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2013 .01.12
普段ほとんどお目にかかることはありませんが、今回は促進ルールについてお話ししたいと思います。


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 ルールがつくられた背景
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通常の卓球の試合では、1本を取るのに数回程度のラリーで終わります。

サーブを出し、ちょっとツッツキがあって、ビシバシビシでどちらかに得点が入ります。

例外はカットマンで、後ろに下がりボールに逆回転をかけて何本でも返してきます。

相手の打ちミスを誘って得点をする比率が高く、ラリーの本数は多くなります。

このカットマン同士が対戦した場合、延々とツッツキが続くことがあります。

カットマンには、守り重視の人、攻撃する比率が多い人、いろんなタイプがあります。

どちらもガチガチに守備に徹するタイプだと、自分から積極的に打ち込んでいくことはまれで、ひたすらツッツキ合いの我慢くらべになります。

そのため促進ルールがなかった大昔は、長時間を要した試合があり、団体戦で勝敗が決するまで、何時間もかかった試合があったそうです。

試合をやっている選手はもとより、審判の方も大変だったと思います。

それ以上に大きな問題は、延々とツッツキが続くだけの試合を見せられたら、卓球はなんとつまらない競技なんだと誰しも悪いイメージを持ってしまいます。

卓球のルール改正は、ラリーが長く続くことを狙ったものがたくさんあります。

促進ルールは正反対で、ラリーを長く続けないように仕向けます。

見ていて面白いラリーは続いて欲しいが、退屈なラリーはやめさせるという考えです。

単に続けるだけのラリーが許されるのは、松下浩二さんが記録した8時間34分29秒というギネス記録の場面だけでしょう。

山なりの緩いボールをポコンポコンと打つ単純ラリーで、これは長時間記録を狙うためというまっとうな理由がありました。


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 ルールの概要
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促進ルールではレシーブする選手が13回ボールを返球できれば、レシーブ側の得点になります。

従ってサーブを出す側は、相手が13回返球してくる前にラリーを終了させる決定打を放つ必要に迫られます。

カットマンでもサーブを出す選手は攻撃を仕掛けなければなりません。


あるゲームが始まり、10分経っても終わらないと促進ルールに切り替わります。

10分経過した時点がラリー中であっても、審判はそのラリーを一旦中断させ、促進ルールに従って再開します。

サーブはデュースになったときのように、1本ずつ交代で出すように変わります。

促進ルールが適用されれば、それ以降は全て促進ルールで進行します。

また、両方の選手が同意すれば、最初もしくは試合途中から促進ルールを適用することができます。

全く知らない選手でも最初のウォーミングアップで打つときや、ラケットを交換する時点でお互いカットマンということがだいたい分かります。

戦術的な駆け引きで、最初から促進ルールを申し出るケースもあるでしょう。

相手のカットマンが、守備はすごいが攻撃はさっぱりと分かれば、途中でツッツキ合いに持ち込み意図的に促進ルールにしてしまう作戦もあるそうです。

カットマン同士の対戦に適用されることが多いこのルールですが、カットマン vs カットマン以外の戦型でもたまに促進ルールになることがあります。

ループドライブで粘るタイプの人、ツッツキを多用する人、粒高ブロックマンなどとの対戦は長引く可能性があるからです。

促進ルールも変更が繰り返され、ある得点の状況では適用を持ち越すという部分が2011年に変更になりました。

現在は合計得点が18点以上だと、促進ルールには切り替わりません。

このあたりになってくると、理解している人は非常に少なくなります。

私も半年後には忘れていると思います。


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 カウント役はご勘弁
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促進ルールになると通常の審判の他に、レシーブする選手が何本返球したかをコールする専用の審判が付きます。

大きな試合だと主審と副審がいますので審判は3人になります。

その辺の試合だと審判は1人だけですが、促進ルールの時はもう1人コール専用の審判を立てる必要があります。

コールする審判はレシーブする選手が返球するごとに「ワン」「ツー」「スリー」と周りに聞こえるよう声を出してカウントします。

なんだそれだけかと思うかもしれませんが、このカウントは神経を集中させて行う必要があります。

のほほんとした気持ちで数えていると、13回目の返球の直前でダダダダッと高速ラリーになったときに、どうだったかがはっきりせず揉めることがあるのです。

普通の人なら、促進ルールのカウント役なんて一生に一度経験するかしないかの出来事です。

しかも返球が10回以上になるとカウントする人も緊張が高まってきます。

そして11以上は「イレブン」「トゥエルブ」「サーティーン」と発音もややこしくなります。

こういった要素が重なり合うと、ミスジャッジを誘発する確率が高くなります。

たぶん国際審判の資格を持つ人も、促進ルールのカウント役はドキドキするでしょう。

今この文章を読んでいるあなたが、カウント役を依頼されたらどうしますか。

怖くなって尻込みしても私なら非難したりしません。

またとない経験と引き受けるチャレンジャーな方も、その辺の大会ならせめて英語ではなく「いち」「にー」「さん」と日本語で数えたほうが安全かもしれません。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、また次号をお楽しみに。

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