぎ、暗い)
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今年の世界選手権では、残念だった解説がありました。
それは解説者の立場なのに、選手を応援する気持ちが強すぎた人です。
自国選手の解説なので、ある程度ひいき目になるのは構わないと思います。
例えば一方的に負けている展開では、なんとか一矢報いて欲しいといった言葉があってもいいでしょう。
最初の試合を見ていると日本人選手に得点が入った際、解説者のAさんが何度か「ヨシ」と発していました。
相手選手が仕掛けて打ちミスだった時も「ヨシ」でしたが、まあこれぐらいなら問題はないと特に気にしませんでした。
続いて録画していた別の試合を見ていました。
そちらでは解説者Bさんが「ヨォーーシ!!」を大声で連呼しています。
私は唖然としてしまいました。
Bさんはかなり気分が高揚しているようで、解説者ということをすっかり忘れていました。
あたかもベンチ入りしている監督か日本人応援団のようでした。
もう少し自重していただけることをお願いしたいです。
先々週は高校総体の決勝戦がNHKで放送されていました。
そこでの解説は、Bさんの盟友だったCさんがご担当でした。
とても控えめで、正直なところ地味すぎると感じました。
野球でも地味な口調の解説者はいらっしゃいます。
Xさんは地味でかつぼやき調なため、次第にこちらも陰鬱になってきます。
Zさんは地味、そして感情を交えず極めて冷徹です。
エラーをすると「アマチュアですね」と、にべもなく言い捨てます。
ある意味痛快ですが、終始その調子なのでやはり聞き疲れます。
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言葉のプロ
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いろいろ書きましたが、私の要望は別に贅沢ではないと思っています。
解説者はその道に通じた人であることは必須です。
でもそれだけでしか選ばれていない方が多いように感じます。
語りで勝負しているのですから、視聴者を惹きつける解説をして欲しいのです。
DJポリスのニュースを聞いて、はっと思うことはないのでしょうか。
先日も電車の中でダメダメアナウンスを聞いてしまい、あなたプロなんですよと悲しくなりました。
私もそうですが、仕事柄、話で勝負する部分は少ない方もいらっしゃるでしょう。
それでも日々良い例・悪い例に触れ、自分を省みるようにしたいですね。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、また次号をお楽しみに。
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