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ラバーの性能が劣化しないよう、日々いろいろな方法でお手入れをされていることと思います。

特に裏ソフトをご利用の方は、クリーナー液でホコリを拭き取り、そのあと保護シートを貼ることで粘着力を維持している人も多いでしょう。

あるご婦人で、保護シートは美容パックみたいとおっしゃった方がいました。

それには私も同感で、ラバーには女優さんのお肌と同等の手厚いケアが要求されます。

温度変化に気をつけ、当然ですが直射日光は避けるというあたりも似ていますね。

これらのお手入れは、主にシートの引っ掛かりを維持することに重点を置いていると思います。

では、弾みについてはどうでしょうか。

昔は、スピードグルーやブースターという液状の物質を継続的にスポンジに塗ることで弾みを維持していました。

一方でラバーに何も塗らず弾みを維持する方法はないか、メーカが模索した製品がありました。

現在は販売されていませんが、2つの製品をご紹介いたします。


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 二酸化炭素で効果を持続
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ドニックというメーカから、バリオソフトSTというラバーが販売されていました。

この商品にはもれなくアルミ製の袋がついています。

ラケットがすっぽり入る大きさで、使わないときはこの袋に入れてラバーの劣化を防ぐということでした。

単にラケットを入れておくだけではありません。

ラケットを入れたあと中の空気を追い出し、袋のジッパーを閉じていきます。

途中で袋の口にストローを差しておき、ストローだけを残して閉じた状態にします。

次にストローから息を吹き込みます。

袋がふくらんだら、ストローを抜いてジッパーを完全に閉じます。

これでOKなのですが、さてみなさんは納得がいくでしょうか。

人間が吐く息だけで本当に性能の劣化を抑えることができるのか、少々疑問に思います。

私達が毎日吸っている空気は、窒素78%、酸素21%、その他わずかです。

吐く息は、窒素78%、酸素16%、二酸化炭素4%、その他わずかです。

たった4%ほど二酸化炭素が増えることで、ラバーの寿命が伸びるのでしょうか。

だとすればコーラを飲んでゲップをすれば、さらに効果が上がりそうです。

当時の製品レビューを見ても数値データは見当たらず、性能維持にはちょっと疑問符がつく方法でした。


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 圧力鍋でラバーを調理
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前述の製品とは逆で私がすごいと思ったのが、ジュウイックのチューンアップ方法です。

こちらの会社はハイテンションラバーとはまた違った形での、チューンアップ専用ラバーを販売していました。

弾む効果を保つよう、アルミ製の袋に密封したパッケージになっています。

ラバーは使い込むにつれ、当初のチューンアップ効果は徐々に劣化してきます。

それを回復させるための方法が非常にユニークでした。

別売の専用装置に密閉し、高い気圧をかけるのです。

チューンアップボックスというその専用装置は、兵隊さんの水筒のような形をしています。

上下2つに分離する構造になっていて、ラケットを入れたあと空気が漏れないよう2つを合わせて密閉します。

圧力をかけるため、密閉作業は6本のボルトを締めて行います。

こういう装置なので無骨な外見です。

ヘルメットに作業服のおじさんが手にすると似合いそうです。

付属のエアポンプを取り付け、手でピストンを押して空気を送り込みます。

装置には気圧計がついていて、何気圧まで上げたのか確認できます。


従来のスピードグルーやブースターは、塗りこんだ液体が気化して、スポンジの気泡をふくらませる仕組みを利用していました。

このチューンアップは、高い気圧の中に置くことでスポンジ内部の気泡も同じ気圧にさせ、装置から出すと外気との気圧差で膨脹し弾みを得るという発想のようです。

チューンアップボックスは製品としては画期的であった一方、購入した人には2つの点で残念でした。

1つめはスピードグルー禁止に続き、ラバーの後加工(あとかこう)も禁止となり、この圧力を加える手法も後加工に該当ということで使えなくなりました。

2つめは希望小売価格が2万円弱と高額であったため、使用できた期間内に金額に見合った恩恵を受けられた人は少なかったと思われます。

メーカ側から見ても、これだけの装置なら2万円を切る価格にするのが精一杯で、開発費や販売できた期間を考えれば完全に赤字だったはずです。

ジュウイックは個性的な製品を出してくることがあり、面白いメーカです。

飛行機に乗ると上空ではポテトチップスの袋がパンパンにふくれますが、そういうところからひらめいたのかもしれませんね。


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 P.S. 貼り方のテクニック
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私がラバーを貼っていると、ある人がそれを見て「普通に貼るのはもったいない」と声をかけてきました。

「少しでも弾みが増すよう、思い切り引っ張って貼るべきだ」とアドバイスをいただきました。

でもそれだと何かの理由ではがして再度貼るとき、同程度の大きさに伸ばしたり、位置決めに苦労するかもしれません。

「それを見越して多くの人はラバーを若干大きめに切っているのさ」と言われました。

大きめに切る理由の真偽はさておき、確かに引っ張るのは良さそうです。

次に貼り替える際は渾身の力を込めてラバーを貼ってみたいと思います。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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